少しお疲れのようですね。
・・・そうですか、お仕事にプライベートに大変ですね。
「忙しいうちが華」とは申せど、なかなか渦中にいるときは、そうは思えないものですから。
それに忙しいときは、往々にして全てが重なるものですしね。
どうしてもお疲れのときは視野が狭くなりますから、普段とは違うものに触れるのも一興かと存じます。
簡単なのは、周りの方のおすすめに触れてみることもよろしいかと。
横山秀夫氏
「クライマーズ・ハイ」
小説も文庫も漫画も、なかなか捨てられなかった。断捨離の概念を聞いてから多少手放せるようになったけれど、多分生涯捨てられないなと思うのは、この小説。
これから先に2回目を読むか?という自問に、何回でも!と答えてしまう。
舞台となった群馬県とは、不思議と縁がある。
いまの仕事でも群馬県と関わりが深い。
そのごく個人的な縁を差し引いても、クライマーズ・ハイは素晴らしい。いつ読んでも、どう生きるのか?を違った形で問いかけてくる。
『悠さんの判断は間違ってなかったと思いますー。』
何も言わずに電話を切った。
自分だけがかわいくて、だから佐山の言葉に応じられなかった。
ありがとう。
そのひと言が言えたなら、この先ずっと誇れる自分でいられた。同じ場面を与えられることは二度とない。その一瞬一瞬に、人の生きざまは決まるのだ。
組織と個人、家族と仕事、プライドと尊敬、友情と嫉妬、執着と手放し、蛮勇と怯懦、諦念と後悔。
いつもその狭間でしか生きられない私に、読後になんとも言えない清涼感を与えてくれる。
2017.7.3
たくさん出版しておられる警察小説も骨太な文体とマッチして読み応えがありますが、私にはこの「クライマーズ・ハイ」が最も心に響きます。
著者は群馬県の新聞社に勤務していた時代に、題材となった日航ジャンボ機の事件に遭ったそうです。やはり初めて就いた仕事というのは、よくも悪くもその人の価値観に多大な影響を及ぼすのでしょうね。
どうぞゆっくりしていかれてください。
また明日からご活躍されますよう。