他の人の成功体験に基づく方法論は、唯一絶対なものではありません。
目的の達成という視点からすると、方法や手段よりも動機をクリアにする方が有効だと思うのです。
私事ながら、煙草をやめて約8カ月になります。
学生時代の私のホットスポットは居酒屋、雀荘、パチンコ屋さんと、煙草とは切っても切れない場所によく出没していました。一時的にやめてみたりもしてみたり、またヘビースモーカーに戻ってみたりして、野良猫スモーカーを繰り返しておりましたが、今年ようやく禁煙に成功した感があります。
喫煙者の方にそれをお話しすると、「どうやって禁煙したの?」とよく聞かれるのですが、お話しするとドン引きされて、「よし、私も!」という方にはついぞ出会ったことがありません。
その方法は、「七日酔い」です。
・・・何を言っているのか分からない?
「二日酔い」はご存知でしょうか。そのロングバージョンです。
少しご説明しますね。
ある晩の楽しい酒席でいつも通りやり過ぎた私は、翌朝ものすごく世界を呪うくらいの二日酔いになったのですね。早く世界が終わればいいのに、と。
ひどい頭痛と胃のもたれから、当然煙草を吸うどころではありません。
その日の夜に「そういえば今日は一本も吸ってないな」と気づいた私は、「明日も二日酔いならぬ三日酔いになれば、禁煙できるな」とわけのわからない思い付きから、翌日も好きな酒の独酌に沈みました。
予定通り三日酔いになった私は・・・以下、七日目まで省略します。
・・・という話をすると呆れられるとともに、アホすぎて禁煙の方法としては参考にならん、とお褒めの言の葉を頂くわけです。
さて、そんなくだらない方法でも、禁煙を達成できたのは、きっと動機と目的が明確だったように思います。
動機・なぜ、何のためにそれをするのか
目的・何をもって達成とするのか
この二つが明確になっていれば、動機から目的に向かう方法は何でもOKになります。逆に言えば無限に方法は試せますので、何通りも試しているうちに目的を達成してしまうのでしょう。
私の禁煙でいえば、動機は
「以前ヘビースモーカーだったけど禁煙した」って軽く言える人がカッコよくて憧れた、というものです。お金が~とか、健康が~とか、匂いが~とか、ネガティブな動機はあまり強いモチベーションにはならなかったようです。
そして目的は、
「吸ってもいい、吸わなくてもいい、自分の意志で選べる状態になること」という目的でした。実際、8カ月の間に「加熱式たばこ」がどんなものか一度味見してみる機会がありましたが、習慣に戻ることはありませんでした。
そのうえで、たまたま「七日酔い」が性に合っていたようで、それが成功しなくても別の方法で成功していたように思うのです。
私たちはこうしたい、こうなりたい、という願望や欲求が強いほど、そうなっている人の「方法論」を絶対視しがちです。
こうやったら、できる。
これをしたから、こうなれた。
そうした他人の成功体験に基づく方法論は、唯一絶対なものではなく無限にある方法の中の一つ、くらいに捉える方がいいのでしょう。それよりも自分の中の動機と目的をクリアにする方が、目的には早く近づけるように思います。
この方法じゃないといけない
そういった思い込みは、逆に目的を遠ざけます。
幸せと一緒ですね。
さて、昨日から少し冷え込みは緩んできたようですが、また週末に向けて寒くなるようです。暖かくして、ごゆっくりお過ごしください。