大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

ありがたい人の出会いはミルフィーユのように

人のご縁シリーズ、今日は私が働き始めたときの直属の先輩の方です。

人は必要なときに、必要な人に出会えるようになっているようです。


 

売上をつくる要素の一つ。
「この人のために」。

その人の関わるイベントはよく売れた。
バッケンレコードを再三出しては、翌年の目標設定をよく困らせていた。その人が担当だから売れるんだろうな、とその度に私は思った。

世に魅力がない商品なんて、きっとない。
売れる売れないの違いがあるとしたら、売り手のエゴよりも、あの人のためにという無私の情熱が有るか、無いか。
もちろん私の勝手な思い込みだけど。

太陽は自ら光り周りを照らすけれど、その人は周りを巻き込んで光る。

包含

そんなフレーズがよく似合う。
私もその人の光に包まれた一人。
そのおかげで、社会人を続けられた。

 

もう15年近くも前。

初めて経験する師走の暴力的な忙しさの中、限定商品のクリスマスケーキの予約を完売にするのを忘れて、100台(!)ほど売り越した。

気付いた瞬間に血の気が引いた。時間が止まって空間がぐにゃぐにゃになり、泣きそうになりながらバックオーダーの伝票の束を抱える私に、

「おー、やばいなぁ。けどいっぱい売れてええやん」

とその人は鷹揚に笑っていた。
才能だと思っている。

そういえばあのときのクリスマスケーキの主担当はその方だったような気もするが、多分気のせいなんだろう。

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2017.4.25


 

その方は、私が働き始めたときの同じ部署の一つ上の先輩でした。

鷹揚として陽だまりのような優しい雰囲気に、多くの人がダマされてきたと思うのですが、たくさんの周りの人を巻き込んでいつの間にか応援して、フォローして大きなことを成し遂げる、そんな方でした。

もしその方がストレングスファインダーのテストを受けたら、「包含」の資質が上位に来るんじゃないかなー、と一人勝手に想像してしまうような方です。

 

働き始めたその当時の私といえば、生々しい心の傷跡を必死に蓋をし何かから逃げるように仕事に打ち込んでいきました。会社や誰かの役に立たないと、自分の生きている意味がないと思ったから。そうしないと、認められない、愛されない、価値がないと思っていたから。

いま振り返ってみると、「怖れ」や「犠牲」満載での働き方でした。どれだけ頑張っても達成感よりも渇望感が強く、ここにいてもいいのだろうかという孤独感と、満たされない感情を抱えていました。

こうした「怖れ」や「犠牲」をベースにしていると、仕事にかぎらず何にしても全てが「人生ハードモード」になりますよね。

スーパーマリオでいえば、一回クリアしたあとのクリボーが全てメットに変わってる1-1とか、バイオハザードでいえば普通のゾンビがめっちゃ強くて、一回噛まれただけで瀕死になってしまう難易度、みたいな。

よくわかんない?すいません、えっと、、、
たとえば上に書いた限定商品のバックオーダーにしても、

数量限定商品を売り越してしまった
 →準備できなかったら、顧客から怒られる
 →準備してもらうにしても、仕入先から怒られる
 →ミスしたから、上司や会社に怒られる
 →人に嫌われることになるから嫌だ、怖い

という思考回路だったんですよね。

 

ところが同じ事象を見てもその方は、師走のクソ忙しい最中で面倒なだけだったと思うのですが、きっと、

数量限定商品を売り越した
 →予定よりもたくさんの顧客に喜んでもらえるやん
 →たくさん注文できるから、仕入先も喜ぶやん
 →売上増で業績もアップするやん
 →お、みんなハッピーやん、ええやん

という思考回路なんですよね。

そしてそれを支えているのは、きっと「売り越したケーキを準備できる」という自分=仕入先=世界への「信頼」や「愛」だと思うのです。そして実際に商品は準備できて、皆がハッピーな結果となりました。

 

「怖れ」や「犠牲」からスタートするか、「信頼」や「愛」からスタートするか。それによって歩く道が真冬の吹雪く剣が峰になるのか、春の花が咲き乱れるハイキングの道になるのか、違ってくると思うのです。

ただ「怖れ」や「犠牲」をベースにしたおかげで私は仕事を早く覚えれられた面もあるのでしょうから、ものごとは一面だけでは分からないのが面白いことです。

結局、私がその方と同じ部署で過ごしたのは1年だけでしたが、それからその方の周りには人が集まり、たくさんの人に応援されフォローされ、多くの大きな仕事を成し遂げられてきました。「怖れ」と「犠牲」満載の私にとっては、その方の仕事はまぶしい限りでした。

人生におけるタラレバはあまり意味がないのですが、もしもその方とそのタイミングで出会っていなければ、ドロップアウトしていたかもしれません。まあそうなっていたらいたで、またそこでしか出会えない人に出会っていたのでしょうけれど・・・

 

年を重ねていく喜びの一つに、そんな素敵な出会いがミルフィーユのように重なっていくことがあると思うのです。

さて、南岸低気圧のおかげで各地で大雪のようです。普段と違った景色を楽しんで過ごせると、また豊かに生きられると思うのですが、いかがでしょうか。

どうぞ、暖かくしてお過ごしください。