傷つくほどに、繊細になれた。
繊細になるほどに、分離していった。
分離するほどに、孤独になれた。
孤独になるほどに、奥歯は磨り減っていった。
磨り減った奥歯の欠片は、優しさになった。
優しくなるほどに、世界は美しくなった。
あなたのいない世界は、美しかった。
残酷な分だけ、美しかった。
どうして人は別れるのだろう。
どうして人は、
傷つくために生まれてくるのだろう。
「サヨナラ」という言葉が、嫌いだ。
「サヨナラ」という言葉が、なければいいのに。
「サヨナラ」という言葉が、この世になければいいのに。
人はなぜ「サヨナラ」という言葉をつくったのだろう。
もしかしたら、また会うためかもしれない。
また会えるかな。
また会えるよね。
また会いたいな。
願わくば、晩秋の名残の銀杏が吹雪く街で。
願わくば、薄いヴェールを掛けた冬空の下で。
願わくば、童心無垢の笑顔とともに。
また会えるかな。
また会いたいな。
また会えるよね。
きっと、また会えるよね。