大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

一周回って、いつか来た道。

昨日のエントリーで男と女のパートナーシップについて書いてみたが、

kappou-oosaki.hatenablog.jp

今日も引き続きパートナーシップについて綴ってみたい。

昨日も書いたとおり、パートナーシップとは言うものの、「自分との」パートナーシップが基本。

自分の本音をないがしろにしたり、自分との約束をバンバン破ったり、自分の声を無視してしまった状態では、なかなか他人とのパートナーシップを築くことが難しい。

恋愛初期の「なんでもしてあげたい」「なんでも許せちゃう」「どんなしぐさも可愛く見えてしまう」「そこにいてくれるだけで幸せ」という状態は、時間とともに冷める。

結婚式で使われる「すこやかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも・・・」という宣誓は、よく言ったものだと思う。

あの宣誓は、決して健康上の状態や自分の感情の状態のみを言っているのではなく、「ふたりの関係性が変わっていっても」、「真心を尽くすことを」誓いますか、と言っているように聞こえるのだ。

やかんに沸かしたお湯は冷めるように、夏を過ぎれば半袖で寒くなるように、エントロピーは増大するように、恋の感情が冷るのがこの世の理だ。

冷めてくるにしたがって、相手に対して

「あの人はわたしの話しを聞いてくれない」

「最近、パートナーが全然大事にしてくれない」

「なんか一緒にいて違和感がある」

という不満が出てくる。

ここからが、パートナーシップの本番であり、醍醐味だ。

こうした不満は、自分の内面の葛藤が、外界に投影されていると見ることができる。

そして、それが一番色濃く投影されるのが、一番近くにいる人となる。

だからこそ、パートナーシップは対人関係の中でも群を抜いて難しい。

さて、自分とのパートナーシップ。

それは、自らの心の内の声を聞くことから始まる。

男性も女性も、誰しもが心の中に「騎士」と「姫」を住まわせている。

男性の中にも、可憐で抱きしめられたい「姫」がいて、

女性の中にも、大事な人を守りたい「騎士」がいる。

これらがバランスを崩すと、男性は自らの中の「姫」は「ワガママあんみつ姫」になってしまい「騎士」を困らせるようになり、

女性は自らの内の「騎士」を「暴君」にしてしまい、「姫」への圧政と収奪を繰り返すようになる。

恋愛初期のハネムーン期ではうまく噛み合っていたバランスが、時間とともにその均衡点を変えていく。

それに応じて自らの内のパートナーシップを整えること、それが求められるからパートナーシップはかくも難しく、また人の内面の成長を促す。

パートナーに見る、絶対に認められない、最も嫌う面が、自らの内にも色濃く存在していることに気付き、それを直そうとするのではなく、許し受け入れることができたとき、統合が起こるからだ。

と、ここまでが私の学んできたパートナーシップのおさらいで、書きながら整理してみたが、それでは崩れた(冷めてしまった)パートナーシップへの対処法を考えてみたい。

確実に言えるのは、昨日のエントリーで書いたように「自立」をすること。

これは内面の「騎士」と「姫」を整えることとも言い換えられる。

わたしがいなくても、あなたはきっと大丈夫。

あなたがいなくても、わたしはきっと大丈夫。

その境地に至った上で「それでも、あなたと一緒にいます」と再選択をすること。

もちろん、それは「選択」である以上、「一緒にいない」という選択をすることを自分にも相手にも許可する、ということと同義だ。

その上で、良質なパートナーシップを築くためには、何がキーストーンになるのだろうか。

いま私が思うのは、先に出た「恋愛初期のバランス」がヒントになるように思う。

恋愛初期では、男性が女性を「抱きしめたい」という「騎士」性を発揮し、女性は男性に「抱きしめられたい」という「姫」性が強く出る。

それが関係性が長くなるにつれて、お互いのバランスを崩しだす。

崩れたバランスは、男性に「姫」性を、女性に「騎士」性を発揮する順番を与えることになる。

その上で、一周回って戻ってくることが求められるように思う。

男性の「抱きしめたい」という騎士の能動的なエネルギーの中にも、

親密になりたい、慰めたい、癒したい、育みたい・・・

という優しい「姫」の持つ資質を昇華させること。

女性の「抱きしめられたい」という姫の受動的なそれの中にも、

つながりを持ちたい、結ばれたい、

という「騎士」のエネルギーを昇華させること。

陽中の陰、陰中の陽。

目に見えるのは陽でも、その中に陰を持つ陽は強く、その逆もまたしかり。

一周回って、いつか来た道。

けれどそれは、以前とは全く異なる道。

すべての道は、ローマへと続くように。

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