ちょうど1年ほど前、熊野を訪れた。
当時のエントリーにも書いたが、世界遺産の熊野古道を歩いてみたい、と「ふと」思った。
そうすると不思議なもので、
友人が「熊野」を訪れることになったり、
ニュースやいろんなところで「熊野」の文字を目にしたり、
SNSのタイムラインに「熊野本宮」の八咫烏の写真が上がってきたり、
その頃知り合った大切な友人のニックネームの由来がその「八咫烏」だったり、
そんなことが続いた。
「子どもが生まれたとたん、外出すると子どもを連れた人に不思議と会う」ということに似ているようにも思うし、人間の認識というのはある種のフィルターをかけている、ということなのかもしれない。
時間や費用や交通手段や、いろいろなブロックは出てきたが、最終的には日帰り弾丸行程で熊野を訪れた。
一歩一歩と歩いていると、深く瞑想しているかのように感じる熊野古道・中辺路や、
その道中、彼方に熊野本宮を望む絶景や、
熊野本宮が水害により移転する前に建てられていた聖地を望みながら、ベンチでただぼんやりとしている時間は、至福の時間だった。
往復10時間以上のドライブだったが、なぜか運転苦手の私が眠くもならず、楽しい行程だったことを覚えている。
訪れて、よかったと思った。
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あれから一年。
そのとき不思議なシンクロを与えてくれた、大切な友人のヤタ(椙山眞伍)さんは「空飛ぶカウンセラー」としてデビューして活躍されている。
一年間。
あっという間でもあり、途方もないくらい長い時間のようでもあり。
一つ言えるのは、人生が変わるのに十分すぎる時間だ、ということかもしれない。
熊野本宮で見た、黒いポストの上の八咫烏。
いまは、どこを指し示してくれているのだろうか。
今日の春分の日に、1年間という時間の長さと重さを想う。