旅に出る前は、落ち着かない。
楽しみにしていた旅ほど、そうだ。
落ち着かないどころか、いろいろ不安になったり、心配事も出たりする。
ときに、情緒が不安定になったりもして、涙腺がバカになったりもする。
それほど、旅が持つエネルギーは大きい。
そう感じるのは、私だけだろうか。
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どんな大嵐も、過ぎ去れば凪の静けさが訪れる。
どんな長雨も、いつかは晴れ間が見える。
どんな感情も、永遠には続かない。
だからこそ、どの感情も美しいのだが。
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いま、自分が持っているもの。
いま、自分が感じていること。
それを、親鳥が雛をそっと包むように、抱きしめること。
それを、怖れることなく世界と分かち合うこと。
分離しているという幻想が、不安という影絵を映し出す。
世界と分かち合い、つながろうとすることで、
人は心の中に安らぎと幸福感を覚える。
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旅に出る前は、心が揺れる。
もしも、心が揺れるならば、それは旅に出る前なのかもしれない。