空を見上げるとき、人はいつでもひとりになれる。
「ひとり」とは、孤立ではなく、孤独だ。
孤立とは物理的であり、孤独はつながりを育む。
ときに孤独は、至高のパートナーだ。
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孤独になるためには、つながりがなければならない。
つながりのない孤独とは、孤立であり、すなわち絶望のことである。
それがあることを知っているのに、それを信じることができないとき、人は絶望を覚える。
この身を焦がす狂おしいほどの、憎しみ。
その荒れ狂う海の底に眠る、静かなる愛の存在をどこかで知っているからこそ、人は憎しみに翻弄され、その荒波に絶望する。
それでなければ、人は憎しみを感じることに悩みなどしない。
小指も動かせぬほどの、無力感や無価値観。
そののっぺりとした果てのない虚空、その広さこそが才能の器の大きさだと潜在的に知っているからこそ、人は自らの価値を認められず絶望する。
そうでなければ、人は与えられた贈り物を拒否したりなどしない。
雪の降り積もる真夜中が暖かく思えるほどの、寂しさ。
その凍えるような寂しさは、誰かに癒してもらうためのものではなく、誰かを癒すための温かさなのだと無意識に気付いているからこそ、人は寂しさに絶望する。
そうでなければ、人は寂しさに狂ったりなどしない。
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分かっているからこそ、気付いているからこそ、
人は憎しみに、無価値観に、寂しさに絶望する。
深い愛ゆえに。
比類なき才能ゆえに。
温かなつながりゆえに。
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誰かと一緒にいるからこそ、できることもあるし、
つながりがあるからこそ、受け取れるものがある。
けれど、
ひとりだからこそ、気付けることや、
己が内面に潜ってこそ、受け取れるものもある。
ひとりとは、孤立ではなく。
ひとりとは、つながりを育む孤独だ。
空を見上げるとき、人はひとりになれる。
ひとり見上げる空は、どんな空も美しい。