大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

霜降。雨は、やさしく。

ベッドの中で目を閉じるが、なかなか眠りは訪れてくれなかった。

それでも、屋根を叩く雨の音はどこか心地よかった。

初秋に夏の名残を和らげる雨。

台風がもたらす激しい雨。

急に降り出す秋時雨。

晩秋の落ち葉を濡らす冷たい雨。

さまざまな秋の雨の情景を思い浮かべたが、今夜の雨はそのどれでもないようだった。

浅い眠りから覚めると、朝日が眩しかった。

夜にその音を響かせていた雨は、止んだようだった。

路面は濡れていたが、それでも空気は乾いていた。

寒露の頃にその名を覚えたランタナに、雨の名残があった。

f:id:kappou_oosaki:20191023130515j:plain

その朝露のような雫を見て、なぜか故郷を思い出した。

おそらく、昨日の雨はやさしい雨だったのだろうと思った。

そういえば、節気は寒露から霜降に移っていた。

霜が降り始めたであろう、北の国々を想った。