今日は啓蟄。
七十二侯では蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)、土の中で冬眠していた虫や蛇、蛙、とかげなどの生きものたちが、這い出して来る時候。
早春の光を浴びて温まった土から顔を出した生きものたちは、久しぶりの風を浴びて春の訪れを告げてくれる。
ほんとうに、ここのところ陽の力がどんどん強くなっていくようだ。
これまでと同じ服装で少し歩くと、汗ばむくらいの陽気。
それでも、頬を撫でる風は冷たく。
移り変わりの時期。
木々の緑も、少しずつ少しずつ色が鮮明になってきているようだ。
冬のモノクロの世界から、カラーの世界へ。
近所の公園にも、多くの子ども連れが。
陽気に誘われたのか、学校が休校になって遊びにきたのか。
私も、その両方なのだが。
思いがけぬ形でめぐってきた、子どもとふれあう時間。
ゆっくりと味わいたいと思いながら。
晴天に映える紅梅。
あちこちで咲く花たちが、目に留まるようになってきた。
咲き始めた雪柳。
春の陽気に誘われて、白と黄色の小さな花が咲き始め。
この雪柳が散るときが、また美しくて好きだ。
麗らかな春の風に舞う、小さな白い吹雪。
白木蓮も、開花間近。
調べてみると、開花の時期に葉をつけないという珍しい性質を持つとのこと。
咲いても花びらは完全に開き切らないのが、奥ゆかしい。
花が咲いているのは2、3日程度のわずかな時間だそうで、そこに立ち会えることを喜ぶ。
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すごもりむしとをひらく。
虫も、とかげも、カエルも、巣穴から這い出てくる陽気。
久しぶりに見る春の光と、まだ少し冷たさの残る風を浴びて、生きものたちは大きく伸びをするのだろう。
その視線の先には、咲き始めた色とりどりの花たちが。
世相は暗く、ままならぬことはあれど、季節はめぐっていく。
巣ごもりしたくなるときは、花を愛でに行くのもいいのかもしれない。