最近のランニングは、殊更にゆっくり、ゆっくりと走っている。
極力スピードを出さないように、ゆっくり、ゆっくり、一歩一歩、踏みしめるように。
スピードを出さないのは、もちろん要らぬ怪我などの防止のためもある。
けれどそれ以上に、スピードを出さないように、抑えて走ることが、いいトレーニングになっているように感じる。
それは、一歩一歩、自分の存在を確認しながら走るという感覚なのかもしれない。
地に足を着ける、とはよく言ったものだ。
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私たちは何かに向かって走りたがる。
目標なり目的地が見えると、それに向かって足取りを早めたくなる。
その目標なり目的地がなくても、それを見つけようとして走ったりもする。
それもそれでいいのだが、時に「ゆっくり」走ることもいいものだ。
エネルギーを外ではなくて、内に向けて、抑え込むように。
一歩、また一歩と地面に触れる感覚を、確かめるように。
それは、生きていることを実感することと似ているのかもしれない。
ならば、なおのこと。
ゆっくり、ゆっくりと、走ろう。
少し夏色の出てきた空を眺めながら。