幼い頃、「秋分の日」がなぜ祝日なのか、謎だった。
「敬老の日」や「勤労感謝の日」、あるいは「憲法記念日」なんかは、何となくおめでたいことなんだろうな、とわかるのだが、「秋分」とはなぜだろう、と。
この頃になると、運動会の練習をしていたことを思い出す。
私の通った学校では、運動会は10月に行われていた。
秋の澄んだ空の下、土埃の舞う校庭の匂い。
近くなってくると、校庭には入場門が設置されて。
あいにく私は、徒競走も組体操もダンスも苦手だったが。
それでも、秋の風が、心地よかった。
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秋分日。
調べてみれば、祝日の「秋分の日」としての意義は、「祖先を敬い、なくなった人々をしのぶ」ためだそうだ。
太陽が真東から出て、真西に沈む日。
夜の長さが徐々に長くなり、昼と夜が等分される日。
流れる時に色などついていないが、どこか、区切りのような日なのだろうか。
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半分ずつ、半分ずつ。
はんぶんこ。
昼も、夜も、はんぶんこ。
太陽も、月も、はんぶんこ。
喜びも、絶望も、はんぶんこ。
さびしさも、つながりも、はんぶんこ。
男性も、女性も、はんぶんこ。
いとおしさも、かなしさも、はんぶんこ。
見えるものも、見えないものも、はんぶんこ。
力も、弱さも、はんぶんこ。
進むのも、戻るのも、はんぶんこ。
勝ちも、負けも、はんぶんこ。
空も、雲も、はんぶんこ。
光も、影も、はんぶんこ。
愛も、痛みも、はんぶんこ。
「雷乃収声かみなりすなわちこえをおさむ」、夏の間に聞かれた雷が止む頃。
空には、うろこ雲。