社会のありよう、人と人のかかわり方というのは、時代とともに移ろいゆく。
けれど、人が誰かに恋をして、そして愛するということは変わらない。
たとえば百人一首よろしく、1000年以上も前に詠まれた詩歌の多くは、花鳥風月を愛でる歌と、恋愛に関する歌が多い。
時代が変わり、男と女のありようが変わっても、やはり好いた惚れたは人類共通の関心ごとなのだろうか。
CHAGE&ASAKAの不朽の名曲、「LOVE SONG」もまた、タイトルそのままに「愛の歌」だ。
リリースは1989年。
ちょうど昭和と平成の時代が交錯し、バブル全盛期に向かう時代だろうか。
それから30年。
社会も大きく変わり、男性と女性の恋愛模様も、当時とは大きく変わったのだろう。
カッコよさ。やさしさ。美しさ。愛のかたち。
いろんなものが、時代とともに変わりゆく。
それでも、ふとしたときに「LOVE SONG」を聴きたくなるのは、私が単に懐古主義だからだろうか、それとも、それだけ歳を重ねたということだろうか。
どちらも、正しいようには思う。
けれど、それ以上に、この曲がどこか普遍的な愛について歌っているようにも感じる。
千年の歳月を越えて、詠まれている歌のように。
男性のプライドと罪悪感を、これほどうまく表現した歌い出しもない。
いつもそうなんだよなぁ…と感じ入ってしまう。
この曲の言い回し、言葉の選び方、メロディとの合致…どれもがたまらなく好きなのだ。
30年の時を経ても、それは決して錆びつくこともなく、聴く人のこころに響く。
時代は変わり、社会は変わり、人のありようは変わり、人と人と関わりは変わりゆく。
たとえそうであったとしても。
目に見える表層的な部分ではない、人のこころの機微、ありよう、愛といったものが、やはり存在するのではないだろうか。
そう思ってしまう、名曲中の名曲である。