気付けば卯月も終わりのようだ。
穀雨も末候の牡丹華(ぼたんはなさく)、牡丹が大きな花を咲かせるころ。
昨日まで少し長い雨が降っていたが、今朝は気持ちよく晴れた。
朝、ふと足元を見ると、黄色い花が咲いていた。
タンポポではない、小さく可憐な花。
二つ並んで、笑っていた。
春の初めのころ、よく見た黄色。
初夏の香りがするいまは、少し懐かしい気がした。
何気なくカメラに収めたつもりだったが、ピンボケになってしまった。
また後にでも撮り直そうと思い、その場を離れた。
少し経って午後の時間に、またその場を訪れた。
その小さな黄色い花が咲いていた場所は、日陰になっていた。
そして驚くことに、小さな花はその花弁を閉じていた。
どこか、くたっとして、しおれた花。
一瞬、それが朝見た花と同じものだとは、分からなかった。
けれど、場所からすると、間違いなく朝咲いていた花だった。
この短時間に、花が閉じたりすることもあることに、驚きを覚えた。
わずか半日程度しか咲かない花だったのだろうか。
それとも、また陽が当たれば、咲いてくるのだろうか。
残念ながら、それは分からない。
それでも、この短い時間に、世界が大きく姿を変えていることが驚きだった。
陽が咲いただけで、開く花もあれば。
少し陰っただけで、閉じる花弁もある。
人のありよう、世界のありようも、気付くと一瞬のうちに変わっている。
おまけに、お日さまが差すかどうかなど、コントロールできないではないか。
そう思うと、目の前の世界を、ただ愛でていく、それだけでいいのではないかとも思えてくる。
時に咲くこともあれば、時に閉じることもある。
ただ、そこにその花がいたことには、変わりがない。
ただ、そこにあなたがいたことには、変わりがない。