お盆にこれだけ雨が続くのは、あまり記憶になかった。
墓参りにも行きたかったが、大雨洪水警報が出ている中だったので、また機会を改めることにした。
しかし、天気予報を見ると一週間先までずっと雨マークが続いていた。
昔読んだ時代小説の中で、「夏に雨が続いてお天道様が見えないと、政変のような大きな変化がある」という台詞があったのを思い出す。
そうとも言えるし、そうでないとも言えるのだろう。
日用品を買いに、近所まで出かける用事があった。
車で行こうと思ったが、少しこの空の下を、歩きたかった。
この雨のお盆の、空の下を。
青空の美しさを見上げるようになったのは、いつ頃だっただろう。
雨に濡れる景色が、それと同じくらいに美しいと思うようになったのは、いつ頃だったか。
八月十五日。
お盆まっただ中、終戦の日。
否が応でも、終わりと意識せざるを得ない日。
ただ、
終わりは、始まりとともにある。
案の定、雨はまた降りだした。
はじまりは、いつも雨。
珠玉の名曲のタイトルを思い出しながら、傘を開く。
開いたその傘を叩く音が、心地よかった。
半年前も、歩いたこの道。
雨に濡れて。
雨に濡れていたのは、この道だったのか、それとも。
振り返れば、また同じように濡れた道が。
どちらから来て、どこへ行くのか。
それはどちらでも、同じなのかもしれない。