大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

断酒日記 【1043日目】 ~"Sober Curious"。自分をもっと愛するために。

私が断酒を初めて1,043日が過ぎました。
2年と10ヶ月と少し、ずいぶんと長く続いたものだと、あらためて思います。

そんな今日ですが、Webの記事で「Sober Curious(ソーバーキュリアス)」という言葉を知りました。
Soberは「しらふ」、Curiousは「~したがる」という意味の語をつなげた造語のようで、「しらふでいたがる」、「しらふでいることを尊重する」といったほどの意味になるでしょうか。

どうも調べていくと、「お酒を飲まない生き方」というのは、ある種の世界的な潮流になっているようで、「二日酔いから解放される」、「いつでもクリアな自分でいる」と考える人が増えているそうです。
しかもそれは、20代の若い世代を中心に、広がっている、と。

上に挙げた「Sober Curious」の語は、アメリカの作家であるルビー・ウェリントン(Ruby Wellington)氏が出版した本の題名から来ていると聞きます。

その著書は翻訳がないため、二次引用にはなるが、その言説を引かせて頂きます。

Sober Curiousとは、社会レベルでのお酒の見方や個人レベルでのお酒との付き合い方を含めた、お酒にまつわる全てのことを問い直す姿勢と同義である。

お酒のない生活を送ることが、(自身への利益や困難も含め)どのような意味を持つことになるかに興味を抱くことである。

 

Sober Curiousというムーブメント

いろいろ検索していて感じるのは、お酒との付き合い方(お酒のない生活)を通じて、自分の生活と深く向き合うことに主眼を置いている、ということです。

「断酒」をすると聞くと、どこかネガティブなイメージを抱いてしまうのが、通例かもしれません。

事実、私も「断酒」をすることを周りに伝えると、決してポジティブでない感想が返ってきました。

「体調悪いんですか?」
「飲み過ぎて、何かとんでもない失敗でもしたの?」
「すごいストイックですね」
「飲めないなんてかわいそう…」

お酒という「素晴らしいもの」を断つことは、どこか禁欲的であるとともに、ある種の「かわいそう」といった憐憫の目で見られることがありました。
それまで私もさんざんお酒にお世話になり、その美味しさや価値を少しは分かっているのですが、どこか「飲めないのに飲まないとは、普通ではない変わった人」という視線を感じてきました。

もちろん、私が断酒を決めたことに、ネガティブな面もあります。
二日酔いが嫌だ、いつも飲み過ぎてしまう…などといった。

けれど、決してそれだけではない、「ポジティブな断酒」という感触も、続けていくうちに確かに感じていました。

なかなか、そうした感触を言葉で説明することが難しかったのですが、今日「Sober Curious」という言葉に出会い、その考え方に触れることで、少し言語化できたような気がします。

少し大げさかもしれませんが、これまでの私の断酒のあゆみは、「自分を大切にし、愛するために、お酒のない生活を選択する」と表現できるような気がします。
それは、決してネガティブな選択ではなく、私の人生において非常にポジティブな選択だったと思います。

もちろん、それは私の身体のアルコールへの耐性、それまでの付き合い方、人生の中で美味しいお酒に対する優先順位…などなど、さまざまな私個人の経験や都合から判断していることです。

だから、「Sober Curious」を周りに勧めるつもりもありません。

ただ、「私はこうだったから、お酒との付き合いを見直したんだ。その結果、こうなったよ」という体験を語るだけです。

21世紀に入り、社会が多様性を許容していく流れ中で、「Sober Curious」という生き方が現れるのは、不可逆のように感じます。
これまで「飲酒」という文化が社会的に支配的であったことへの、カウンターパートとも言えるかもしれません。

「お酒が飲めない/飲まない」というある種のマイノリティに対して、その選択と生き方を尊重すること。
そんな社会であってほしいと願うと同時に、「飲酒」以外のことでも、いろんな人の選択、生き方を尊重できるようになりたいと思います。

ちなみに、その「Sober Curious」のブームの火付け役となった、ルビー・ウェリントン氏の著書「Sober Curious」が出版されたのが、2018年12月31日。
私が断酒を始めたのが、2018年11月3日。

私のストレングスファインダーの資質第1位である「運命思考」よろしく、やはり人の深層意識は、どこか深いところでつながっているのではないかと、そんなことを感じてしまう私であります。

そんなこんなで、長く続けてきたこの「断酒日記」ですが、そのタイトルを「Sober Curious日記」に変えようか迷っておりますが、断酒は引き続き続けてみようかと思っております。