雨上がりの午後、川沿いを歩きました。
ここのところ、こうしてゆっくりと歩くような時間を取れていなかったので、久しぶりのように感じます。
夏の間、あれほど騒いでいた蝉の声は、もうどこにもなく。
湿り気を帯びながらも、ひんやりとした空気が、季節の移ろいを感じさせます。
はっと目を奪われたのは、頭上の桜の木の枝。
もうすでに、黄色く色づいていました。
思い出すのは、満開の桜のあとの、輝くような新緑の色。
半年も経たないうちに、それがもうこんな色に変わるとは。
目に見えていないだけで、大きな大きな変化が起こっていることを、感じさせます。
足元にも、落ち葉が。
明け方の雨に濡れて、少し寂し気に。
白秋という言葉がある通り、秋は白に例えられることがあります。
白とは、時に死を連想させる色。
夏の盛りを過ぎて、静かに命がその役目を終えていく。
次代にその命を託す、実りを残して。
それは夏至を過ぎたころから、始まっていた、大きな流れ。
白地の中心に、紅がさして。
そんな路傍の白い花を眺めながら、そんなことを考えます。
これから、秋の花がたくさん咲いてくるのも、また楽しみです。
コスモスに似た、橙の花。
秋は白ですが、この橙色もまた、秋のイメージに合った色のように感じます。
白秋、そして橙。
秋の色をたくさん吸い込んで、そして少し曇天を見上げて。
また、ゆっくりと川沿いを歩きました。