大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

遠くロンシャンの頂へ、祈りをこめて。

2021年の今年、記念となる第100回を迎えるフランス・凱旋門賞。
世界最高峰のレースの一つとして、芝の中長距離の強豪がロンシャン競馬場で一堂に会する。

日本調教馬の挑戦は、1969年の第48回にスピードシンボリの遠征を嚆矢として、昨年までで述べ27頭にもおよぶ。
半世紀以上にもおよぶ挑戦を以ってしても、いまだロンシャンの頂は未踏の地である。

1999年、エルコンドルパサーの勇気ある逃げも、
サドラーズウェルズの傑作・モンジューに半馬身かわされた。
あの大舞台でハナを切る決断をした蛯名正義騎手が、誇らしかった。

2010年、ナカヤマフェスタの奇跡の粘りも、
英ダービー馬・ワークフォースのド根性にわずかに届かず。
二度目の2着に敗れた、蛯名騎手の胸中を想った。

2012年、オルフェーヴルの黄金の捲りも、
伏兵・ソレミアのゴール前強襲に屈した。
すべてを見透かしていたようなオリビエ・ペリエ騎手の手綱が、どこまでも憎らしかった。

2013年、捲土重来を期したオルフェーヴルの意地も、
トレヴという名の歴史的牝馬に、突き放された。
オルフェーヴルと同時代にあんな怪物がいたことが、恨めしかった。

遠くフランスの地で走った優駿たちの足跡は、4度の2着が最高着順である。

2021年は、クロノジェネシス(牝5、父バゴ)とディープボンド(牡4、父キズナ)の2頭が、その歴史に連なる挑戦となった。
GⅠ4勝、グランプリ三連覇をひっさげ、現役最強牝馬として挑むクロノジェネシス。父のバゴは凱旋門賞馬であり、父娘制覇を狙う。稀代の名牝は宝塚記念からの直行、直前輸送での臨戦態勢で挑む。
鞍上は日本でもその名がしられた、オイシン・マーフィー騎手。直前の金曜日に、落馬で病院に搬送された報があり心配されたが、無事に騎乗できるようだ。2019年のジャパンカップをスワーヴリチャードで制した手綱は、私も現地で観ていた。あの手綱の輝きに、大きく期待したい。

ディープボンド(牡4、父キズナ)は本番と同コースで行われる前哨戦、GⅡフォワ賞を勝って参戦。よほどフランスの水が合うのか、楽勝とも見える逃げ切り勝ちに、期待は高まる。日本で見せていた、追うほどにしぶとく伸びる末脚が、遠くフランスの地でさらに輝きを増す。

父・キズナ、そして父の父・ディープインパクトも挑戦した凱旋門賞。その無念を晴らすか。鞍上はミカエル・バルザローナ騎手。

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現地の欧州勢には、今年もハイレベルなメンバーが集結。

アダイヤー(牡3、父Frankel)は、英ダービーからキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスを連勝。上半期の欧州を席巻し、出走馬においてレーティング最上位を誇る。
軽度の脚部不安で前哨戦のGⅡニエル賞を回避したことで、図らずもキングジョージからの直行となった。同じローテーションでの勝利は、前述のナカヤマフェスタを破った2010年のワークフォースがあり、その前は「神の馬」と称された1995年のラムタラまで遡るものの、実績が無いわけではない。
諸々の不安を吹き飛ばし、怪物と呼ばれた父・フランケルの系譜を継ぐことができるか。鞍上は名手、ウイリアム・ビュイック騎手。

昨年のブリーダーズカップターフを制したタルナワ(牝5、父Shamardal)も強烈。前走の愛チャンピオンズステークスでは不利もあり2着に敗れ、昨年来の連勝は5でストップしたが、凱旋門賞と同じコースのヴェルメイユ賞勝ちがあり、実績十分。
鞍上は日本でも幾多のGⅠを制し、オルフェーヴルの凱旋門賞の手綱も取った、フランスのクリストフ・スミヨン騎手。

アダイヤーと同じ3歳牡馬であり、同じ父を持つハリケーンレーン(牡3、父Frankel)は、愛ダービー、パリ大賞、英セントレジャーステークスとGⅠを3連勝。
凱旋門賞と同コースのパリ大賞では後続を6馬身離す勝ちっぷりに、注目が集まる。鞍上にはジェームス・ドイル騎手。

さらには、スノーフォール(牝3、父ディープインパクト)。英オークスで史上最大となる16馬身差をつけて圧勝、さらには愛オークス、ヨークシャーオークスと連勝して話題をさらった。前哨戦のヴェルメイユ賞では2着に敗れたが、巻き返しを図る。
そしてこのニューヒロインの父は誰あろう、日本の英雄・ディープインパクト。父が果たせなかった宿願を、この3歳牝馬が成し遂げるか。鞍上はイギリスの名手、ライアン・ムーア騎手。

「フランキー」こと、ランフランコ・デットーリ騎手は、アイルランドのラヴ(牝4、父Galileo)に騎乗。
昨年、彗星のように現れ、英1000ギニーと英オークスの二冠に輝き、さらに古馬相手のヨークシャーオークスでも圧勝したが、馬場の悪化を嫌って凱旋門賞を回避。今年に入ると、勝ち切れないレースが3戦続いているものの、その地力は上位。世界一とも称される鞍上の手綱で、復活なるか。

そして、今年のサンクルー大賞を制しているブルーム(牡5、父Australia)の鞍上には、日本のレジェンド、武豊騎手が騎乗。同騎手をバックアップするキーファーズの松島正昭オーナーが共同馬主となっているが、2年越しの挑戦となった凱旋門賞での悲願達成なるか。

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遠くフランスの天気予報は、相変わらず雨マークだらけ。
今年も、これまで多くの日本馬を苦しめてきたとされる「重い馬場」になりそうだ。

それでも、今年もこの舞台に挑戦する優駿の姿を見られることに、感謝したい。

綺羅星のような優駿たちによって、第100回記念となる凱旋門賞の幕が上がる。

節目のレースを制するのは、どの優駿か。

発走は、日本時間10月3日(日)午後11時05分ごろに予定されている。

遠くロンシャンの頂へ、祈りをこめて。

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ゲームでも全然勝てない、世界最高峰の頂。