時候は、一年で最も寒いとされる「大寒」になりました。
外に出るのが、億劫になってしまう時期ですよね。
しかし、吹く風や日中の日差し、木々の蕾に、少しずつ季節の移り変わりを感じるようになりました。
日差しは強さを含み、
吹く風にはわずかに温さが芽生え、
固い蕾はふくらんでくるようです。
一年で最も寒いとされる、「大寒」。
その時候に、暖かな春の萌芽を探すのは、この時期ならではの楽しみともいえます。
山茶花は、いまが盛り。
大きな赤い花を、いくつも開かせていました。
冬の花は、原色に近い色の花が多いように感じます。
冬の間、咲く花が少ない中で、見つけてもらいやすいように、でしょうか。
それが、冬の凛とした空気と、なんとも合うものです。
これが、春になると黄色や橙といった、少しやさしい暖色をした花が増えてきます。
いまは、七十二候では「雞始乳/にわとりはじめてとやにつく」の時候。
ニワトリが卵を抱いて巣にこもる時期とされます。
立春を一年の始まりとするならば、この「雞始乳」が最後の七十二候になります。
そう思うと、少しこの寒さが惜しくも思えてきます。
近所の木々の蕾も、だいぶふくらんできました。
その時まで、あともう少し、といったところでしょうか。
一年のうち、最も厳しい寒さのこの時期だからこそ、春のかけらを探したくなります。
そうして見つけた、ほんのわずかなあたたかさに、大きな喜びを覚えます。
季節のめぐりを見つめるということは、いま目の前の細部に、意識を戻すことといえるかもしれません。
昨日の雲と、今日のそれが違うように。
すべては移ろいゆき、ただ一つとして同じ一日、同じ時間はありません。
しかし、目の前の今日の景色は、変わることがありません。
どんなときでも、ただ目の前の細部を見つめていると、不思議と心は落ち着きを取り戻していくようです。
それは、どのような痛みの中にあっても、いまこの瞬間は大丈夫なことと、似ているようです。
日常の細部を見つめることは、意識をいまに戻してくれる、大きな恩恵を与えてくれます。
梅の花の蕾も、ずいぶんと色づいてきました。
もう来月には、開くのでしょうか。
一年の中でも最も寒いこの時期だからこそ、春の訪いを見つけることができます。
それは、大きな痛みの中にあるときにこそ、普段は見えなかった愛が見えることと、似ているのかもしれません。
もう来週には、立春がきます。
厳しい寒さはまだ続きますので、どうぞ暖かくしてお過ごしくださいませ。