寒の戻りか、各地で雪が降ったりとしております。
私の住んでいるところでも、冷たい雨が降ったりとしておりました。
とはいえ、七十二候では立春の次候、「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」。
ウグイスの鳴く声から、春を感じるという美しい時候の名です。
先の「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」で、視覚と感覚で春を感じた次にくるのが、このウグイスの鳴き声、聴覚というのが、なんとも風流ですね。
暖を取るのが、とても大変だった昔の人は、暖かな春の訪れを、どれほど待ちわびていたのでしょうか。
そんな中で聴こえるウグイスの声のなかに、春の希望を見る。
「黄鶯睍睆(うぐいすなく)」は、そんな美しい時候の名のようです。
そんなことを想いながら、外の世界を見てみると、いつもと違った情景が見えたりもします。
ウグイスの声は聞こえませんが、少しずつ「色」が目に入ってくるよになりました。
冬の間は、落ち葉や枯れ葉の色ばかりだったのが、小さな花の芽吹きも見られるようになりました。
目に映る「色」が、春の訪れを感じさせてくれるようです。
小さい頃は、春といえば3月、4月を思い浮かべていたのですが、いまはこの冬からの切り替わりの2月が、とても風流なように感じます。
歳を重ねると、見えてくるものが変わってくるのは、面白いものです。
これから咲こうとする、小さな紫の花。
厳しい寒さの冬を過ごし、この春のさきがけに、その命を開かせようとする姿に、しばし見とれていました。
きっと、まだ何度も寒の戻りもあるのでしょう。
けれども、春はやってきている。
そんなことを、小さな紫は教えてくれるようです。
こちらは、鮮やかな朱色の、小さな蕾。
山茶花か、椿の仲間でしょうか。
冬の間も、彼らははっとするような赤でその目を楽しませてくれていましたが、春に咲くのは、また違った趣があります。
色に、春を想う。
流れる季節を愛でることは、私たち自身を愛することと、どこか似ているようです。