大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「感情」とは、私たちを導いてくれるコンパスのようなもの。

「感情」とは、私たちをあるべき場所に導いてくれるコンパスのようなものです。

「感情」の持つそんな性質と、「感情」を感じやすくするヒントについて、お伝えします。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.人は感じなかったら、死んでしまう

私たちに感情がなければ、いきいきとしたり、よろこびを感じたりはできません。

苦痛のなかにいてもそれを感じなければ、自分がしていることを変える必要があるとは気がつきません。

しかし、何よりも感情がすばらしいのは、「何に意味があるのか」を見つける助けになってくれるということです。

意味は感情といっしょについてくるのです。

それは私たちに方向性と目的を与えます。

 

自分の目的を果たし、真実の意味にもとづいて生きるとき、私たちは天の与える意味を生きるのです。

それは自分のために、役にもたたない、ちっぽけな仕事をこなすことではありません。

私たちのよろこび、愛と創造性そのものの状態なのです。

 

だからこそ自分を広げるためにも、できるかぎり感じることが大切なのです。

自分が選択すれば、否定的なことも感じたうえで簡単に手放すことができるのです。

つまり苦痛とは、人生の選択を変える必要があることを知るためのバロメーターなのです。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.435

f:id:kappou_oosaki:20220103095718j:plain

2.「感じること」の大切さ

今日のテーマは、「感情」でしょうか。

かの名映画「燃えよドラゴン」のなかに"Don't think! Feel!"という名セリフがありますが、それを思い出します笑

感情とは、私たちを導くコンパス

この世界を海、私たちの肉体を舟とするならば。

その船頭は、私たちの魂といったものになるのでしょう。

その船頭さんに、舟の行き先を教えてくれるのが、「感情」というコンパスです。

喜び、楽しみ、うれしさ、愛おしさ…そういった「感情」が感じられるということは、「こっちだよ」とそのコンパスが教えてくれているようです。

反対に、悲しみ、苦しみ、寂しさ、絶望、あるいは虚無感…そういったネガティブな「感情」を感じるということは、「こっちじゃないよ」と教えてくれているのかもしれません。

それは、ある意味で味覚に近いようにも感じます。

甘味、油脂、塩味といった味覚に、私たちは導かれます。

私は今日はチョコレートに導かれてしまいました。

はい、なかなか、甘いものの誘惑はやめられないものです笑

それは、私たちが生きるのに必要不可欠なものだから、そのように感じるのでしょう。

その反対に、酸味や苦味といった味覚を感じるものは、私たちは警戒をします。

それは、腐敗したものを食べて、お腹をこわしてひどい目に遭った、先人たちの経験が、そうさせているのかもしれません。

「おい、やめとけ!その食材はあぶねえぞ…」と。

それは「痛み」と、ある種似ているのかもしれません。

面白いのは、私たちが美味しいと感じる食事には、そうした酸味や苦味の要素が含まれている、ということです。

ずっとあまーい料理でも、それを食べ続けたら飽きてしまいます。

甘さ、塩味、うま味といったものに、酸味や苦みがあってこそ、私たちは「美味しい」と感じることができます。

感情を抑圧すると、迷子になってしまう

感情もまた、同じようなものといえます。

ネガティブな「感情」はもちろんイヤなものですが、それがなければ、喜びやうれしさといった感情もまた感じづらくなります。

それは、先ほどの例でいえば、「北」の方角の無いコンパスのようなものかもしれません。

そんなものがあるのか、わかりませんが笑

「こっちじゃないよ」があればこそ、「じゃあ、こっちなのか」と分かる。

しかし、私たちはネガティブな「感情」がニガテです。

そして、ネガティブな感情を感じると、それを感じないようにしてしまいます。

もう、この感情は味わいたくない、と。

誰にでも、経験があるかもしれません。

また、失恋や挫折、あるいは親しい人を亡くすといった、強い痛みを経験したりすると、それは起きやすくなります。

私も、両親との別離の寂しさや悲しみを感じないようにするために、ハードワークに勤しんだりしていました。

そうしているうちは、ネガティブな感情を感じなくても済みます。

けれども、悲しみだけを感じないようにすることは、できません。

その裏側にある、喜びもまた、感じづらくなります。

他のネガティブな感情も、同じです。

徐々に、無感情、無感動になっていきます。

そうすると、コンパスを失った旅人のように、どこへも行けなくなります。

「あれ、私はどこにいるんだろう」

「何をしているんだろう」

「どこへ向かっているのだろう」

と、自分を見失ってしまいます。

かくも、「感情」を抑圧することは、さまざまな不都合を引き起こすようです。

3.感情を感じる、五感を開く

さて、そうすると「感情」を感じましょう、ということになります。

けれども、いったん閉じてしまったそれを感じるのは、なかなかに怖いものです。

そんなときは、まず五感を開くことをおすすめします。

見ること、触ること、聴くこと、味わうこと、香ること。

全部でなくても、いいと思います。

誰にでも、得意な感覚、あるいは鋭敏な感覚というものが、あるものです。

私は、見ることと、触ることの感覚が心地よいと、割とリラックスできます。

反対に、嗅覚は人より鈍い気がします。

「なんか匂うね」と周りが言ってても、気づかないことが多いです笑

それはどうでもいいのですが、自分の感じている感覚に意識を向けると、少しずつ変わっていきます。

このコーヒーを、ゆっくり味わって飲んでみる。

朝、玄関の外に出たときの風の感覚を、味わってみる。

今日の空の色を、楽しんでみる。

美味しそうな食事の香りを、しばし楽しんでみる。

聞こえてくる鳥の声に、耳を澄ませてみる。

ほんの少しでいいんです。

意識を向けることができると、私たちの感覚は徐々に開いてきます。

そうしていくと、「私が感じていること」の感覚が、少しずつ変わっていくはずです。

その感じていることを、いい/悪いと判断せず、ただ、感じてみてください。

その感情が、ただ流れていくままに、任せてください。

そうすることで、自分のなかで変わっていくものが、必ずあるはずです。

もちろん、カウンセリングも「感情」を感じることができます。

人は、話をすることで「感情」を取り戻し、昇華していくことができます。

「感情」とは、私たちを導いてくれるコンパスのようなもの。

今日は、そんなテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

〇大嵜直人のカウンセリングの詳細・お申込みはこちらからどうぞ。

※ただいま12月度の個人カウンセリングを募集中です。

〇カウンセリングのご感想のまとめはこちら。