大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「感謝」の力の偉大さと、それを使うためのアプローチについて。

「ごめんなさい」を言いたくなるタイミングで、「ありがとう」を伝えられると、とても心が満たされます。

「感謝」には、私たちの心を癒す、実に偉大な力が宿っているようです。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.感謝は、比較と羨望から抜けださせてくれる

比較はつねに、現在または将来における痛みをもらたします。

今日、自分はだれかよりもすぐれていると感じられたとしても、自分より上をいく人に出会うのも時間の問題です。

比較をするのは、自分のほうがだれかより少しはすぐれていて、だから少しは愛される価値があると思いたいからです。

けれども、自分にはいま十分に愛される価値があることを知っていれば、比較の必要はなくなります。

 

羨望という感情は、私たちを動けなくさせてしまいます。

だれかのほうが自分よりもすぐれているのを見て、その人のもっているものがうらやましくてたまらないのです。

でも、人のなかに見えたということは、自分のなかにもあるのです。

そうでなければ、それに気づくはずはなかったのに、そのことには思いいたりません。

 

感謝し、真価を認めると、相手の才能を楽しめるようになり、羨望を癒して前に進むことができます。

相手の才能を楽しむにつれて、その人の存在そのものを受けとるようになっていきます。

するとあなたの内側のエネルギーが相手の才能と共鳴を起こし、開花しはじめるのです。

 

あなたが羨望を感じる人に、深い感謝の気持ちから与えていけば、相手のなかに見えるその才能をあなた自身が開花させる、いちばんの早道になります。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.440

f:id:kappou_oosaki:20220103095718j:plain

2.「感謝」はすべてを癒す

今日のテーマは、「感謝」でしょうか。

いたるところで、その重要性はいわれるところですが、あらためて「感謝」について考えてみたいと思います。

「ありがとう」は受けとる言葉

何か手を貸してもらったとき。

あるいは、好意を示してもらったとき。

たとえば、落としものを拾ってもらったとき。

荷物を運ぶのを手伝ってもらったとき。

靴ひもがほどけてるのを、教えてもらったとき。

そんなとき、「ごめんなさい」と「ありがとう」のどちらを選びますでしょうか?

私は、もう圧倒的に「ごめんなさい」でした。

でした、という過去形にしていますが、いまでもよく出ますし、「いかんいかん、いまのは『ありがとう』だよな」と思ったりします笑

それでも、意識的に「ありがとう」を選ぶようにしています。

「自分が『ごめんなさい』を選ぶ場面で、意識的に『ありがとう』を言ってみましょう」

どこかで聞いたその教訓は、その通りだな、と思うのです。

「ごめんなさい」は、罪悪感や無力感といったものが見え隠れします。

「こんな私に時間を割いてもらって、申し訳ない」

「私が至らないせいで、迷惑をかけているから」

「私なんかに、構ってもらうなんて、めっそうもない」

そんなニュアンスを含んでいるようです。

それだと、相手も「なんだかな…」とか、「逆にこちらが申し訳ない」みたいな感じを受けてしまいます。

けれども、それが「ありがとう」だと違ってきます。

与えてもらった、好意を示してもらったことに、素直に喜びを表し、それを受けとることができます。

たった、五文字。

されど、五文字。

その五文字で、まったく違う世界が見えるのは、やはりそれだけ「感謝」の力は偉大だということなのでしょう。

比較と羨望を癒す、「感謝」の力

そうした「感謝」ですが、その受けとる作用によって、多くの自立の病を癒すことができます。

引用文にもある、比較や羨望といった症状の病ですね。

誰かと比較をしてしまう心理の根底にあるのは、「自分は愛されない」という痛みであり、愛されないことへの怖れです。

「これだけすごくなったら、愛されるだろう」、と。

比較の心理とは、「愛される価値のある人間トーナメント」のようなものかもしれません。

そして、ずっと勝ち続けることはできません。

どんな尺度で見たとしても、遅かれ早かれ、自分よりすぐれている人に出会います。

羨望は、自分の価値を見誤っていることから起こります。

何らかの価値や魅力が見える、ということ。

それはとりもなおさず、自分自身のなかにもその資質がある、ということです。

「投影」の法則ですよね。

私たちは、自分のなかに無いものを、外の世界に見ることはできません。

「あの人は、ほんとに決断力があって、ものごとを自分で動かせる人」

そんな風に見ることができるのは、自分のなかにもその決断力と行動力があるからです。

それを信じていないから、羨望というかたちになってしまうだけです。

「感謝」は、そのどちらも癒すことができます。

「ありがとう」と言って受けとることで、自分が愛されている実感を取り戻すことができます。

「ありがとう」と喜ぶことで、自分にもその資質があることに気づいていくことができます。

「感謝」の力は、かくも偉大なようです。

3.いまこの瞬間の奇跡に気づくこと

「感謝」できない自分を責めない

さて、そんな「感謝」ですが、「わかっていてもできないんだよ…」というときがありますよね。

どんなに「感謝」がすごい力を持っていたとしても、なんだか「感謝」するのに抵抗がでてきたりする。

そんなときに、「感謝できない自分なんて、ほんとダメだ…」というスパイラルに入ってしまったりもします。

はい、よくやっちゃいますよね笑

そんなとき、無理矢理に「感謝」しようとしても、難しいものです。

「やっぱりできない…」と負のスパイラルにはまってしまいます。

そんなときは、まず「あぁ、自分はいま、感謝できないんだなー」と思うだけで、いいんだと思います。

そこに、いいも悪いもない。

ただ、その自分自身の状態に、気づくだけ。

まずは、それでいいんだと思います。

その上で、じゃあどうしたら「感謝」が自然にできるようになるか、考えてみる。

そんなふうに、ゆっくりでいいんだと思います。

いろんなアプローチがありますが、今日は「感じる」という方向でお伝えしたいと思います。

「ありがとう」の反対とは

それは、「ありがとう」の反対を考えると、よくわかります。

「ありがとう」の反対。

「うとがりあ」ではありません笑

「ありがとう」を漢字にすると、「有り難う」になります。

有り難い。つまり、その状態にあることが、めずらしい。

その状態の反対といえば、めずらしくない、当たり前の状態です。

そう、「ありがとう」の反対は、「当たり前」です。

いま、こうあることが「当たり前」であるととらえてしまうこと。

それが、最も「ありがとう」という感謝を遠ざけてしまいます。

言い換えると、無感動や無関心、不感症に陥っている状態のときに、私たちは「当たり前」と感じる=「感謝」から遠ざかるのかもしれません。

この「当たり前」の状態が、人間関係には非常にネガティブに働くのは、ご存知の通りです。

「当たり前じゃん」と思ってしまっていることに、どれだけ相手の想いや愛が詰まっているか。

それを忘れてしまうと、なかなかうまくいかないものです。

「当たり前」の不感症を抜けだすために

じゃあ、その状態を抜け出すのは、どうしたらいいか。

それが、先に書いた「感じる」という方向性です。

いろんなことが、「当たり前」ではないと気づくためには、感じることが大切になります。

いま、自分が感じていることに意識を向けること。

それは、いまこの瞬間の奇跡に気づくことともいえます。

目にするもの、耳にする音、鼻をつく香り、触れているものの手触り、口にするものの味わい…
そうしたものに少しだけでも意識を向けると、「当たり前」が少しずつ「当たり前」でなくなっていきます。

「ある」ことは、「当たり前」ではないんですよね。

「当たり前」が「当たり前」でなくなると、人はそこに「感謝」を抱くことができます。

「あぁ、これは当たり前じゃないんだな。ありがたいな」

それは、ほんの小さなことかもしれません。

朝、目が覚めること。

言葉をかわす、その相手がそこにいること。

暑かったり寒かったり、それを感じる身体があること。

そうした、ほんの小さなことが、奇跡のように思えてきます。

いま、この瞬間が、奇跡のかたまりのように感じることも、あるはずです。

それは言い換えると、自分がいかに愛されているか、それに気づくこととともいえるのでしょう。

いつも、そんな状態でいることは、難しいかもしれません。

けれども、少しでもその状態に近づいたら、比較や羨望なんて、気にならなくなると思いませんか。

そうなんです。

「感謝」は、やっぱり偉大な力を持っているんです。

 

今日は、「感謝」をテーマに、少しお伝えしてみました。

書いていて、あらためて「ごめんなさいよりも、ありがとうだよなぁ」と、私も感じました。

「ごめんなさい」が出そうなとき、「ありがとう」と言い直したいなぁと思う次第です笑

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

〇大嵜直人のカウンセリングの詳細・お申込みはこちらからどうぞ。

※ただいま1月度の個人カウンセリングを募集中です。

〇カウンセリングのご感想のまとめはこちら。