大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「嫉妬」を緩めるためには、素晴らしい自分になるよりも、「いまの」自分を信頼すること

「嫉妬」とは、自分のあこがれを自分自身で否定して、それを周りに投影することで起きる心理です。

その「嫉妬」の心理と、自分を信頼できるようになるためのヒントについて、お伝えします。

名著「傷つくならば、それは「愛」ではない」(チャック・スペザーノ博士:著、大空夢湧子:訳、VOICE:出版)の一節から。

1.嫉妬しているほど、じつは自分のことを信用していない

私たちは嫉妬しているとき、「自分がそういう状況におかれたら、きっとこうなってしまうだろう」と思うことをパートナーに投影して、相手もそうに違いないと思い込むのです。

これは嫉妬に関してもっとも深く隠されていることのひとつです。

 

過去の心の傷を癒して自分の価値を認め、自分自身をもっと信頼できるようになれば、人にも与えるづけることが容易に選択できるのです。

それは自分にはそれだけの価値があることを知っているからです。

すると、ほかに気を散らす必要がなくなり、自分は十分に受けとるに値する人間であることが感じられ、もっと人生から受けとれるようになることでしょう。

 

「傷つくならば、それは「愛」ではない」 p.202

f:id:kappou_oosaki:20220103095718j:plain

2.自分への不信が、パートナーへの嫉妬に変わる

今日のテーマは、「嫉妬」ですね。

誰もがイヤーな感じを持つ感情ですよね。私も、大っ嫌いです笑

そんな「嫉妬」について、今日は少し考えてみたいと思います。

自分が信頼できないとき、「嫉妬」の感情にハマる

「嫉妬」については、いろんな見方ができます。

今日は、「自分への信頼」という切り口で、見てみたいと思います。

自分を信頼できないとき。

自分の価値を、十分に感じられないとき。

自分自身とのつながりが切れてしまったとき。

そんなとき、私たちは「嫉妬」という感情を使うようです。

よくあるのが、その「嫉妬」の感情を、一番身近なパートナーに向けてしまいます。

あるあるですよねぇ…ほんと(遠い目)

 

「嫉妬」とは、「うらやましい」ことを素直に表現できず、それにネガティブな感情を結び付けてしまう、屈折した感情のことを指します

自分が憧れたり、うらやましいと感じる人やものに対して、素直に「いいなぁ」、「うらやましいなぁ」と、その相手に伝えられるときは、全然いいんです。

「うわぁ、嫉妬しちゃう」と、本人に伝えられるときは、ドロドロとした感じはありませんよね。

それは、相手の価値や魅力を伝えること(=相手にとっての喜び)でもありますし、「よし、私も!」とポジティブな活力を生みます。

しかし、そのうらやましさ、あこがれといったものに対して、自己否定が結びつくと、とたんにドロッと症候群におちいります。

自分の価値が信じられない無価値観、劣等感、無力感、不信感。

過去を悔い、未来を憂うことによる、失敗感や不安、怖れ。

あるいは、根源的な罪悪感、怒り、競争心…

自分を信頼できないと、こうした実にさまざまな妖怪たちを呼び寄せ、「うらやましい」「あこがれ」といったものに結びつけます。

これが、「嫉妬」とよばれるものです。

自分のあこがれを自分で否定して、それをパートナーに投影する

さて、そうした「嫉妬」は、ネガティブな感情と結びついているがゆえに、あこがれやうらやましいと感じたものを否定します。

そもそも、自分が「いいなぁ」「うらやましいなぁ」と感じたものだったはずなのに。

人の心は、不思議なものですよね。

その「いいなぁ」を受け入れるかわりに、人は先ほどのネガティブな感情たちを、結びつけます。

それは、自分が「いいなぁ」「うらやましいなぁ」と感じたものを、自分で否定してしまうという、自己矛盾でもあります。

自分のなかで矛盾しているわけですから、苦しいわけですよね。

そして、その否定的な見方を、パートナーなどの身近な人に投影してしまうことがあります

私たちは嫉妬しているとき、「自分がそういう状況におかれたら、きっとこうなってしまうだろう」と思うことをパートナーに投影して、相手もそうに違いないと思い込むのです。

自分が感じた光を、無理やり消そうとしたことを、相手に投影する。

「うまくやっているように見えて、どうせ裏では悪いことしてそう」

「みんなにいい顔して、どうせ疲れるんだから」

「たまたまよくできた仕事が評価されただけだよ、どうせすぐにメッキがはがれる」

はい、イヤですねぇ…けれど、よくしちゃいますねぇ…でも、だって、しょうがいなんだもん笑

まあ、イヤはイヤですが、「嫉妬」のこうした心理をしっておくだけでも、自分を客観視できる一助となるとは思います。

3.信頼できる人になるよりも、「いまの」自分を信頼する

自分を信頼するとは、素晴らしい自分になること「ではない」

さて、ここまで「嫉妬」の心理を見てきました。

カギになるのは、やはり「自分を信頼できるかどうか」になってくるようです。

自分を信頼できていないから、「あこがれ」や「うらやましさ」にネガティブな感情をくっつけてしまうわけですから。

「いいなぁ!」

「きっと次は、私の番のはず!」

と、素直に思えれば、「嫉妬」とは無縁になると思いません?

自分の価値を認め、受け入れること。

自分の魅力を自覚している、ということ。

自分の一番の味方である、ということ。

それが、「自分を信頼する」ことなのでしょう。

とっても大切なことですが、とっても難しいことでもあります。

これができないから、「嫉妬」に苦しむし、いろんな問題を抱えてしまうわけですよね、ほんと。

自分を信じることの難しさ。

その難しさというのは、究極のところ、根拠がないところでそれを信じることができるか?というところに尽きます。

根拠のある信頼というのは、ある意味で簡単です。

「大会で1位を取ったから、自分に価値がある」

「彼女が尽くしてくれるから、自分には魅力がある」

「仕事で成果を出したから、自分を信頼する」

どれも、簡単そうですよね。

けれども、そうしたものを根拠にした自分への信頼は、けっこう脆いわけです。

「全国大会でコテンパンにやられた」

「好きな人ができた、と彼女に振られた」

「オーバーワークで身体を壊した」

そんな状況になったときに、自分への信頼を保つのは、難しいものです。

自分を信頼するカギは、「信頼できる根拠がある人になること」ではないようです

あなたがここにいる奇跡

自分を信頼する。

それは、「信頼に足る根拠のある人」になることでは、ない。

そうではなくて。

いま、ここにいる、この自分。

その自分自身、その価値を信頼する。

根拠もなにもなしに、いまここにいる自分を、信頼すること。

それが、自分を信頼することの、一歩目です。

それは、小さな小さな一歩かもしれませんが、世界を変える一歩です。

月面を歩いた、ニール・アームストロング船長の言葉に近いかもしれません笑

「自分を信じる根拠は?」と聞かれても、「ないよ」と答えるほか、ないのかもしれません。

それは、「愛」というものを信じるかどうか、に似ているようにも感じます。

幼い日、ご飯を作ってもらったこと。

その背中を、見送ってくれたこと。

一緒に、山に登ったりしたこと。

古びた写真に、笑顔でおさまっていること。

この世に生まれたことを、心から喜んでくれたこと。

いま、ここに、あなたがいること。

その奇跡を信じることが、自分を信頼する、ということなのかもしれません。

そんな誰かから借りてきたような、素晴らしい自分になんて、ならなくてもいいんです。

ただ、いま、ここにいるあなたがいることが、素晴らしいんです

こう書いてしまうとクサいんですが、それでも、書きます笑

 

「あなたが、そこにいるだけで」

そう思える人に出会えることが、人生の中ではあります。

とても恩を返せそうにない恩師かもしれませんし、

心奪われるアイドルかもしれませんし、

死ぬほど惚れた恋人かもしれません。

「あなたが、そこにいるだけで、奇跡のよう」

その信頼を、自分自身に向けるわけです。

えぇ?と思われました?笑

大丈夫です。

そう思われたってことは、ベクトルが向いたってことですから。

そのベクトルが自分へ向くと、「嫉妬」という感情は、少しずつゆるんでくることと思います。

ほかに気を散らす必要がなくなり、自分は十分に受けとるに値する人間であることが感じられ、もっと人生から受けとれるようになることでしょう。

引用文の、通りですよね。

「嫉妬」を感じたときは。

少しずつ、少しずつでいいですから。

悶えながらも、自分自身の奇跡のような価値を、信じていきましょうよ。

きっと、あなたには、できるはずです。

だってあなたには、たくさんたくさん、愛を差し向けてきた人が、いるんですから。

 

今日は、「嫉妬」の心理と、自分を信頼することをお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

〇「嫉妬」について深く学びたい方に向けて

私がカウンセリングを学んだ根本裕幸師匠の「つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本」(学研プラス)をご紹介します。

「嫉妬」の心理について深く学べるとともに、嫉妬を感じたときに使えるワークなどが豊富に紹介されています。

私の書評も、あわせてご参考にしてください↓

書評:根本裕幸さん著「つい他人と比べてしまうあなたが嫉妬心とうまく付き合う本」に寄せて