「自立」している人ほど、「依存」を嫌います。
けれども「依存」とは、そんなに悪いものでもなく、「自立」を手放すためのカギになるものです。
1.「依存」と「自立」
今日は、少し「依存」をテーマにしてみたいと思います。
私のブログでも何度となく扱っているテーマですが、軽くおさらいを。
私たちは、はじめはなんでも「依存」から始まります。
この世に生まれ落ちたときもそうですし、小学校に入ったとき、新しい仕事をはじめたとき、はじめてパートナーとお付き合いしたとき…
すべて、「依存」からはじまります。
「依存」の心理の特徴は、自分ではなにもできず、周りになんとかしてほしいという状態です。
「請求書を発行し続ける状態」と表現されたりもしますが、まわりに要求を出し続けるのが「依存」です。
けれど、その要求が叶うかどうかは、相手次第なわけです。
ミルクがほしくても、それを与えてくれるかどうかは相手次第、といったように。
それゆえ、無力感や無価値観といったものを強く感じるのが、「依存」でもあります。
ご想像の通り、「依存」の状態はしんどいものです。
それは、自分に主導権がないからです。
それがイヤで、人は徐々になんでも自分一人でできるようになろう、やろうとするようになります。
これが、「自立」ですね。
一人で着替えられるようになったり、一人で仕事を処理できるようになったり、「自立」するほどに、私たちができることは増えていきます。
けれど、一人でやろうとするがゆえに、孤独や孤立を抱えやすくなり、周りと葛藤や衝突しやすくなったりします。
カウンセリングで扱う問題の多くは、「自立」の問題だったりします。
2.「自立」が嫌う「依存」
さて、この「自立」のポジションにいると、「依存」を極端に嫌うようになります。
それは、相手の依存心もそうですし、自分自身の依存的な部分を嫌ったり、許せなかったりします。
「自立」の人は、なかなか自分の胸の内を誰かに話せなかったり、自分が大変なときでも、周りに頼れなかったりします。
このあたり、思い当たる節がある方は多いのではないでしょうか笑
けれど、それもまた当たり前なんですよね。
そもそも「自立」は、「依存」の状態がイヤというか、「依存」で傷ついたがゆえに、「それならば、自分で!」となるのが、そのスタートです。
だから、「またあのツラい状態になるくらいなら、死んだほうがマシ!」くらいに感じたりします。
はい、大げさじゃなく、です笑
でも、「依存」することって、そんな悪いことじゃないですよ、というのが今日お伝えしたいことです。
「依存」って、一般的な意味合いでも、あまりいいニュアンスではないですよね。
たとえば、感情的、重い、甘えてる、自分のこともできない…そういったニュアンスが、「依存」にはあるかもしれません。
たしかに、そうした見方もできます。
けれども、「自立」を経た人にとっての「依存」とは、とても重要な部分なんですよね。
それは、「自立」の問題を解決していく意味においても、そうなんです。
3.「自立」という思い上がりを越えて
「自立」って、一人でなんでもしているように見えて、そうじゃないんですよね。
「自分一人でやってきた」
というのは、あえてキツい表現をするなら、「思い上がり」なんです。
(とはいえ、誰でも通る道ですし、私もまた思い上がってきました笑)
すごく単純なところでいえば、「自立」は一人ではできません。
周りに「依存」してくれる人がいてこそ、「自立」できるんですよね。
たくさん焼いたクッキーも、もらってくれる、食べてくれる人がいてこそ、価値を持つんです。
「受けとる」人がいるから、「与える」ことができるように。
そして、もう少し言うならば、一人でなんでもやってきた、なんてことはないんです。
直接的に手を貸してくれることは、なかったかもしれません。
助けられた、と感じることは、なかったかもしれません。
けれど、誰ともかかわらず生きていく、なんてことは、誰もできないのでしょう。
どこかで誰かに支えられて、与えられて、生きているんですよね。
そこを見て見ぬふりをして、「自分一人でやってきた」と考え、「誰かに頼るのは嫌い」というのは、「自立」のよろしくないところなのでしょう。
「依存」してないわけがないんです。
助けられてないわけが、ないんです。
感情的になったり、誰かに頼ったり、助けを求めたり、そうすることがあって、いいんです。
そこに罪悪感というか、そういったものを感じなくても、いいんです。
「依存」は、決して悪いものではありません。
むしろそれは、私たちを「自立」の呪縛から解き放つカギになるものなんです。

今日は、「依存」は、必ずしも悪いものじゃない、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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