カウンセリングでも、よく過去のできごとやその傷についてのテーマになることがあります。
それは、後ろ向きなことなのでしょうか。
1.過去の痛みが「判断」を生む
昨日の記事では、過去の痛みが「判断」を生む、というテーマでお伝えしました。
自分自身を受け入れる、愛することの大切さは、いろんなところで言われることです。
自分が自分の味方でいることができたら、いろんな問題の原因となる孤独やつながりの断絶を、癒していくことができます。
自分を受け入れることの一歩目は、自分が感じていることに耳を傾けることであり、その感じていることを、自分自身が否定したりダメだししたりせず、そのままに受け入れることです。
ただ、受け入れようとしても、どうしても難しいときがあります。
それは、自分が感じていることを「それはいけない」とか、「それはおかしい」とか、自分が何らかの判断を入れてしまうときです。
こうした判断は、過去の経験、とりわけ傷ついた経験やその痛みから生まれる、というのが昨日のテーマでした。
こういう振る舞いをしていたら、嫌われた。
こんな愛し方をしても、受けとってもらえなかった。
そうした傷ついた経験が、「こう振る舞ったらダメ」「こんな自分ではいけない」といった判断を入れるようになるわけです。
だから、自分をそのままに受け入れようとするとき、過去の痛みや問題と向き合い、それを癒していくことは、とても重要なことといえます。
2.過去の痛みと向き合うのは、後ろ向きなこと?
カウンセリングでも、こうした過去の痛みについて、テーマになることがあります。
親との関係のなかで、傷ついたこと。
失恋したなかで、未消化だった感情。
家族との関係で、思うようにいかなかったこと。
パートナーとの関係で、言えなかったこと。
そうした過去と向き合うのは、どこか後ろ向きのような感じがするかもしれません。
けれども、上で見た通り、過去の痛みと向き合い、それを癒していくことは、「いまの」自分を受け入れるようにするために、必要なことなんですよね。
だから、決して後ろ向きなことでもないんです。
その傷や痛みが生む「判断」で、苦しい思いをしているのは、「いまの」自分自身でもあるのですから。
もちろん、それをしてもいいし、しなくてもいいんです。
ただ、そうした過去のできごと、痛みと向き合うことは、私たちに恩恵を与えてくれることは、確かなことです。
3.「癒し」とは、見方が変わること
さて、過去の傷や痛みを向き合うとはいいますが、それって具体的にどういったことなのでしょうか。
過去の痛みを癒すとは、実際にどういった状態を指すのでしょうか。
それを定義するとしたら、「そのできごとの見方が、ポジティブに変わること」といえるでしょうか。
それは、大きな意味での「癒し」でもあります。
「ポジティブに」というのが、ここでのポイントです。
具体的に表現するなら、「そのできごとがあったおかげで、いまの自分がある」と思えたり、そのできごとの登場人物に感謝できるような状態が、ポジティブに見方が変わった状態と言えます。
癒しが進んでいくにつれて、そのようになっていくものです。
辛い失恋であったとしても、それが癒されていくと、いつかは「出逢ってくれて、ありがとう」と思えるようになります。
そんなこと、絶対に思えないと、感じるでしょうか。
でも、みんな、そこにいくんですよ。
もし、そう思えるとしたら、そのときの自分は、どんな自分になっているでしょうか。
それを、想像してみるのも、一つの癒しへの道なのでしょう。

今日は、過去のできごとと向き合うのは、後ろ向きなこと?、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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