「ビジョン」と「ファンタジー」という概念があります。
「ファンタジー」に生きてしまうと、自分の周りの人に役割を押しつけてしまいます。
そこを抜け出すカギになるのは、「自分から与える」という視点です。
1.「ビジョン」と「ファンタジー」
「ビジョン」と「ファンタジー」という概念が心理学にはあります。
いまの自分から離れた姿を指す、という点では同じなのですが、その2つには大きな違いがあります。
いまの自分とつながっているのが「ビジョン」
まず「ビジョン」ですが、こちらはいまの自分と「つながっている」ものを指します。
ビジネスのシーンなんかで使われる「ビジョン」は、展望や理想像、未来像といったニュアンスで使われることが多いですが、そこからイメージしても近いと思います。
カフェを経営している会社が、「カフェという場を使って、いろんな人のつながりをつくりたい」と考えるのは「ビジョン」といえるのでしょう。
けれども、お弁当を提供している会社が、「ニッチな資金需要に応えられる金融サービスを」と考えたら、「???」になりますよね。
どれだけ遠くに離れているように見えても、思い描いた姿と、いまの自分自身がつながっていること。
それを、「ビジョン」と呼びます。
「ビジョン」とは、私たちをポジティブな意味で奮い立たせ、生きる喜び、あるいは充実感を与えてくれるものです。
会社には定款があるので分かりやすいのですが、私たちにはそうしたものがありません。
深いところではあるのかもしれませんが、なかなかそれは見えないものです。
だから、「ビジョン」とはそれを見つけただけで、祝杯を挙げるくらい、素晴らしいことです。
いまの自分とつながっていない「ファンタジー」
一方で、「ファンタジー」とは、その反対です。
いまの自分とつながっていない、切れているという特徴があります。
もちろん、誰しも自分の頭のなかでの空想、妄想を楽しむことはあります。
けれども、その空想や妄想に固執してしまうのが、「ファンタジー」にとらわれている状態です。
多くの場合、「ファンタジー」を抱く動機はネガティブなものです。
「大海に浮かぶ無人島で、何もせず暮らしたい」
という言葉には、どこか逃避やいまの自分への否定が感じられるものです。
そして、いまの自分と切れてしまっているとも感じられます。
それは極端な例かもしれませんが、時に私たちは「ファンタジー」に生きることで、自分を慰めたりするものです。
それは、一時的な慰めになるかもしれませんが、ずっと「ファンタジー」のなかに生きることは難しいものです。
2.周りに役割を押しつけてしまう「ファンタジー」
「ファンタジー」に生きることの一つの問題は、自分の周りの人に役割を押しつけてしまうからです。
自分の描いた「ファンタジー」、その舞台を叶えるために、周りの人たちが存在していると見てしまう。
そして、周りの人がその役割を果たさないと、腹を立てたり、傷ついたりしてしまうわけです。
周りの人にとっても、勝手に「あなたの役割はこれよ」と決められてしまうのは、面白くないものですから、葛藤や摩擦が起こりやすくなります。
それが、「ファンタジー」に閉じこもってしまうと、起こることです。
これは、「依存」的なように見えて、「自立」の過程でも起こることです。
自分の描いたように、周りの人が動いて、おぜん立てをしてくれる。
それを、期待している。
「依存」のステージでは、それは率直な要求としてあらわれますが、「自立」に至るとそれは期待になります。
どちらも、自分ではなく、周りの人の行動に基軸を置いていることには変わりはありません。
3.「自分が」与えることで抜けられる
見出しで、もう全て語ってしまいました笑
そのように見てきた「ファンタジー」を抜けるためには、「自分が」動くことが大切になります。
そのためには、「いまの」自分と向き合う必要があります。
いまの自分が、与えられることは何だろう。
いまの自分が与えるものを、必要としている人は誰だろう。
それを考えることは、地に足をつけることにつながります。
「そんなものはない!」
なんて、思わないでくださいね。
いまの自分にできることが、必ずあります。
「ある」という前提で探すことが、コツです。
どんな小さなことでもいいんです。
自分が小さいと思っているだけで、周りの人にとっては、とても大きなことかもしれません。
いまのあなたが、できることがあります。
それを探して与えていくことは、私たちをとても大きく成長させ、また心を満たしてくれるものです。
今日も、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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