大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「ファンタジー」に生きると周りに役割を押しつけてしまうが、自分から与えることで抜け出せる。

「ビジョン」と「ファンタジー」という概念があります。

「ファンタジー」に生きてしまうと、自分の周りの人に役割を押しつけてしまいます。

そこを抜け出すカギになるのは、「自分から与える」という視点です。

1.「ビジョン」と「ファンタジー」

「ビジョン」と「ファンタジー」という概念が心理学にはあります。

いまの自分から離れた姿を指す、という点では同じなのですが、その2つには大きな違いがあります。

いまの自分とつながっているのが「ビジョン」

まず「ビジョン」ですが、こちらはいまの自分と「つながっている」ものを指します。

ビジネスのシーンなんかで使われる「ビジョン」は、展望や理想像、未来像といったニュアンスで使われることが多いですが、そこからイメージしても近いと思います。

カフェを経営している会社が、「カフェという場を使って、いろんな人のつながりをつくりたい」と考えるのは「ビジョン」といえるのでしょう。

けれども、お弁当を提供している会社が、「ニッチな資金需要に応えられる金融サービスを」と考えたら、「???」になりますよね。

どれだけ遠くに離れているように見えても、思い描いた姿と、いまの自分自身がつながっていること。

それを、「ビジョン」と呼びます。

「ビジョン」とは、私たちをポジティブな意味で奮い立たせ、生きる喜び、あるいは充実感を与えてくれるものです。

会社には定款があるので分かりやすいのですが、私たちにはそうしたものがありません。

深いところではあるのかもしれませんが、なかなかそれは見えないものです。

だから、「ビジョン」とはそれを見つけただけで、祝杯を挙げるくらい、素晴らしいことです。

いまの自分とつながっていない「ファンタジー」

一方で、「ファンタジー」とは、その反対です。

いまの自分とつながっていない、切れているという特徴があります。

もちろん、誰しも自分の頭のなかでの空想、妄想を楽しむことはあります。

けれども、その空想や妄想に固執してしまうのが、「ファンタジー」にとらわれている状態です。

多くの場合、「ファンタジー」を抱く動機はネガティブなものです。

「大海に浮かぶ無人島で、何もせず暮らしたい」

という言葉には、どこか逃避やいまの自分への否定が感じられるものです。

そして、いまの自分と切れてしまっているとも感じられます。

それは極端な例かもしれませんが、時に私たちは「ファンタジー」に生きることで、自分を慰めたりするものです。

それは、一時的な慰めになるかもしれませんが、ずっと「ファンタジー」のなかに生きることは難しいものです。

2.周りに役割を押しつけてしまう「ファンタジー」

「ファンタジー」に生きることの一つの問題は、自分の周りの人に役割を押しつけてしまうからです。

自分の描いた「ファンタジー」、その舞台を叶えるために、周りの人たちが存在していると見てしまう。

そして、周りの人がその役割を果たさないと、腹を立てたり、傷ついたりしてしまうわけです。

周りの人にとっても、勝手に「あなたの役割はこれよ」と決められてしまうのは、面白くないものですから、葛藤や摩擦が起こりやすくなります。

それが、「ファンタジー」に閉じこもってしまうと、起こることです。

これは、「依存」的なように見えて、「自立」の過程でも起こることです。

自分の描いたように、周りの人が動いて、おぜん立てをしてくれる。

それを、期待している。

「依存」のステージでは、それは率直な要求としてあらわれますが、「自立」に至るとそれは期待になります。

どちらも、自分ではなく、周りの人の行動に基軸を置いていることには変わりはありません。

3.「自分が」与えることで抜けられる

見出しで、もう全て語ってしまいました笑

そのように見てきた「ファンタジー」を抜けるためには、「自分が」動くことが大切になります。

そのためには、「いまの」自分と向き合う必要があります。

いまの自分が、与えられることは何だろう。

いまの自分が与えるものを、必要としている人は誰だろう。

それを考えることは、地に足をつけることにつながります。

「そんなものはない!」

なんて、思わないでくださいね。

いまの自分にできることが、必ずあります。

「ある」という前提で探すことが、コツです。

どんな小さなことでもいいんです。

自分が小さいと思っているだけで、周りの人にとっては、とても大きなことかもしれません。

いまのあなたが、できることがあります。

それを探して与えていくことは、私たちをとても大きく成長させ、また心を満たしてくれるものです。

 

今日も、ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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