「自立」を手放すときに、「負けを認める」ことが必要になります。
それは、自分を貶めるとか、そういうわけではなく、勝ち負けの土俵から降りることを意味します。
1.おバカになる、負けを認める、降参する
先日の記事では、おバカになる、負けを認める、降参する、というテーマでお伝えしました。
おバカになる、負けを認める、降参する。 - 大嵜直人のブログ
「シャドウ」の受け入れ方というテーマからのお話でした。
「許し」のお話とも重なるのですが、普通に考えたら自分が負けるというか、損するように感じることを、受け入れる場面があります。
「え、あの男を許すなんて、私だけが損するみたい」
「そんなことしたら、バカじゃん」
「絶対、私の方が正しかったはずなのに」
そんな風に感じることが、心の世界を学んでいると、よくあります。
けれど、この「おバカになる」「負けを認める」「降参する」というのが、自分の新しい世界を開いてくれるカギになることが、非常によくあります。
変ですよね。
誰でも、賢くありたいし、負けたくないし…そう感じるのに、不思議ですよね。
昨日の記事では、そんなテーマをお伝えしました。
2.自立を手放すために
今日は、その「負けを認める」ことに、もう少しフォーカスを当ててみたいと思います。
「負けを認める」というフレーズは、自立を手放すときによく使われるものです。
けれど、それは一般的な意味での「自分が勝負に負けたことを認める」意味では、ないんですよね。
人は、まず「依存」からはじまります。
生まれ落ちたとき、小学校に入ったとき、社会人としての一歩目を踏みだしたとき。
自分では何もできないから、誰かに何とかしてほしいし、与えて欲しい、という欲求が強い状態が、「依存」です。
しかし、この「依存」の状態は、自分に主導権がないため、自分の周りに振り回されて、しんどいんですよね。
「依存的な恋愛」をイメージしてもらえると、分かりやすいでしょうか。
こうした「依存」の時代に、自分の思い通りにならない、傷ついた経験を経て、私たちは「自立」へと成長します。
「自立」とは、なんでも自分一人でやろうとする状態であり、それゆえにできることが増え、自分の足で立つことができるようになります。
しかし、「自分一人で」やろうとするがゆえに、孤独を感じやすく、孤立しやすくもなります。
この「自立」の状態が続くと、すごくがんばっているのに満たされない、報われないと感じるようになり、その果てには、もうあきらめというか、燃え尽きたような状態になってしまったりします。
カウンセリングで扱うのも、この「自立」の問題が多いのですが、この「自立」を抜け出すカギになるのが、「負けを認める」ことなんですよね。
「自立」とは、自分一人でやっていこうとする心理であり、それゆえに誰かに後れを取ったり、負けたりすることは、許されません。
それは、自分の存在意義を脅かすようにすら、感じられるからです。
何かができること、誰かよりできること、そうしたことが、「自立」の人のアイデンティティというか、支えになっているわけです。
3.勝ち負けの土俵から降りる
この状態というのは、傍から見ていてもしんどいんですよね。
だって、何かができたり、優れていたりすることが、自分のアイデンティティなのだとしたら、勝ち続けないといけないわけですし、自分ができることを証明し続けないといけないわけですよね。
さしずめ、勝ち続けないといけないトーナメントを、延々と戦っているような感じでしょうか。
それは、しんどいですよね。
これが「自立」のしんどさだったりします。
ずっとがんばっていないと、自分が保てないというか、自分が自分でいられなくなる。
ラットレースというか、回し車の上で延々走り続けるような、そんなしんどさですよね。
その「自立」を手放すことの一つが、負けを認める、ということです。
これは、負けていいとか、自分をみじめにするとか、そういった意味ではありません。
そうではなく、その「がんばりつづける競争」から降りることを、意味します。
同じ土俵で争わない、勝ち負けの土俵から降りる。
それは、言い換えれば、勝っても負けても、自分の価値は変わらないことに気づくことでもあります。
だから、自分を認めること、自分を許すこと、自分を愛することが、とても大切になるんですよね。
「自立」を手放すタイミングで必要な、負けを認めること。
それは、自分を貶めるわけでもなく、いままでの自分を否定することでもなく、その土俵から降りる、ということを意味します。
それは、「自立」の先にある「相互依存」へと踏み出すことでもあるのです。
今日は、負けを認めるとは、勝ち負けの土俵から降りること、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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