大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

桜の季節が、待ち切れない。 ~2022年 阪神ジュベナイルフィリーズ 回顧

1.レース・出走馬概要

師走の仁川で争われる、阪神ジュベナイルフィリーズ。

うら若き牝馬によって争われる、2歳女王決定戦。

舞台は阪神外回り1600mは、右回りの芝コースとしては国内最長の距離を誇る、ごまかしの効かないタフなコース設定。

外回りコースが設置された2006年以後は、ウオッカ、ブエナビスタ、アパパネ、ラッキーライラック、ソダシといった歴史的名牝が勝ち馬の名に並ぶ。

春のクラシック第1弾、桜花賞と同じコース設定でもあり、クラシック戦線を占う重要な一戦でもある。

 

1番人気に支持されたのは、リバティアイランド。

7月末の新潟デビューで、驚異の上がり3ハロン31秒4で勝っており、能力の高さは疑いようがない。

前走のGⅢアルテミスステークスでは2着も、負けて強しの内容。

鞍上の川田将雅騎手は当日香港に遠征の予定だったが、中間でコロナ陽性反応が出たため、国内に留まることとなった。

当レースも騎乗可否が懸念されたものの、幸いにして騎乗可能となった。

続く2番人気には、6月新馬、8月クローバー賞と連勝から挑むモリアーナ。

武藤善則調教師は、息子の武藤雅騎手とともに初のGⅠ獲りに挑む。

さらには、ウンブライルと横山武史騎手が3番人気で続く。

牡馬に混じって、もみじステークスで連勝を飾った逸材。

鞍上はクリストフ・ルメール騎手から横山武史騎手に乗り替わり。

そして、デビューから無傷の2連勝で、GⅢアルテミスステークスを制したラヴェル。

半姉のナミュールは昨年の同レースで1番人気を背負って4着に入り、その後も三冠戦線を賑わせた。

大外18番枠に入ったが、坂井瑠星騎手の作戦はいかに。

4番人気のラヴェルまでが、10倍以下の人気となった。

 

さらには、晩夏の札幌で牡馬に混じってGⅢ札幌2歳ステークスを勝ったドゥーラ。

初のGⅠ勝利がかかる斎藤新騎手とともに、一気の戴冠を狙う。

シンボリ牧場が送りだすのが、リバーラ。

GⅢファンタジーステークスを低評価ながら逃げ切っており、石橋脩騎手とともにGⅠの大舞台に挑む。

「出世レース」であるGⅢ新潟2歳ステークスを勝ったのが、キタウイング。

その父・ダノンバラードは、イギリスに輸出されながら、日本に残した産駒の好成績により、ビックレットファームに呼び戻されたという異色の種牡馬。

「逆輸入」となった父の名声を、さらに高めることになるか。

暮れの仁川を彩るGⅠに、多彩な18頭が揃った。

2.レース概要

有力馬が外に固まった枠順だったが、その8枠のドゥーラ、ウンブライル、ラヴェルが出遅れる波乱のスタート。

反対に絶好のスタートを決めたのが、最内のサンティーテソーロ。

逃げには難しい1番枠から、快速を飛ばしてハナを奪う。

枠なりにモリアーナ、外からキタウイングあたりが、2列目を形成する。

9番から出たリバティアイランドは、その後ろ中団前目にポジションを取り、出遅れた8枠の3頭は最後方からの追走となった。

前半800mは45秒2と、かなり前がかりのペースで、先頭は3コーナーをカーブしていく。

リバティアイランドは、川田騎手が徐々に外に持ち出して、追い出しのタイミングを図っている。

サンティテソーロが先頭のまま迎えた直線。

外からイティネラートル、内からキタウイングが追うが、しぶとく粘るサンティテソーロ。

しかし、満を持して追い出されたリバティアイランドが、大外から坂を駆け上がる。

素晴らしい伸び脚で、並ぶこともなく内を差し切っていった。

2馬身半差をつけて、悠々とゴール板を通過した。

2着には内から伸びたシンリョクカ、そしてその外から並びかけたドゥアイズが3着に入った。

勝ちタイム1分33秒1。

リバティアイランドが、世代最初のGⅠ馬の栄誉に輝いた。

3.各馬戦評

1着、リバティアイランド。

直線を向いて「もうあとは伸びるだけ」といった感もあり、着差以上に凄みを感じる勝利だった。

夏の新潟で見せた極限の瞬発力、そして持続力が問われるタフな展開となったこのレースも制した価値は大きい。

「レベルが高い」という声も聞こえる2歳世代だが、その中でも1枚上の地力を見せてくれた。

レース後のインタビューも、川田騎手からはこの馬の能力に対する自信がうかがえるものだった。

香港国際デーでの騎乗が見られなかったのは残念だったが、国内で最高の結果を出すのが見事。

父・ドゥラメンテは、これで今年のGⅠ5勝目と独走。

それに続くのがディープインパクト、キングカメハメハの2勝であることを考えると、いまさらながら早世が惜しまれる。

2023年、春。

桜の開花が、ことさらに楽しみになった。

 

2着、シンリョクカ。

新馬勝ちから直行の1勝馬、12番人気からの激走には、驚いた。

勝ち馬の内のポジションを確保し、直線抜け出す木幡初也騎手のエスコートがハマった。

状態の良かったインコースの馬場も味方したとも思われるが、何より関東からの輸送というハードルもありながら、この結果は地力の高さを示している。

新種牡馬・サトノダイヤモンドの初年度産駒、春の走りを楽しみにしたい。

 

3着、ドゥアイズ。

こちらも関東馬、10番人気での激走。

2着のシンリョクカ同様、内の進路から伸びてきた。

夏の札幌でコスモス賞、札幌2歳ステークスで連続2着からの競馬だったが、末脚の伸びは際立っていた。

距離が伸びた方がよさそうにも見え、来年の桜、そしてその先の樫まで、長い目で見ていきたい。


 

桜の開花が、ことさらに楽しみになる快走。

2022年阪神ジュベナイルフィリーズ、リバティアイランドが制す。

 

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