「寂しさ」はネガティブな感情ではありますが、とても大切な感情でもあります。
それは、自立を手放していくための大切なカギでもあります。
1.「寂しさ」を抑圧する理由
先日の記事では、「寂しさ」を抑圧する理由、というテーマでお伝えしました。
「寂しさ」を我慢したあなたは、誰かを守ろうとしていたのかもしれない。 - 大嵜直人のブログ
「寂しさ」とは、私たちが母親の胎内から生まれ落ちた瞬間から感じる感情といわれます。
それくらい、原初的な感情であり、また根源的なものであるようです。
人は「寂しさ」を感じるのを嫌い、それを忘れるために刺激物に頼ったりもすることもあります。
アルコールやギャンブルはメジャーなところですが、不倫などのアンダーグラウンド、あるいは身体を壊すほどのハードワークもまた、刺激物といえます。
ただ、「寂しさ」はネガティブなものではありますが、大切な感情でもあります。
「寂しさ」があるがゆえに、その反対にあるつながりや温もりを感じることができるからです。
逆に言えば、「寂しさ」を切り離していると、人とのつながりが切れ、また孤独感を感じやすくなります。
しかし、私たちは時に「寂しさ」を我慢したり、抑圧したりしてしまうことがあります。
昨日の記事では、誰かを守ろうとするために、「寂しさ」を我慢することもある、という視点をご紹介しました。
自分が「寂しい」ということで、周りの人を傷つけないために。
自分の「寂しさ」よりも、周りの人の感情を守ろうとするために。
そんな理由から「寂しさ」を我慢することも、あるのでしょう。
だとしたら、「寂しさ」を我慢することは、決して責められることでもないのです。
2.心の成長プロセス
さて、今日はこの「寂しさ」について、ちょっと違う視点で見てみたいと思います。
ネガティブな話ではなく、「寂しさ」とは、それくらい大切な感情なんです、という視点です。
それが、「寂しさ」とは、自立を手放すカギである、という点です。
私たちの心は、依存から自立、そして相互依存というプロセスで成長していきます。
誰もが、最初は依存からスタートします。
依存は、自分には何もできないから、誰かに何とかしてほしい、という心理の状態ですね。
しかし、それは主導権が相手にある状態であり、相手次第の状態といえます。
それが苦しいので、人は「それなら、自分でやる」とばかりに、自分一人でやろうとします。
これが、自立へのステップです。
自立すると、自分でできることが増える反面、孤立や孤独を感じやすくなり、つながりを感じづらくなります。
自分のやり方や正しさへのこだわりが強く、周りとの葛藤や、衝突が増えるのも、この自立のステージの特徴です。
カウンセリングで扱う問題の多くも、この自立に起因する問題だったりもしますね。
この自立を手放していくと、相互依存に入っていくことができます。
自分のことは自分でする、自分でできないことは誰かを頼る、というシンプルかつ楽なステージです。
win-winの関係ともいわれますよね。
ただ、言うは易し、行うはナントヤラ…の典型で、この自立を手放すというのが、実に難易度の高いものだったりします。
3.「寂しさ」は、自立を手放すための大切なカギ
さて、この自立を手放すためのカギが、「寂しさ」だったりします。
なんたって、自立は「なんでも自分一人でやろうとする」わけですから、「寂しさ」を感じることが嫌いです。
「寂しさ」を感じてしまうと、自分が自分でいられなくなるような、そんな怖さすら、持っていたりもします。
人がなぜ自立するかといえば、それは依存時代に傷ついたからです。
「寂しくても、誰も相手をしてくれなかった」
「自分の気持ちが分かってもらえず、寂しくて仕方なかった」
そういった経験が、「もう二度と寂しさなんて感じたくない」と、「寂しさ」を封印させるのです。
でも、感情をなくすことはできませんし、抑えつけるために膨大なエネルギーを使ってしまうのは、以前にも書いた通りです。
自立のしんどさ、辛さを解消していくためには、もう一度、人とのつながりを取り戻していく必要があるんですよね。
そのカギになるのが、「寂しさ」です。
自立している人にとって、「寂しさ」を感じることは負けに等しく、また恐ろしく感じるものです。
それを感じるくらいなら、しんどいままでいい、と思ったりもします。
けれども、真実は逆なり、なんですよね。
忌み嫌ってきた「寂しさ」こそが、自立の人を次の相互依存に導いてくれるのです。
「寂しさ」は、悪いものではありません。
ただ、自立の人にとっては、それを感じることに怖さを覚えたりもします。
けれど、大丈夫なんです。
その怖さを感じるのは、あなたの心が「寂しさ」を感じ、その先にあるつながりを求めているだけなのですから。
今日は、「寂しさ」は、自立を手放すためのカギ、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
〇大嵜直人のカウンセリングの詳細はこちらからどうぞ。
※次回1月度のカウンセリングは、12月26日(木)から募集開始となります。
〇カウンセリングのご感想のまとめはこちら。