「自立」の問題として、相手からの愛を受けとれない、という問題があります。
「自立」の受けとれない心理と、それを癒していくためのヒントをお伝えします。
1.「自立」の受けとれない問題
「依存」と「自立」のテーマを、ここのところ続けております。
「依存」とは、自分は何もできないので、誰かに何とかしてほしい心理の状態です。
だから、周りに「ください」「ちょうだい」をしてばかりで、自分が与えることができない状態といえます。
それゆえに、主導権が自分になく、与えてもらえるかどうかは相手次第、というのが「依存」です。
それがしんどいので、人は「それなら、自分一人でやる!」とばかりに、自分の力でなんとかしようとし始めます。
これが、「自立」ですね。
「自立」していくと、自分でできることが増える反面、孤独感を感じたり、孤立したりしやくすなります。
また、自分のやり方や正しさにこだわるため、周りとの葛藤を抱えやすくなります。
カウンセリングで扱う問題の多くも、この「自立」の問題だったりします。
この「自立」を手放してくと、「相互依存」という世界があるのですが、今日はその前の「自立」のお話です。
「自立」的な人の典型的な傾向として、「周りからの愛が受けとれない」という問題があります。
「自立」している人は、周りに何かを与えようとします。
それは、とっても素晴らしく価値があることなんですが、当の本人だけが、その価値を受けとれなかったりします。
「これくらいやって当然」とか、「別に普通です」とか、「自立」的な人の口癖ですよね笑
どれだけ周りが感謝したり、純粋に愛を差し向けてきたとしても、「受けとれない」。
まるで高速首振り扇風機のごとく、「いやいや、そんなことは」と受け取り拒否してしまう。
受けとらないことをずっと続けていると、やがて枯れます。
「なんで、自分だけここまでやってるんだろう」
「ずっとこれを続けるのも、疲れる」
本来は、その人の才能の発露として「与える」ことをしていたのに、いつしかそれが辛いもの、無味乾燥したものに変わってしまう。
それが、「自立」の問題であり、しんどさです。
2.競争心が、受けとることを阻害する
じゃあ、「自立を手放して、受けとりましょう」ってことにはなるんですが、それがすぐにできたら、誰も苦労しません笑
なので、今日は「自立の人が受けとれない心理」を、少し掘り下げてみたいと思います。
カギになるのは、「競争心」です。
「自立」していると、どうしても個としての優劣を競うようになります。
「これだけできるから、自分には価値がある」と、思いたいんですよね。
それは、「依存」時代にできないことが多かった分だけ、しんどい思いをした裏返しといえます。
何もできないことからくる無価値観の裏返し、とも表現できるでしょうか。
だから、「自立」が進めば進むほどに、勝ち負けにこだわりますし、あるいは自分の正しさに執着するようになります。
なぜか。
そこで自分が負けてしまったり、間違っているとなったら、またあの辛い「依存」時代に叩き落されてしまうから。
だから、絶対に負けられないんです。
そして、一般的に「与える」ことは、勝者側のイメージになりますから、「受けとったら負け」となってしまいがちになります。
「受けとる」って、なんか施しを受けている感じで、負けたような気がするから。
パートナーシップにおいて、お互いが主導権を主張してケンカになるのも、お互いが
「依存に落ちたくない」
「相手の風下に立ちたくない」
という意識の表れです。
もちろん、別に「受けとった」ところで、負けでもなんでもありません。
それどころか、受けとらないと、真に「与える」ことはできなかったりしますから。
「自立」の人が受けとれない心理。
その裏側には、「競争心」が一つのカギとしてあるようです。
「競争心」があると、相手を下に見ようとします。
そうすると、「いや、国王が平民から施しを受けられるか!」とばかりに、受けとれなくなってしまいます。
これが、「自立」の人が受けとれない理由の一つです。
3.相手を愛の存在として見ることができたなら
「自立」の人が愛を受けとれないのは、相手と競争してしまうから。
そうだとするなら、その解消策も見えてきます。
そうです、「競争しなければいい」んですよね。
たとえるなら、相手が隣のレーンにいて、スタートの号砲を待っているようなイメージを持っているなら、それは競争相手になってしまいますよね。
それを、お互いがお互いを支え合うイメージに変えることができたら、別に競争しなくてもいいわけです。
陽だまりの下の縁側で、お茶をすすってもいいでしょう。
ザイルをつないで、一緒に登山するイメージでも、いいのでしょう。
もう少しいうならば、自分が相手をどう見ているか、という見方を変えていく、ということです。
ものの見方、とらえ方をポジティブに変えることを、「癒し」と呼びますが、まさにそれです。
相手を「何もできない人」と見るのか、それとも「自分にはない、すてきな魅力や価値を持った人」と見るのか。
相手を「弱くて頼りない人」と見るのか、それとも「真の強さを持った人」と見るのか。
相手を「かわいそうな人」と見るのか、それとも「とても豊かな人」に見るのか。
もし、後者の見方をすることができたら。
その相手からの愛も、受けとりやすくなるのでしょう。
愛を受けとるためには、相手をどう見ているか、という見方を変えていくこと。
ただ、相手の見方を変えていくということは、自分自身をどう見ているかを変えていくことと、実は同じことです。
だって、相手をどう見るかというのは、すべて自分が自分をどう見ているかの「投影」なのですから。
だから、結局のところ、自分を愛しましょう、自分の価値を受けとりましょう、という、いつもの結論に落ち着いてしまうのですけれども笑
今日は、愛を受けとるには、自分が相手をどう見ているかにかかっている、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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