学校も企業も、週休二日制が一般的になったのは、いつごろだったのか。
そんなことを、考えることがあります。
私が小学生のころは、まだ土曜日も午前中だけ学校があったことを覚えています。
おそらく会社もそうで、「半ドン」という言葉があったのを思い出します。
午前中だけとはいえ、土曜日に学校があると、金曜日の夜の解放感も半減してしまうものです。
その分、土曜日の授業が終わったあとの、「やりきった感」は大きかったのでしょう。
土曜日の午前中、授業が終わると校庭に集まってから、分団で下校していました。
そのときは、みんないい顔をしていたように覚えています。
私の両親は共働きでしたので、土曜日は母方の祖母の家に、お昼ご飯を食べに行っていました。
実家から、歩いて10分ほどの距離だったでしょうか。
お昼を済ませた後は、その2軒隣の習字教室に行くのが、土曜日の日課でした。
習字教室といっても、その教室で課題の字を書いて、それをおじいちゃんの先生に持って行って、丸をつけてもらうだけだったように思います。
どちらかというと、子どもを預かるためというか、そんな場所だったのかもしれません。
小学生の元気な子が集まるので、ご想像のとおり、壁にはいっぱい墨を飛ばした後がついていました。
やんちゃな子たちが騒いで、おじいちゃん先生に何度も注意されていました。
けれども、その習字教室は、私が通っている学校と違う学区にあったため、そこで友達に会うことはありませんでした。
私はいつも一人で、課題の字を書いて、先生に朱色の墨で花丸をもらって、筆を洗って帰ってくるのでした。
だからでしょうか、自分が喋っている記憶はほとんどありません。
流しで墨を洗っているときに、流れていく墨がゆらゆらと描く模様を、思い出します。
その習字教室のあとは、近所の公園で、また一人遊びをするのが、常だったように思います。
みんなが心躍る土曜日ですが、私の土曜日はいつも静かだったように思います。
それが嫌だったのかといえば、そうでもないようで。
好きなように時間割を組める大学生になった私は、土曜日に授業を入れたものでした。
土曜日だろうがなんだろうが、どうせ学校に来て、楽器を弾くことには変わりがないので、授業があった方が都合がよかったのかもしれません。
履修者の少ない、土曜日の午前中の語学の授業。
どこか、平日のキャンパスとはちがって緩んだような、そんな雰囲気がありました。
教授の話も、どこか脱線したりすることが多くて。
土曜日の静かなキャンパスの中で受ける授業を、好きだったことを思い出します。
静かな、土曜日の思い出です。