大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

嫌な思い出を忘れることは難しいかもしれないけれど、そこに自分の愛を見つけることはできる。

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思い出したくもないのに、夢にまで出てくるくらいの、嫌な思い出。

そんな嫌な思い出は、できれば忘れてしまいたいものです。

しかしながら、その嫌だった出来事から、自分の愛を見つけることはできるのかもしれません。

オンラインカウンセリング無料相談・ココロノマルシェに寄せられたご相談に、回答させていただきます。

【嫌な思い出を今でも引きずってしまう】

高校2年生の時にそれまで所属していた吹奏楽部を辞めたことを今でも引きずっています。

もう思い出したくもないぐらいですが、このまま嫌な思い出として引きずっているのも辛くどうにかしたいです。

辞めた理由は、あまりに自分が下手すぎて行くのが辛くなったからです。高校1年生の頃はまだ楽しめてました。

ですが、高校2年生になって、とっても上手な後輩が入ったこと、また同じ楽器を担当していた子がみんな辞めてしまったことなどから、徐々に行くのが嫌になっていきました。

後輩は本当にみんな上手く、それに比べて自分は本当に下手で、裏で先輩にも同級生にも後輩にも色々悪口を言われてました。

悪気はあまり無かったかもしれませんが、辞めないで続けられてすごいよね〜自分ならとっくに辞めてる、と先輩に言われた時はよくそんなこと直接言えるな、と思いつつとてもショックでした。

後輩に悪口を言われていたのを聞いてしまった時はもうしんどかったです。

他にも色々とあり、その頃には部活がある日の朝は絶望感の中起きて無理やり行き、感情を無にして過ごしていました。

それからだんだんと耐えられなくなり休むようになってから、もう無理と辞める決断をしました。

中学から吹奏楽はやっていましたが(ちなみに中学の時は大変でしたがとても楽しく良い思い出です)、今まで辞めるという選択肢を考えたこともなく、辞めた自分にびっくりという感じもありました。

仲の良い友達にも辞めたことを話したらとても驚かれました。辞める決断が出来たことは本当に良かったと思いますが、今でも何度も夢にみるぐらいトラウマ?になっています。

上手くまとまってなく申し訳ですが、どうしたらこのような嫌な思い出を忘れられるでしょうか?この事は誰にも話せたことがなくて、ずっとモヤモヤしていたので相談させて頂きました。

(らら さん)

ららさん、ご相談ありがとうございます。

文筆家・心理カウンセラーの大嵜直人が回答させていただきますね。

まずは、ららさん、誰にも話したことのないお悩みを、こうしてお送りくださり、ありがとうございます。

いままで誰にも話していないことを、言葉にするのは、勇気が要ったのではないでしょうか。

嫌な思い出を、どうにかしようと勇気を出された、ららさんご自身を、まずはいたわってあげてくださいね。

よく、勇気を出してくださいました。


 

さて、ご相談文の内容ですが、高校2年生という多感な時期に、辛い出来事があったのですね。

「中学の時は大変でしたがとても楽しく良い思い出です」と書かれているくらいですから、思春期のららさんにとって、吹奏楽はたいせつなものだったことと思います。

そのたいせつな吹奏楽の時間が、絶望感を覚えるくらい辛くなり、感情を切って過ごす時間になってしまったこと。

同じ楽器を担当していた友達が、辞めていったこと。
後輩がみんな上手く、それに引け目を感じていたこと。
そして何より、先輩、同級生、後輩に、自分の悪口を言われているのを聞いてしまったこと。

どの一つをとっても、心が張り裂けるくらいの出来事だったと思います。

>他にも色々とあり、その頃には部活がある日の朝は絶望感の中起きて無理やり行き、感情を無にして過ごしていました。それからだんだんと耐えられなくなり休むようになってから、もう無理と辞める決断をしました。

よく、「辞める」という決断をされましたね。

絶望の中、無理矢理行って、感情を切って過ごす時間。

そんな環境に居続けることで、心身を疲弊させてしまうよりも、「辞める」という決断をされたことは、ららさんご自身を大切にされた決断だったと思います。

その決断をされた、当時のららさんを、ぜひいたわってあげてください。

しんどかったよね。
よく、我慢したよね。
よく、決断したよね。

はるか昔の、私の高校時代を振り返ってみると、どこか学校の部活は、「辞める=悪いこと、逃げること、ずるいこと」のような風潮がありました。

ららさんの高校では、どうだったのかは分かりませんが、もしそんな風潮があったとしたら、辞めることにも非常に勇気が要ったのではないでしょうか。

何も悪いことなんか、ないんです。
逃げていいんです。
ずるくなんか、ないんです。

自分の合わない環境、
自分を大切にしてくれない人、
自分の悪口を言う人からは、
離れていいんです。

そこに居続けることの方が、時に「自分いじめ」になってしまいます。

よく、辞める決断をされましたね。

どうか、その決断をされた、当時のららさんを、抱きしめてあげてください。


 

まずはそれをお伝えした上で、ららさんのご相談の主旨にお答えしていきたいと思います。

>上手くまとまってなく申し訳ですが、どうしたらこのような嫌な思い出を忘れられるでしょうか?この事は誰にも話せたことがなくて、ずっとモヤモヤしていたので相談させて頂きました。

嫌な思い出を、どうやったら忘れられるのか、私も明確な答えを出せずにいます。

ほんとうに、忘れたい思い出や黒歴史って、ありますよね・・・(遠い目)

失敗をしたこと、
嫌われたこと、
うまくいかなかったこと、
フラれたこと・・・
誰にでも、いろんな忘れたい思い出が、あるものです。

それを、スマホに保存した写真のように、簡単に「消去」できるならいいのですが、なかなかそうもいかないものです。

記憶というのは、本当に不思議なもので、何年、何十年も前の出来事を、昨日のことのように覚えていたりします。

楽しいこと、心躍ることを意識的に重ねていくことで、思い出しにくくは、なるかもしれません。

けれども、他のことをしていても、ふっとした瞬間に、ある記憶がよみがえったりします。

 

ららさんのご相談文からも、そんな苦しさが感じられます。

「今でも何度も夢にみるぐらい」と書かれていますが、寝ている時の夢の内容をコントロールすることは、なかなか難しいでしょうから。

いい思い出も、悪い思い出も。

すごいですよね、私たちの頭と心というのは。

さて、「忘れる」ということは難しいのかもしれないのですが、「変える」ということは、もしかしたらできるかもしれません。

それは、「なかったことにする」というわけではありません。

起こったことの「意味づけを変える」、と表現できるでしょうか。

高校2年生のららさんがご経験された辛さ、絶望感、苦しさ、痛みは、どこまでいっても嫌なことです。

そこには、どこまでも寄り添って、大切な決断をされた、ららさんご自身をいたわっていただきたいのです。

その上でなのですが、なぜ、そこに痛みを感じるのでしょうか。

それは、ららさんと一緒に、考えてみたいなと思うのです。


 

好きだった吹奏楽を、続けられなかったことでしょうか。

同じ楽器の友だちが、辞めてしまったことでしょうか。

自分よりも上手い後輩が、入ってきたことでしょうか。

周りのみんなに、悪口を言われたことでしょうか。

どれも、十分すぎるほどに、痛みを感じる原因だと思います。

その一つだけでも、十分に嫌な思い出だと思います。

しかし、ららさんのご相談文から、私が感じる原因は、少し違います。

ご相談文から感じることですが、ららさんはとても繊細で、優しい方だと思います。

この悩みを、いままで誰にも話すことなく、ご自身の中に留めておかれたことからも、それは感じられます。

そして、ご相談文のこの部分です。

>悪気はあまり無かったかもしれませんが、辞めないで続けられてすごいよね〜自分ならとっくに辞めてる、と先輩に言われた時はよくそんなこと直接言えるな、と思いつつとてもショックでした。

ひどいことを言う先輩が、いたものですよね、ほんと。

怒っていいところだと思います。

 

それなのに、です。

ららさんは、このご相談文に書くのにも、「悪気はあまり無かったかもしれませんが」と、先輩のことを庇おうとされています。

カウンセラーに向けた言葉で、そうされるのですから、実際の場面では、ららさんはもっと、先輩のことを悪く言いたくない、と思われていたのかもしれません。

そのことに、ららさんご自身が、どれくらい気づいておられるか分かりません。

けれど、ららさんは、自分を責めたて、悪口を言ってきた人に対しても、気を遣うくらい、やさしいんです。

あまり、実感ないでしょうか?

実感があっても、なくても、私はお伝えします。

それくらい、ららさんは素晴らしいやさしさを、持っておられる方だと、私は思うのです。


 

もしかしたら、ですが。

ららさんは、悪口を言ってくるような先輩や後輩や、そうした人たちに対して、それでも何とかその人たちを受け入れようと、されてきたのではないでしょうか。

自分が傷つくようなことを、何度言われても。
それでも、その人たちを受け入れよう、一緒に仲良くしたいから。
何より、みんなでつくりあげる吹奏楽が、好きだったから。

そんな風に、頑張ってこられたのでは、ないでしょうか。

人は、誰かから愛されなかったことよりも、
誰かを愛せなかったときに、深く傷つきます。

もしかしたら、ららさんもそうだったのかもしれません。

ららさんが、何度も思い出してしまうくらい、嫌だった想い出。

そこに、私はららさんの、人としての限りない優しさを見ます。

もちろん、だからといって、ららさんがそこで深く傷ついたことが、なくなるわけではありません。

 

ただ、お伝えしたいのです。

お話しいただいた思い出には、たくさんのららさんの素晴らしいやさしさが、あふれていると、私は感じます。

自分を非難したり、悪口を言ってくるような人を、受け入れようと、理解しようとされること。

それは、誰にでもできることではありません。

ららさんの、やさしさがあふれています。

そんな風に見ると、ららさんの嫌な思い出は、少し違った感触を持ってきませんでしょうか。

もし、そんな感触を、持っていただけたのでしら。

ふとその記憶を思い出したときには、そんな見方をしてみると、少し楽になるのかもしれません。

「わたしは、深く傷つくくらい、とてもやさしかったんだ。それでも、愛そうとしていたんだ」

そんなふうに、感じでいただけたら、幸いです。


 

もし、そうだとしたら。

ららさんのその才能ともいえるやさしさを、これから誰に向けていきたいでしょうか。

ららさんのそのやさしさを、とても喜んで受け取ってくれる人に向けて、与えていってほしいな、と思います。

誰にも話したことのない、大切なお話を、こうして寄せてくださったことに、感謝申しあげます。

ららさんのこれからを、応援申しあげております。

この度は、ご相談いただきまして、ありがとうございました。

文筆家・心理カウンセラー
大嵜 直人

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