大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

あの蝉の声を探して歩く、大暑に向かうころ。

今週半ばに、私の住んでいる東海地方でも梅雨明け宣言が出されました。

ぐずぐずとした梅雨空から、刺すような強い日差しの夏空に変わったようです。

名古屋でも、連日36度を超えるような猛暑日が続いています。

時候は「小暑」から「大暑」に移り変わるころ。

一年で最も暑いとされる時期になりました。

七十二侯では、「鷹乃学習(たかすなわちわざをなす)」。

5月、6月に生まれた鷹のヒナが、飛ぶことや獲物をとることを学び、巣立ちが近づいていくころとされます。

鷹というと動物園でしか見たことがないのですが、この一番暑い時期に、そうした「わざ」を習うのは大変だなぁ…と、ひとごと(鷹ごと?)ながら思ってしまうのです笑

朝のウォーキングをしていても、もう6時台でもずいぶんと暑さを感じるようになりました。

帰り道などは、できるだけ日陰を歩かないと…と感じるような気温になります。

 

それにしても、ほんとに夏が暑くなりました。

人は、自分が子どものころから思春期のころの常識を、ずっと大切にしてしまうそうですが、この「季節の感覚」もまた、そのように感じます。

なんというか、私が子どものころは、夏休みに一人で市民会館の横の公園で昆虫採集に勤しんでいましたし、中学、高校でも普通に朝から部活でサッカーをしていました。

もちろん、「暑いなぁ」とは思いましたが、気合と根性でなんとかなったんですよね笑

それが、いまは36度とか37度とか、体温よりも高い気温が普通にあります。

温暖化なのか、ヒートアイランド現象なのか、よく分かりませんが、私が子どものころに身につけた常識は、いまの現実とはそぐわないようです。

もし、子どもが一人で公園に遊びに行くと聞いたら、それこそ「いのちの危険」を警戒しないといけないように思います。

それくらい、いまの夏の暑さは危険に感じます。

 

そんな夏ですが、ずいぶんと蝉の声も元気になってきました。

なんというか、この蝉の声を聞くと「夏が来たなぁ」と感じます。

ただ、今年はなんか違和感があるんです。

それが、「シャーシャーシャー」と鳴くクマゼミの声しか、聞こえないことです。

私が子どものころは、蝉と言えばアブラゼミがほとんどでした。

「ジジジジジ」と鳴く、茶色と黒のアブラゼミ。

近所の公園での蝉取りで、アブラゼミばかり捕っていたように思います。

たまに、少し小さい個体のニイニイゼミや、お盆を過ぎるとツクツクボウシが出て来たり。

透明な翅をもつクマゼミは、ほとんど見かけなかったんですよね。

それが、今年の夏は、クマゼミの声しか聞こえない。

それが、なんだか「自分の知っている夏とちがう!」という感じがしてしまうんです。

 

まあ、私が蝉に遊んでもらったときからすると、30年以上が経っているわけですから、生態系が変わるのも当たり前といえば、当たり前なのかもしれません。

でも、息子と一緒に蝉取りをしていた数年前は、アブラゼミとクマゼミが両方いたように記憶しているのですが…

そういえば、以前に「クマゼミは体が大きいので、他の蝉よりも繁殖力が強い」と聞いたことがあります。

それも自然の摂理なのかもしれませんが、なんだかアブラゼミの声が聞こえないことに、寂しさを感じてしまうのです。

だからでしょうか。

この夏の暑さのなかを歩いていると、アブラゼミの声を探してしまうのです。

果たして、私はこの夏にアブラゼミの声を聞けるのでしょうか…?

 

そんな蝉談義はさておき、いよいよ夏も本番です。

辟易する暑さもありますが、もう2週間もすると、暦の上では「秋」になります。

そう考えると、この暑さもまた、どこか惜しくも感じるのです。

そんな「大暑」に向かうころです。

暑さに気をつけながら、どうぞご自愛くださいませ。