私たちは、自分の勝手な思い込みによる判断で、相手の言動から傷ついてしまうことがあります。
そうしたことを防ぐために、判断をいったん保留するという見方をご紹介します。
1.信頼のための「感情的理解」
昨日の記事では、信頼のための「感情的理解」、というテーマでお伝えしました。
相手を信頼するための「感情的理解」について - 大嵜直人のブログ
「自立」から「相互依存」へと成長していくためにカギになるのが信頼です。
ただ、一口に信頼といっても、なかなか難しいものです。
「信頼している」と思っても、自分が望んだような結果や現実が出ないと、相手を責めたくもなりますし、自分にダメ出しをしたくもなります。
けれど、その状態だと、そのたびに自分が揺れるし傷つくし、「もう、それなら信頼しない方がマシじゃないか…」となってしまったりします。
そうすると、また「自立」の道を一人歩むことになってしまうわけです。
昨日の記事では、こうした罠にはまらないために、相手を「信頼」するために持っておきたい視点をご紹介しました。
それが、感情的理解、という視点です。
目に見える相手の言動から何かを判断するのではなく、それをいったん脇に置いて、その相手が置かれている状況や、相手の感じている感情を想像してフォーカスする、という見方です。
もちろん、私たちは他人の感情を完全に理解することなどできませんし、その想像が間違っていることだって、あるのでしょう。
けれども、
「もしかしたら、こうかもしれない」
と考えてみることは、私たちの相手への理解を深め、そして信頼を導いてくれる視点だったりします。
2.判断をいったん保留する
さて、こうした理解の仕方の障害になるのが、私たちの「判断」です。
思い込みや観念とも表現できるかもしれません。
「こうだったら、こうなはず」
という判断が、私たちを信頼から遠ざけるのです。
そして、この判断の根拠になっているのが、私たちの観念というか、思込みです。
「好きだったら、毎日連絡くらいくれるはず」
「多少体調が悪くても、大切な人のためだったら無理するのが普通」
「親だったら、これくらいわかっているはず」
…などなど、こうした判断って、気づかないうちに無数にしていますよね。
でも、その判断が正しいかどうかは、実はわからないんですよね。
最初の例でいえば、「心が通い合っているなら、連絡の頻度はどうでもいい」と考える人にとっては、全然当たり前ではないわけです。
二つ目の例でいえば、「自分を整えてこそ、相手を大切にできるんだから、自分が無理するのは相手を傷つけることにもなりかねない」と思う人にとっては、無理しないのが普通なわけです。
最後の例でいえば、「親なんてはじめての経験ばかりなのだから、わからなくて当たり前」なことも、いくらでもあるわけです。
けれども、そうしたことを考えずに判断を入れてしまうと、
「毎日連絡くれないなんて、私のことは好きじゃないんだ」とか、
「私はこんなに尽くしてあげてたのに、どうして同じだけ返してくれないの…」とか、
「親に大切にされていないんだ」とか、
そんな風に勝手に傷ついてしまうわけです。
まあ、自作自演というか、自分で掘った落とし穴にはまるというか、そんな状態ですよね笑
だから、こうした判断はいったん保留してみるのが、大切なのです。
「私は大切にされていないように感じる」
そう感じたことを、いったんカッコに入れるというか、一つの意見としてとらえてみること。
それができると、少し見えてくる風景が変わります。
3.相手は何を感じているのだろう
自分は、こう感じた。
それは、それでいいんです。
ただ、「あぁ、私は『連絡の頻度が少ないから、愛されていないと感じた』んだなぁ」と、そう思うだけでいいんです。
そこに、いいも悪いも、ありません。
むしろ、そこで「いや、それはおかしい」とかしだすと、自分責めにつながってしまいますから。
自分は、そう感じたんだな。
それをいったん脇に置いたうえで、相手の方に目を向けてみるのです。
といっても、相手に憑依したり乗り移ったりしろ、と言っているわけではありません。
なんか、それは怖いですよね笑
そうではなくて、考え方としては、こうです。
「もし、自分が相手の立場だったら、何を感じているだろう。どんな感情を抱いているだろう」
もちろん、完全に相手の立場を理解することは、できません。
ただ、想像するだけでいいんです。
もし、自分がその立場だったら。
どんなことを感じるのだろう、と。
それは、すぐには答えの出てくるものでは、ないかもしれません。
長い時間が経ってから、「あ、もしかしたらこうだったのかも」と気づくものかもしれません。
ただ、その想像の架け橋を、かけ続ける、ということ。
それが、「感情的理解」へと、そして真の「信頼」へと私たちを導いてくれるものです。
今日は、勝手な思い込みで傷つかないためには、判断をいったん保留することが大切、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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