「伝わって当たり前」と思う裏には、「伝わらない方がおかしい」、そして「伝わらないことが怖い」という心理があります。
それは、「伝わらなかった」という過去の痛みからきていることがあるのです。
1.自分の愛が伝わって当たり前と思い込む心理
昨日の記事では、自分の愛が伝わって当たり前と思い込む心理、というテーマでお伝えしました。
自分の愛が伝わって当たり前と思い込んでしまう心理。 - 大嵜直人のブログ
私たちは、自分のできることは、他の人もできると思い込みがちです。
当然、そんなことはありませんし、自分が毎日日記が書けるからといって、すべての人がそうではありませんし、自分の親が片付けができる人だからといって、自分がそうとは限りません笑
ただ、そう思い込んでしまうのには、「投影」の心理が働いています。
「投影」とは、自分の内面にある感情や価値観、観念といったものを、周りに映し出す心理を指します。
夕焼けを見て「寂しい」と思うのか、「美しい」と思うのかは、そのときの自分の内面の感情を映し出しています。
同じ人と接しても、「なんかとっつきにくい」と感じるか、「接しやすそうな人!」と感じるのかは、その人に似た人のイメージを投影しているといえます。
突き詰めていくと、この世界は自分自身がつくり出している、という考え方もできますよね。
さて、愛についての考え方もまた、同じです。
「自分がこうされると愛されていると感じる」と思うことは、相手もまたそう思うはず、と思ってしまいがちなんですよね。
だから、自分が「相手のために」と思ってすることは、必ず相手が受けとってくれるものだと「投影」してしまうわけです。
けれど、愛の定義は十人十色であり、その定義の違いが、愛のすれ違いを生んでしまうことがあります。
昨日の記事では、そんな「投影」の心理から見る、愛のすれ違いについて、お伝えしました。
2.「投影」を取り戻す
さて、こうした「投影」の心理は、何も愛のすれ違いを生む悪いもの、というわけではありません。
むしろ、外の世界を通じて、自分の内面の感情や価値観に気づかせてくれるものです。
たとえば、周りで「怒り」を感じるようなできごとが続いたとしたら、それは自分の内面にある「怒り」に気づかせてくれるように。
周りにきつい口調で話している人を見て、自分が責められているように感じたとしたら、自分が自分を責めている罪悪感が潜在的にあると気づかせてくれるように。
自分の周りは仕事のできる人ばかりに見えるとしたら、自分のなかに劣等感や無価値感、仕事ができないという思い込みがあると、気づかせてくれるように。
こうした、「投影」であることに気づくことを、「投影を取り戻す」と呼んだりします。
関係性の近くなるパートナーシップでも、非常によくあるケースですね。
彼への怒りが、実は自分の母親への怒りを「投影」していたことに気づいたりするケースです。
そうすると、解消し、癒していくべき根源は、母親への怒りになったりもします。
このあたり、カウンセリングのなかでも非常によく出てくるテーマで、パートナーへの感情が、実は別れた前のパートナーへのそれであったり、親への感情であったりするのは、よくあることです。
ただ、自分ではなかなか気づきにくいんですよね。
3.愛は伝わって当たり前の裏に潜んでいる心理
さて、こうした「投影」の心理を深掘りしていくと、おもしろいんですよね。
先ほどの「愛は伝わって当たり前」という心理もまた、少し違って見えてきます。
「愛は伝わって当たり前」という想いの裏には、「伝わらない方がおかしい」という防衛線が引かれていることがあります。
自分の愛や想いは、伝わるのが当たり前だ、伝わらないのは相手がおかしい。
心がこう考えるときって、本心はその逆にあることが多いものです。
「自分の愛が伝わらないのが怖い。だから、伝わって当たり前、ということにしておきたい」
はい、イヤな感じですよねぇ…あまり見たくないですし、蓋をしておきたいところです笑
伝わらないのが怖いということは、伝わらなくて傷ついた経験がある、ということです。
その経験のなかで、「愛は伝わって当たり前」という観念を持つようになったのかもしえません。
だから、こうした「投影を取り戻す」というプロセスの中で、自分の心の傷と向き合うことは、非常に大切なプロセスになります。
その傷の痛みを癒し、和らげていくことで、「投影」のもとになっている強固な価値観や観念、思い込みがゆるんでいくわけですから。
簡単に、「思い込みをなくしましょう」といっても、難しいものです。
それよりも、その思い込みの原因となっている心の傷や、過去のできごとと向き合い、それを癒していくことが、とても大切なのです。

今日は、「愛は伝わって当たり前」の裏側に潜んでいる心理、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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