好きなことをしましょう、とはよく言われるところです。
しかし、好きなことを知るためには、「嫌い」をはっきりさせることもまた大切ですし、その嫌いなこととどう付き合っていくかも、また大切なのです。
1.好きなことが分からないときは
昨日の記事では、好きなことが分からないときは、というテーマでお伝えしました。
好きなことが分からないことは、悪いことでも何でもない。 - 大嵜直人のブログ
カウンセリングでは、実にさまざまな問題についてのお話を伺います。
パートナーとの問題、仕事の上での人間関係、家族の問題…実にさまざまな問題を伺いますが、こうした問題と向き合っていく中で、その人の「好きなこと」について伺うことが多いものです。
どんなことが好きで、どんなことをしているときにテンションが上がるのか、何をしているときに満たされるのか。
一見すると、それら直接的に問題の解決とは、関係ないように思えるかもしれません。
けれども、そうした「好きなこと」は、その人のパーソナリティに深く関わるものですし、それが問題に対してのアプローチのヒントになることがあります。
何より、好きなことをしながらは、人は悩めないものです。
けれども、こうした「好きなこと」が分からない、と仰られる場合があります。
これは、決してその人に「好きなこと」が無いわけではなく、それまでの習慣やクセ(自立しすぎたり、自分を他人を優先してしまったり)が積み重なって、見えづらくなっているだけの場合が多いものです。
だから、決して「好きなことが分からないなんて、自分はほんとにダメだな」なんて思ったりして、自分を責めなくてもいいんです。
むしろ、「あ、いまの私は、自分の好きなことが分からなくなってるんだな」と、認識できたら、万々歳です。
いまの自分を正しく認識することって、自分を愛することの第一歩ですから。
その上で、好きなことを思い出すためには、「感じる」ことにフォーカスする必要があります、と昨日の記事ではお伝えしました。
「感じる」とは、言い換えると五感を使う、ということです。
耳を澄ませる、食事をしっかりと味わう、風の感触を楽しむ、香りを楽しむ、美しいものを見る。
そうしたことに意識を向けていくと、少しずつ、感じることを取り戻していくことができます。
2.「嫌い」をはっきりさせることの大切さ
さて、こうした「感じる」ことにフォーカスしていくと、「好き」と同時に「嫌い」も出てきます。
「この色が、あんまり好きじゃない」
「あの音は、不快に感じる」
「このお肉は、脂が多すぎて苦手」
「この人の話し方、どうも好きになれない」
こうした「嫌い」を感じたときの考え方について、今日は少し考えてみたいと思います。
いままでいい人を演じてきた人や、あるいは人を受け入れる度量の大きい人ほど、こうしたことを感じたときに、「そんなこと思っちゃいけない」とか、「そんなこと感じてはダメ」と、「嫌い」と感じたことを抑圧したり、無視したりしようとしがちです。
自分がその対象や相手を嫌うことに、申し訳なさを感じてしまうこともあります。
けれども、それをしていると、その逆の「好きなもの」も感じづらくなってしまいます。
「嫌い」がはっきりすることは、全然悪いことではありませんし、むしろ健全な証拠です。
それを無理矢理に「好きになろう」とすると、話がおかしくなります。
「嫌いだ」と分かったうえで、その人との付き合い方を考えたり、それをどうやったら受け入れられるか?を考えるなら、いいんです。
ただ、「嫌い」なものを無理矢理に「好き」になろうとうするのは、自分の感じていることを否定することですし、一種の自分否定や自分いじめに近いのかもしれません。
「嫌い」に感じるものは、「嫌い」でいい。
それが、自分の「好き」を際立たせてくれるのです。
3.感じることと、行動は別でいい
じゃあ、「嫌い」だとわかったら、どうするか?という点を考えてみたいと思います。
まずは、その「嫌い」なことに近づかないようにする、という選択ができるか、考えてみるのはよさそうです。
嫌いな風景の見える道は、避ける。
嫌いな人には、会わないようにする。
嫌いな音が聞こえない環境を、選ぶ。
そうした選択は、まずは第一に考えるべきなのでしょう。
問題は、その「嫌い」なものが避けられないときです。
そんなときは、「嫌い」だと認識したままで、「行動」を選ぶ意識を取ってみるのがいいのでしょう。
「この人は嫌いだけど、仕事の上で仕方ないから、最低限の付き合いはする」
といったように、言葉はあれですが、オトナの付き合い方をする、とでも言えるでしょうか。
誰でも、そうせざるを得ないときはあるのでしょうけれども、ポイントは「自分が嫌いと感じている」上で、行動を選んでいる、と認識するといったところでしょうか。
そこで、自分の感じていることを、否定しない。
そして、できれば、「こんな嫌いな人と付き合ってあげてる、私ってエライ!」と、自分を褒めてあげてほしいのです。
好きなことをしていると、人は勝手に満たされますし、自己肯定感も上がります。
けれども、365日、24時間、好きなことだけをしていられないのもまた、事実です。
好きなことをするためには、嫌いなことをしないといけないことだって、時にはあります。
そうしたとき、「嫌いなことをしている自分は、エライなぁ」と、自分を認め、受け入れてあげてほしいのです。
そうすると、自分が「嫌い」と感じたことを否定しないで済みますし、またその嫌いなことを乗り越えていけるのでしょう。

今日は、「嫌い」をはっきりさせることの大切さ、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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