私たちは、親から十分に与えてもらえなかった愛を与えてくれる人に惹かれ、パートナーとして選びます。
けれども、ずっと与え続けてくれるわけではありません。
そんなときの処方箋について、お伝えします。
1.パートナーシップは代理戦争?
先日の記事では、パートナーシップは代理戦争?というテーマでお伝えしました。
パートナーシップの葛藤 ~パートナーシップは代理戦争? - 大嵜直人のブログ
私たちの対人関係のモデルは、親との関係がその原型をつくります。
一番初めに接する他人が母親といわれますが、生まれてから多くの時間を接する親との関係が、私たちの人間関係のベースをつくっていきます。
自分以外の他人と、どのようなコミュニケーションを取るのか。
その頻度や深さ、感情の伝え方、表現方法など、実にさまざまなところで、私たちは親から影響を受けます。
もちろん、親のかかわり方をそのままコピーする場合もあれば、親のそれを反面教師にする場合もあるのでしょう。
そうした親の影響が大きく出るのが、「愛し方」です。
人は、自分が愛されたように、愛したいと思い、また愛されたいと思うからです。
けれども、「愛し方」って、無限にあります。
それこそ、人の数だけ、愛し方があります。
言葉で愛を伝える人もいれば、スキンシップで伝える人もいる。
言葉にしても、甘い言葉で伝える人もいれば、憎まれ口で伝える人もいるでしょうし、暴言を吐くことでしか自分の想いを伝えられない人もいます。
そうした千差万別の「愛し方」がある中で、自分とパートナーの「愛し方」が一致するなんてことは、まずないわけです。
ない、というと言い過ぎかもしれませんので、重なる部分と、重ならない部分がある、と言い換えた方がいいかもしれません笑
で、この重ならない部分が、問題になるんですよね。
「パートナーのためを思ってやったのに、全然感謝もされないどころか、不機嫌そうにしている」
「愛してるなら〇〇するはずなのに、ちっともしてくれない」
みたないことが、起こるわけです。
はい、あるあるな風景ですね笑
こうしたすれ違いというのは、自分が親から受け継いだ「愛し方」が不一致を起こしているとみることができるというのが、先日のテーマでした。
そのすれ違いを癒していくために、「正しさ」を手放していくことが必要、ということでした。
2.パートナーが満たしてくれる不足心理
さて、昨日は「代理戦争」と物騒な感じでしたので、今日はそれを逆から見てみることにします。
パートナーシップの恩恵の部分ですね。
先ほど、私たちは「愛し方」を親から学ぶ、と書きました。
しかし、そうだとしても、必ずしも自分の欲しい愛が、与えてもらえるわけではありません。
ほんとはもっと一緒にいてほしかったのに、一人になる時間が多かった。
もっと甘えたかったのに、忙しそうでなかなか甘えられなかった。
そうした満たされない想いを持つことは、誰しもあるのでしょう。
別に、親が悪いというわけでもありません。
また、親が意地悪していたわけでもありません。
親もまた、不完全な一人の人間ですので、いろんな事情で、与えたい愛を与えられないことって、いくらでもあるのでしょう。
こうした「満たされない」という不足心理を、誰でも抱えているのですが、それを満たしてくれるのがパートナーのことが多いものです。
もう少し正確に言うなら、「それを満たしてくれそうな人をパートナーに選ぶことが多い」といった方がいいでしょうか。
なんとなく、イメージできますかね。
私たちが惹かれる人って、そうした要素を持っていることが多いものです。
もちろん、それだけではないのですけれども。
ただ、私たちはパートナーにそうした「満たされなかったもの」を求めてしまう心理があるのは、覚えておいてもいいと思います。
3.欲しかったものは、与えられるもの
で、話はここで終わらないんです。
パートナーシップのはじめのうちは、パートナーがその不足を満たしてくれる感覚があるので、とても満たされます。
けれども、これが関係性が長くなってくると、それが満たされなくなることがあります。
慣れというか、惰性みたいなところもあるでしょうし、パートナーとの関係性が時間とともに変わっていくにつれて、その「愛し方」が与えられなくなることもあります。
最初は頼りがいがある彼で、甘えさせてくれてもいた。
けれど、彼が仕事やなんやらかんやら多忙で弱ってしまい、自分がよしよしする立場になってしまい…といったように。
そうすると、「またかよ…」みたいな絶望感が出てきますし、パートナーを責めたくもなります。
せっかく砂漠を彷徨って見つけたオアシスが、蜃気楼だったような感覚でしょうか。
「期待させておいて…そんなら、最初から見つけなければよかった(怒)」
という感覚になるのも、当たり前かもしれません。
けれども、ここがパートナーシップの正念場なんですよね。
いえ、ここがスタートラインといってもいいかもしれません。
「それならば、別の人で!」と、パートナーを変えたとしても、また同じことを繰り返すことが多いものです。
では、どうするか。
パートナーから、ほしかった形の愛を与えてもらうのではなく、「自分が」与えるのです。
これ、才能のお話と重なるのですが、「ほしかったのに与えてもらえなかったもの」は、自分がそれを「与える才能を持っているもの」なんです。
少し表現を変えると、「ない」と感じることができるのは、才能なんです。
それが「ない」ことに気づけるから。
だから、その「ないもの」を、自分が与えるんです。
それができるから、「ない」と感じるのですから。
「えー、ないのに与えないといけないなんて、なんだか損してるみたい」
そう思われるかもしれません。
たしかに、ことわりとしては、そうかもしれません。
けれども、心の世界は不思議で、一見そう見えるものとは逆が真実だったりします。
ずっと、不足していると感じてきた愛。
それを大切な人に与えることができたとき、あなたはとても満たされるのです。
今日は、パートナーシップの充足、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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