気づけば3月も終わりですね。
この時期は年度末、年度替わり、季節の変わり目でもあり、何かと忙しく、何かと気忙しく過ぎていく気がします。
時候は「春分」のなかごろ。
七十二侯では、「桜始開(さくらはじめてひらく)」。
皆が待ち焦がれる桜の開花の報が、各地から届けられるころでもあります。
今年は冬が寒かったせいか、少し近年に比べると少し開花が遅いように思いますが、それでも徐々に開花のお知らせを耳にするようになってきました。
年々、桜が咲くのが早くなっているようで、それは自然のことなので仕方ないのですが、やはり入学式のあたりには咲いていてほしいと思うものです。
桜の咲く時期など、人にはコントロールできないものとは分かっているものですけれども、それでも願ってしまうのは、私の勝手なのでしょうか。
さて、桜もそうなのですが、この時期はいろんな花が咲き始めますね。
いよいよ春本番を感じさせるように、いろんな色の花が見えます。
まるで吹雪いているかのような、ユキヤナギ。
純白の小さな花が、麗らかな春の空気の中、舞っているようです。
そして、桜よりも少し先に咲く、木蓮。
歳を重ねるごとに、木蓮の花が好きになってきました。
なんというか、その姿はとても原始的で、力強さと生命力を感じるのです。
この時期、桜の開花も気になりますが、それと同じくらいに、木蓮の花もいつ咲くかが気になるのですよね。
寒い冬の間は、固い蕾だったものが。
いつしかふくらんでいき、白く美しい大輪の花を咲かせる。
その姿は、白い炎がいくつも燃えているようです。
まさに、生命のような。
木蓮が好きになり、その咲き方を見るようになって知ったのですが、木蓮の花もまた、すぐに散ってしまうのです。
「桜の散り方は潔く美しい」とはよく言われますが、木蓮の咲き方、散り方もまた、美しく、また切ないものです。
白い花弁が開いたかと思うと、それが翌日には、はらはらと落ちてしまう。
私が眺めている間にも、はらり、また一枚、はらり、と花弁が落ちていくのです。
春の風に舞う桜の花びらも美しいですが、この木蓮の花の散り方もまた、いいものなんですよね…
風が吹くと、はらり。
また、はらり、と。
役目を終えた花びらが、落ちていく。
足元には、無数のその花びらたちが。
それは切ないことは切ないのですが、咲いたからこそ、散ることができると思うと、美しくもあるのです。
3月の終わり、木蓮の花が散るころ。
その美しさに見惚れながら、春という季節を、味わい尽くしたいものです。