依存時代に傷ついた分だけ、人は自立します。
そうして自立した人が、最も怖れることがあります。
1.自立の大きな勘違い
昨日は、自立の大きな勘違い、というテーマでお伝えしました。
人の心は依存から自立、そして相互依存へと成長をしていきます。
誰でも、最初は依存なんですよね。
自分では何もできないから、誰かに何とかしてほしい、という状態。
依存のポジションは、それは何をするにしても主導権がなく、また自分の無力感や無価値感に苛まれますから、しんどいものです。
いつ親鳥が戻ってくるのか分からなくて、いつエサがもらえるのか分からない状態。
お腹は空いているんだけど、自分ではどうしようもない。
それがしんどいので、「それなら、もう自分でなんとかした方がいい」とばかりに、自分一人で何でもやろうとします。
そうして、人は自立していきます。
人が自立する裏には、「欲しいものがもらえない」という痛みがあるのですが、もう一つ、大きな痛みがあります。
それが、「大切な人を幸せにできなかった」「笑顔にできなかった」という痛みです。
家族なのか、友だちなのか、パートナーなのか、その大切な人が、辛そうにしていたり、悲しそうにしていたりして、幸せそうでなかった。
そうしたとき、人は深く傷つきます。
そこで、「あの人を笑顔にできる力をつけよう」と、自立していく。
これが、自立に至るもう一つの理由ですが、昨日の記事は、その痛みは大きな勘違いでは?というテーマでした。
大切な人が笑顔ではなかったとして、それは自分だけの責任もないのです。
そして、自分ができなかったこと、幸せにできなかったことよりも、与えてきたこと、笑顔にしてきたことの方が、ほんとうはずっと大きいのでは?というのが、昨日の視点でした。
それを受け取ることができると、無理に自立しすぎなくてもよくなります。
2.ハリボテとボロボロの内面
自立の人は、自信満々に見えます。
傍から見ていると、なんでも自分でできて、隙がないように見えます。
けれども、そうした自立の人の自信というのは、えてして「ハリボテ」なんですよね。
外側から見えるところは、なんとか見栄えよくしているんですが、その実、内面はものすごくボロボロだったりします。
もちろん、すべての人がそうではありません。
ただ、自立のポジション、ステージにいる人は、そうした内面の痛みを抱えていることが多いものです。
どれだけ仕事をこなそうとも、どこか満たされない。
周りに人がたくさんいるはずなのに、どこか孤独。
パートナーがいたとしても、どこかに愛されているのかの不安がつきまとう。
だから、強がったり、コミュニケーションを拒絶したりもする。
けれど、その内面の痛みというか、弱さは、絶対に見せないようにしている。
それでも、それをバレないように、外側はなんとか見てくれをよくしておかないといけない。
自立のポジションにいると、そんな心理になっていることが多いものです。
3.自立が最も怖れるもの
こうした自立の人が最も怖れること、なんだと思いますか?
自分の自信が壊れること?
それも、怖いですよね。
自分が愛されないこと?
それも、いやですよね。
でも、ある意味で、それはがんばれるんです。
だって、依存時代にそれは経験しているから。
自分が欲しい愛を、与えてもらえなくて、それが痛くて、自立したわけですから。
それはもう、織り込み済なわけです。
そりゃ、イヤですよ。自分が愛されないなんて。
でも、それは大丈夫というか(いや、大丈夫ではないですが笑)、耐えられるんです。
それ以上に、自立の人が怖れること。
それは、愛されることなんです。
もう少し正確に表現するなら、自分が愛されていたと気づくこと、でしょうか。
欲しい愛が与えてもらえないから、自立したわけです。
しんどいのに、一人で泣き言も言わず、がんばってきたわけです。
それなのに、実は「愛されていた」となったら…なんか、いままで一人でがんばってきたことが、バカみたいじゃないですか。
ムダになるとは言いませんが、自立したいままでのプロセスが、無意味なことをしていたように感じられてしまうんです。
だから、愛されることって、周りの愛に気づくことって、それを受け取ることって、自立の人にとっては、自分の存在意義を脅かされるくらい、怖いものなんです。
それを認めるくらいなら、自分一人で孤独に耐えてがんばっていた方がマシだ、と。
でもね、その怖れに気づいちゃったら、もう遅いんです笑
もう、受けとるしかないんです。
「え?こんなにがんばらなくてもよかったの?なんか、一人でコントしてたみたいじゃん!」
と感じるかもしれません。
でも、それでいいんです。
めぐりめぐって、また戻ってくるのが、私たちの人生という旅なのかもしれません。

今日は、自立の人が最も怖れるもの、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
〇大嵜直人のカウンセリングの詳細・お申込みはこちらからどうぞ。
※ただいま11月度の個人カウンセリングを募集中となります。
〇カウンセリングのご感想のまとめはこちら。