大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

自立の人が最も怖れるもの。

依存時代に傷ついた分だけ、人は自立します。

そうして自立した人が、最も怖れることがあります。

1.自立の大きな勘違い

昨日は、自立の大きな勘違い、というテーマでお伝えしました。

自立の大きな勘違い。 - 大嵜直人のブログ

人の心は依存から自立、そして相互依存へと成長をしていきます。

誰でも、最初は依存なんですよね。

自分では何もできないから、誰かに何とかしてほしい、という状態。

依存のポジションは、それは何をするにしても主導権がなく、また自分の無力感や無価値感に苛まれますから、しんどいものです。

いつ親鳥が戻ってくるのか分からなくて、いつエサがもらえるのか分からない状態。

お腹は空いているんだけど、自分ではどうしようもない。

それがしんどいので、「それなら、もう自分でなんとかした方がいい」とばかりに、自分一人で何でもやろうとします。

そうして、人は自立していきます。

人が自立する裏には、「欲しいものがもらえない」という痛みがあるのですが、もう一つ、大きな痛みがあります。

それが、「大切な人を幸せにできなかった」「笑顔にできなかった」という痛みです。

家族なのか、友だちなのか、パートナーなのか、その大切な人が、辛そうにしていたり、悲しそうにしていたりして、幸せそうでなかった。

そうしたとき、人は深く傷つきます。

そこで、「あの人を笑顔にできる力をつけよう」と、自立していく。

これが、自立に至るもう一つの理由ですが、昨日の記事は、その痛みは大きな勘違いでは?というテーマでした。

大切な人が笑顔ではなかったとして、それは自分だけの責任もないのです。

そして、自分ができなかったこと、幸せにできなかったことよりも、与えてきたこと、笑顔にしてきたことの方が、ほんとうはずっと大きいのでは?というのが、昨日の視点でした。

それを受け取ることができると、無理に自立しすぎなくてもよくなります。

2.ハリボテとボロボロの内面

自立の人は、自信満々に見えます。

傍から見ていると、なんでも自分でできて、隙がないように見えます。

けれども、そうした自立の人の自信というのは、えてして「ハリボテ」なんですよね。

外側から見えるところは、なんとか見栄えよくしているんですが、その実、内面はものすごくボロボロだったりします。

もちろん、すべての人がそうではありません。

ただ、自立のポジション、ステージにいる人は、そうした内面の痛みを抱えていることが多いものです。

どれだけ仕事をこなそうとも、どこか満たされない。

周りに人がたくさんいるはずなのに、どこか孤独。

パートナーがいたとしても、どこかに愛されているのかの不安がつきまとう。

だから、強がったり、コミュニケーションを拒絶したりもする。

けれど、その内面の痛みというか、弱さは、絶対に見せないようにしている。

それでも、それをバレないように、外側はなんとか見てくれをよくしておかないといけない。

自立のポジションにいると、そんな心理になっていることが多いものです。

3.自立が最も怖れるもの

こうした自立の人が最も怖れること、なんだと思いますか?

自分の自信が壊れること?

それも、怖いですよね。

自分が愛されないこと?

それも、いやですよね。

でも、ある意味で、それはがんばれるんです。

だって、依存時代にそれは経験しているから。

自分が欲しい愛を、与えてもらえなくて、それが痛くて、自立したわけですから。

それはもう、織り込み済なわけです。

そりゃ、イヤですよ。自分が愛されないなんて。

でも、それは大丈夫というか(いや、大丈夫ではないですが笑)、耐えられるんです。

それ以上に、自立の人が怖れること。

それは、愛されることなんです。

もう少し正確に表現するなら、自分が愛されていたと気づくこと、でしょうか。

欲しい愛が与えてもらえないから、自立したわけです。

しんどいのに、一人で泣き言も言わず、がんばってきたわけです。

それなのに、実は「愛されていた」となったら…なんか、いままで一人でがんばってきたことが、バカみたいじゃないですか。

ムダになるとは言いませんが、自立したいままでのプロセスが、無意味なことをしていたように感じられてしまうんです。

だから、愛されることって、周りの愛に気づくことって、それを受け取ることって、自立の人にとっては、自分の存在意義を脅かされるくらい、怖いものなんです。

それを認めるくらいなら、自分一人で孤独に耐えてがんばっていた方がマシだ、と。

でもね、その怖れに気づいちゃったら、もう遅いんです笑

もう、受けとるしかないんです。

「え?こんなにがんばらなくてもよかったの?なんか、一人でコントしてたみたいじゃん!」

と感じるかもしれません。

でも、それでいいんです。

めぐりめぐって、また戻ってくるのが、私たちの人生という旅なのかもしれません。

今日は、自立の人が最も怖れるもの、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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