大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

パートナーシップと変化2 ~「変わってほしい」は、「変わりたい」?

パートナーに変わってほしいと感じるとき。

それは、自分が自分に対して「変わらないといけない」と感じていることを投影している可能性があります。

そうだとすると、変えるべきはパートナーではなく、自分のなかの自己否定だったりするのです。

1.パートナーシップと変化

昨日の記事では、自分の望むように相手を変えることができるのか?というテーマでお伝えしました。

パートナーシップと変化 ~相手を変えることはできるのか? - 大嵜直人のブログ

パートナーを変えることができるか?というお話からのつながりでしたね。

自分の望むように、相手を変えることができるか、という点について、少し掘り下げていきました。

結論からいえば、自分が望むように他人を変えることはもちろんできないが、さりとて完全にできないわけでもない、という玉虫色の回答でした。

玉虫色というと、「関係者とよく協議した上で、善処します」といったような政治家の答弁の感じですが笑

もちろん、自分の望むように他人は変えられません。

そこで、もし変えたい、変わってほしい、という気持ちを強く感じるのであれば、それは相手との距離感が少し近すぎるのかもしれません。

いわゆる「癒着」の問題も、近いものがありますね。

そうしたときは、まずは「わたしはわたし、あなたはあなた」といったように、パートナーとの境界線を引き直すことが必要になります。

さて、その上でなのですが、パートナーシップのなかで、相手が変わっていくことはもちろんあります。

それは、自分が「変わって」と直接的に指示を出して変わるわけではなく、「自分が」変わることで、間接的に相手に影響を与え、それによって相手が変わる、というプロセスです。

この場合の相手の変化は、自分の望んだとおりの変化ではありません。

自分がそう仕向けているわけでは、ないのですから。

ただ、自分が望んだよりも、そして自分が想像したよりも、はるかに素晴らしい変化であるかもしれないのです。

そして、その恩恵を受けるのは、自分自身だったりします。

これが、パートナーシップのおもしろいところで、素晴らしいところなんですよね。

2.「相手に変わってほしい」は「自分が変わりたい」?

さて、今日はこの「パートナーに変わってほしい」という心理について、もう少し掘り下げてみます。

昨日は「そう思ったとしても、変えることってほんとにできるの?」という視点で見ましたが、今日は「変わってほしい」という心理にフォーカスしてみます。

いきなりド直球のお話をすると、「パートナーに変わってほしい」ということは、「自分が変わりたい」あるいは「自分が変わらないといけない」と思っている、と考えることができます。

はい、私のブログでも何度も扱っている、「投影」の心理ですね。

自分が変わりたい、変わらないといけない、と思っている分、その心理を近しい人=パートナーに映し出すわけです。

あら、イヤだ笑

パートナーシップはこれがあるから、「ぐぇ…」となるんですよね笑

パートナーに向けたものは、全部自分に返ってくるわけですから。

まあ、それはパートナーシップに限った話でもないとは思うのですが。

それはともかくとして、パートナーが変わってほしい、と思ってしまうとき、パートナーよりも自分にフォーカスする方が、いろいろなものが見えてきます。

自分は、自分を変えたい、変わりたいと思っているのだろうか。

もしそうだとしたら、どうしてそう感じるのだろうか。

このあたりが、結構コアな部分になってきます。

3.変身願望と自己否定

変わりたい理由が、「もっと素敵な自分に」といったように、ポジティブな理由ならば、それは全然いいんです。

ただ、もしそうだとしたら、「相手に変わってほしい」という発想には、あまりならないんですよね。

「あなたは、いまのままで十分素晴らしい」

「そんなあなたと一緒にいられて、私はとてもうれしい」

そんな風に、感じることができるのでしょうから。

これは、いまの自分を、そのままに受け容れることができていたら、

「いまの自分は十分に素晴らしい」

「そんな私と一緒にいられて、あなたは幸せよね」

という想いの投影でもあります。

でも、そうじゃないから、相手を変えたくなったり、コントロールしたくなったりするわけです。

自己否定があると、「いまの自分では愛されない」「だから、自分を変えないと」というマインドになります。

言ってみれば、変身願望に近いものかもしれません。

男性だと、少年漫画の主人公みたいに、平凡で冴えない生活を送っていたのに、ある日稀有な才能に目覚めて、世界を救う戦いに出る…といったような妄想は、多くの男性が経験することでしょうし、

女性であれば、灰かぶりの召使だったのに、魔法使いの魔法で変身して、王子様に見初められる…みたいなシンデレラストーリーも、そうかもしれません。

もちろん、そうした変身願望自体が悪いわけでもありませんが、それが自分の「慰み」になってしまっていたら、現実の自分とのギャップがイヤになり、自己否定のループを強めてしまうことになってしまうこともあります。

そう考えると、まずは根っこの自己否定の部分を癒していくことが、とても大切なことなのでしょう。

 

ちょっと長くなってきたので、まとめてみると、

パートナーに変わってほしい、と思ってしまうとき。

それは、自分が自分に対して変わってほしい、変わらないといけない、と感じていることの投影である可能性があります。

そして、自分が変わらないといけないと感じるとき、それは自己否定が根っこにないのか、よくよく考えてみる必要があります。

いまの自分を、否定していないかどうか。

変身願望の奥底に、自己否定を隠していないか。

「パートナーに変わってほしい」と感じるときは、自分のなかのそうした自己否定に気づくチャンスだったりするのです。

今日は、パートナーに変わってほしいと感じるときは、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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