自立とは、傷つかないためにするものであり、それゆえに自分の本音を置き去りにしてしまいがちです。
しかし、人が本当に傷つくのは、自分の本音を無視したときなのです。
1.自立を手放すときに感じる嫌悪感の正体
昨日の記事では、自立を手放すときに感じる嫌悪感の正体、というテーマでお伝えしました。
自立を手放すときに感じる嫌悪感の正体。 - 大嵜直人のブログ
自立を手放そうとするプロセスにあるとき、その自分に対して嫌悪感を抱くことがあります。
具体的には、自分が以前よりも弱くなったような気がして、なんかイヤな感じがする。
すぐ涙が流れたり、感情に振り回されたり、以前よりも踏ん張りがきかなくなったり。
こうした、ある種の「弱さ」を感じることは、自立を手放すプロセスにおいては順調な証なのですが、この「弱さ」に対して抵抗というか、嫌悪感が出てくることがあります。
昨日の記事では、この嫌悪感は、隠してきた自分の本音に触れることに対する抵抗である、とお伝えしました。
そもそも、人は痛みから自立します。
依存の時代に、自分の欲求が叶えてもらえなかったり、自分の無力感に打ちひしがれたりして、「もう、こんな痛い思いをしたくない」とばかりに、自分でなんでもやろうとするわけです。
自立するために、泣きたいところをがまんし、相手に負けないように思考やロジックで武装し、自分に鞭打ってがんばるわけです。
こうしたことは、すべて「もう傷つきたくない」という想いの反動といえます。
自立とは、傷つかない自分になることを指すとも言えるのでしょう。
ただ、こうしたプロセスのなかで、依存時代の自分の本音は、封印されてしまうわけです。
「心ゆくまで与えてほしい」
「信頼してほしい」
「助けてほしい」
「わたしを全部受け止めてほしい」
と、依存時代には思っていたわけですが、こうした本音を言わないように、バレないように、抑えつけているのが自立の時代です。
で、自立を手放すとなると、こうした自分の本音が漏れてくるんですよね。
そうなると、「せっかくいままで封印してきたのに!!」と、怒りや憤りを感じるのです。
これが、自立を手放していくときに感じる嫌悪感の正体というのが、昨日のテーマでした。
2.自立するほどに、本音から遠ざかる
このプロセスを眺めてみると、私たちは自立するほどに、自分の本音から遠ざかってしまうようです。
これは、自立の本質的な問題点といえるのでしょう。
先ほどもお書きした通り、自立とは自分が傷つかないために、傷つきたくないから、するものです。
依存時代に受けた痛みを、二度と味わいたくないから、自立の方向へ舵を切るんです。
この「傷つきたくない」が、自立のプロセスの根源にあるわけです。
言い換えると、自分が傷つかないことを最優先に置いて、いろんな選択をしてしまうようになります。
そうすると、自分の本音とか、自分がどうしたいか?、といったことが、分からなくなっていきます。
自立が進むと、「まるで自分がロボットになったかのように、するべきことを毎日こなしているだけ」という感覚になったりします。
仕事に励むのも、周りから変な評価を受けないために。
パートナーになにかしてあげるのも、嫌われないために。
人と話をするときも、自分の本音は言わずに正しいことだけを言うのは、否定されたり批判されないために。
これらは、すべて自分の本音から離れているから感じることだったりします。
「傷つきたくない」が最優先されるがゆえに、自分の本音とか、自分のやりたいこと、したいことといったことは、すべて後回しにされてしまうのです。
自立するほどに、本音から遠ざかるのです。
3.本当に傷つくのは、自分の本音を無視したとき
ただ、こうした自立のプロセスにおける「傷つかない選択」は、実は自分が最も傷つく選択かもしれない、というのが今日のテーマです。
ほら、一見すると得のように見えて、実は損しちゃう、みたいなのって、あるじゃないですか。
セールとか、最終レースとかも、その類かもしれませんが笑
結局、人が何に傷つくかって、自分の本音を無視したときなんですよね。
そのとき、自分との信頼関係が崩れますし、もう一人の自分とケンカになりますし、自己同一性が保てなくなります。
平たく言えば、自分が何なのか分からなくなりますし、自分が何をしているのかも、分からなくなります。
自分のなかで、常に複数の自分がケンカしているようで、心が休まることがありません。
そうなると、自分を愛するとか、難しいですよね。
自分の本音を無視するとき、自分の感じたことを自分が否定するとき、人は深く傷つきます。
本当に人が傷つくのは、誰かに何かされたり、言われたりしたときじゃないんです。
そのときに「自分が」感じたことを抑圧したり、無視したりしたときなんです。
そのとき、その感じている自分は、こう思うんです。
「誰も自分のことを分かってくれない。世界に誰一人、味方なんていない」
それを、私たちは外の世界に投影してしまうのです。
それが、どれくらい深い孤独をもたらし、どれほど深く傷つくか。
自分の本音を無視することは、これほどまでに自分を傷つけるのです。
自立の本質的な問題は、こうした「傷つかない」ための選択によって、自分自身の本音を無視してしまうこと、そしてそれによって、もっと深く傷ついてしまうこと、だといえるのでしょう。
そういった意味では、冒頭にお書きした、自分が弱くなったように感じるというプロセスは、まったく悪いものでもなく、とても順調に自立を手放していくプロセスにいると言えるのです。

今日は、人が本当に傷つくのは、自分の本音を無視したとき、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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