岡山は「晴れの国」と呼ばれるそうだが、なぜか私の訪れる日は曇りや雨の日が多い。
この日も、朝名古屋を出たときから冷たい雨が降り続いていた。
満開だった桜も、この冷たい雨で散ってしまうのだろうか。
着いた岡山駅のホームでは、初めて生で見る「レイルスター」が停車していた。
何歳になっても、このロングノーズは少年の心を刺激する。
朝からいいものを見た。
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午前中の打合せを終え、午後のアポイントの場所へと車を走らせる。
変わらず冷たい雨は降り続いており、道を濡らしていた。
しばらく田舎道を走らせると、前を行く車が次々に吸い込まれていった。
うどん屋さんだった。
渡りに船だったので、長いものに巻かれることにした。
10人ほど並んでいたが、昼時のうどん店らしく回転は早くすぐに案内された。
何気なしに天ぷらうどんを頼むと、運がよかったね、最後の一枚だったよ、と教えて頂いた。
しばし待つ間に、対面の席の客が食べていたおでんがうらやましくなり、セルフサービスで取りに行く。
大根、厚揚げ、牛すじとこんにゃく。
串から外れるのを防ぐため、ミニこんにゃくが串の先っぽに刺されているのが可愛い。
味噌だれは生姜が入っており、濃い見た目以上にあっさりして美味い。
伏見の島正さんを思い出す。
いずれの具材も味わい深く、生姜のおかげか身体がほっこりと温まる。
冷たい雨の降る春の日にはありがたかった。
やがてやってきた天ぷらうどんは、座布団のような天ぷらが器に乗っていた。
箸で崩しながら、うどんをすする。
小海老、かぼちゃ、玉ねぎが入った天ぷらは、思いのほか軽く、いくらでも食べれそうだった。
半分くらい食べたところで、ネギ、胡麻、すりおろしの生姜を入れて楽しむ。
美味い。
ほっと一息をつきながら、器の残りのうどんと出汁を堪能した。
おでん、天ぷら、手打ちうどん。
ごちそうさまでした。
小雨に煙る岡山駅。
別れの挨拶に来た岡山は、車窓から見える冷たい雨が散らす桜と同じように、名残惜しかった。
ありがとう、岡山。
また来るよ。