大嵜 直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー見習い。

サラブレッド

新緑のターフに刻む、昇り龍。 ~2021年 皐月賞 回顧

大混戦ムードとなった、2021年の皐月賞。 ファンが1番人気に推したのは、ダンザキッドと川田将雅騎手。 前年暮れのGⅠホープフルステークスを制しているが、3歳初戦のGⅡ弥生賞ディープインパクト記念は、追ってから伸びず3着に敗れていた。 一方、2番人気は2…

王者の帰還。 ~2021年 中山グランドジャンプ 回顧

2021年、中山グランドジャンプ。 史上初の同一重賞6連覇を狙った、絶対王者・オジュウチョウサン。 人の5倍~6倍の早さで生きるといわれるサラブレッドの旬は短い。 そんな中で同じ重賞を5連覇するのは、途方もない偉業である。 平地では2戦して8着、11着と…

白き桜、奇跡の純白。 ~2021年 桜花賞 回顧

多くの日本人が心を奪われる桜というのは、まことに不思議な花だ。 その花びらは、近くで見ると純白に近い色をしている。 ほんのわずかに、淡いピンクの色が感じられる程度だ。 それが、たくさんの花が集まり、遠くからそれを眺めると、まるで燃え盛っている…

笠松、桜花賞の想い出に寄せて、寄稿させていただきました。

笠松、そして桜花賞の想い出に寄せて、ウマフリ様に寄稿させていただきました。 uma-furi.com 桜が満開の時期に、笠松を訪れて現地取材をしてきましたので、今回はその際の写真も掲載いただいております。 昨今、何かと騒がしく大変な笠松競馬ですが、応援し…

力勝負、香港に続いて。 ~2021年 高松宮記念 回顧

昼前から降り出した雨を、眺めていた。 少し季節を巻き戻したかのような、肌寒い気温。 風も、少し出ているようだ。 毎年、桜が満開になるころに、花散らしの冷たい雨が降るような気がするのは、人間の印象記憶によるものだろうか。 そうでない年もあるのだ…

イソノルーブルと松永幹夫騎手に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

10年ひと昔とは言いますが、これが30年になると、ノスタルジーや郷愁のようなものが生まれるようです。 いまから30年前の春。 桜花賞トライアル、報知杯4歳牝馬特別。 稀代の快速牝馬・イソノルーブルと、気鋭の若手だった松永幹夫騎手のコンタクト。 そんな…

2011年JRA CM「20th Century Boy」に寄せて

「宣伝は何のために打つのか?」 と問われれば、新規顧客の開拓か、もしくは既存顧客をつなぎとめるためか、いずれかの目的になってくるのだろうと思う。 イメージアップを図ったり、ブランド化ををするのも、そのいずれかの目的のためだ。 こと中央競馬、JR…

蛯名正義騎手の引退に寄せて。

出会いと別れの、春。 競馬界においても、2月の終わりは別れの時期だ。 家業を継ぐために勇退される角居勝彦調教師、定年を迎える石坂正調教師や松田国英調教師など、今年は8名の調教師が引退となった。 そして騎手では、蛯名正義騎手が鞭を置いた。 昨年、…

砂上に舞う、名手たちの手綱。 ~2021年フェブラリーステークス 回顧

2021年のGⅠ戦線の劈頭を飾るフェブラリーステークス。 灰色の冬空の下、府中に今年最初のGⅠのファンファーレが鳴り響く。 昨年の覇者、モズアスコットは昨年末で現役を退き、長い間主役級を張ってきたゴールドドリームも同じく昨年いっぱいで引退した。 バト…

京都記念とテイエムオペラ―に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は伝統のGⅡ・京都記念が施行されます。 今年は京都競馬場の改装工事のため、阪神競馬場での開催。 例年とは異なる趣きですが、古馬中長距離路線の有力馬たちの始動戦としての位置づけは変わりません。 さて、いまから20年前、ミレニアムの京都記念に想い…

旅に生きたホクトベガと川崎記念の思い出を、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

時に大寒。 寒さ厳しき折から、立春に向かうころ。 川崎競馬場では、ダートの古馬王者決定戦・川崎記念(JpnⅠ)が施行されます。 身を切るような厳寒の中、乾いた砂塵を巻き上げながらの熱戦は、ダート競走の醍醐味ともいえます。 そんな川崎記念を、四半…

大いなるマンネリ。

「大いなるマンネリ」という言葉がある。 マンネリと聞くと蔑むニュアンスがあるが、「大いなる」という形容詞がつくことで、それは称賛に変わる。 時は、重ねるごとに味わい深くなる。 = 「大いなるマンネリ」の最たるものの一つが、競馬であろう。 年が明…

牝馬の時代。 ~2020年有馬記念 回顧

2020年の掉尾を飾る有馬記念。 夢の対決と謳われたジャパンカップの主役を務めた3頭の出走はなかったが、それでもGⅠ馬8頭と現時点における中長距離路線の主要メンバーが揃ったレースとなった。 勝ったのは北村友一騎手の4歳牝馬、クロノジェネシス。 逃げた…

いつか通った道。 ~2020年ホープフルステークス 回顧

ホープフルステークスがラジオNIKKEI杯2歳ステークスから名称変更となり、中山競馬場に施行場所が変更となったのが2014年。 それ以来、施行時期というのが、いつもある種の議論の的となってきた。 「有馬記念の後か、先か問題」というものである。 「1年の締…

マイルの華。 ~2020年朝日杯フューチュリティステークス 回顧

感染症の拡大による人々の行動様式の劇的な変化。 無敗の牡馬・牝馬三冠馬の誕生、そして9冠牝馬との激突。 1年前では想像だにしなかったことが起こり、そして人知を超えた奇跡が多く起きた2020年。 そんな年も、時は過ぎゆく。 気づけば今年の関西最後のGⅠ…

白の結実。 ~2020年阪神ジュベナイルフィリーズ 回顧

コントレイルとデアリングタクトによる、無敗の牡馬・牝馬三冠の達成。 アーモンドアイによる芝GⅠの最多記録、9勝という偉業の達成。 奇跡の年として記憶されるであろう2020年に、また不滅の記録が誕生した。 白毛馬・ソダシによる、史上初のGⅠ勝利。 おそら…

力勝負と快気祝い。 ~2020年チャンピオンズカップ 回顧

4コーナーを3番手で回る、前年の覇者。 単勝1倍台、圧倒的な1番人気に支持された、国内無敗の王者・クリソベリルと川田将雅騎手。 2020年のチャンピオンズカップは、そのクリソベリルに対し、前年の同レースで2~4着のゴールドドリーム、インティ、チュウワ…

チャンピオンズカップに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

明日は、我らが中京競馬場で開催される、GⅠ・チャンピオンズカップ。 暮れの中京を舞台に、砂の精鋭たちが覇を競います。 そんな師走の大一番の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。 uma-furi.com サラブレッドは血のドラマだと言われ…

新時代。 ~2020年ジャパンカップ 回顧

2020年11月29日。 感染症禍の下、東京五輪は延期となり、人と会うことも、競馬場に足を運ぶことも、歓声を送ることもままならぬ。 誰の記憶にも残るであろうその年に、日本競馬は一つの頂点を迎えた。 史上初となる、三冠馬3頭による激突。 史上最多のGⅠ8勝…

勝ちに不思議の勝ちなし。 ~2020年マイルチャンピオンシップ 回顧

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし 今年2月に逝去された、故・野村克也氏が生前よく口にされていた言葉だ。 相手が勝手にミスをして勝ちが転がり込んでくることがあるから、「不思議な勝ち」は存在するが、負けるときは必ず何か理由があって負…

暴君の娘から、淑女へと。 ~2020年エリザベス女王杯 回顧

はたして「行ってしまった」のか、「行かせた」のか、それとも「行かざるを得なかったのか」。 ノームコアがハナに立つと、どよめきにも似た空気が阪神競馬場から伝わってきた。 鞍上が押していないところを見ると、無理に抑えてかかるくらいなら、気持ちよ…

エリザベス女王杯と出逢いに寄せて、ウマフリさんに寄稿させていただきました。

秋のGⅠシーズンもいよいよ佳境に入り、今週から年末までGⅠ・8連戦。 その劈頭は、晩秋の古都を彩る女王決定戦・エリザベス女王杯。 今年は京都競馬場が改修工事となるため、阪神競馬場での開催となり、例年とは違った趣となります。 そんなエリザベス女王杯…

待ちきれない。

時に、1989年11月9日。 ベルリンの壁、崩壊。 ツルハシで壁を壊し、その欠片を拾ってカメラに見せ、雄たけびをあげる男性。 壁の上に二人で座り、ピースサインを掲げる男女。 そんな大騒ぎが、テレビのニュース番組に映し出されていた。 なぜドイツが東と西…

Threshold. ~2020年天皇賞・秋 回顧

20世紀に生きた、比較神話学の泰斗であるジョゼフ・キャンベル。 彼は、世界中の神話の中にある共通のパターンが存在することを見出した。 古今東西、世界の多くの国の文化、歴史を超えて、共通して立ち現れるこのパターンを、彼は「英雄の旅(Heroes and th…

奇跡の年。 ~2020年菊花賞 回顧

ファンファーレが鳴り、拍手が起こる。 この秋のシーズンを最後に改装に入る京都競馬場、その改装前の最後の菊花賞。 コロナ禍による入場制限がなければ、どれくらいの入場者数を記録したのだろう。 春の二冠馬・コントレイルと福永祐一騎手による、無敗の三…

好きなものには、衒いなく。

本が好きなのだが、「装丁の美しさ」というのは、本を選ぶうえで重要なファクターの一つだと思っていて。 それは、電子書籍にはない要素かもしれない。 書店に並んでいる多くの本の中で、ふと目に留まって手に取りたくなる装丁の本がある。 そうして選んだ本…

史上初の偉業は、おとぎ話のように。 ~2020年秋華賞 回顧

10月のやわらかな陽光が、ターフを照らす。 前日まで降っていた雨は上がり、馬場は稍重まで回復した。 感染症対策により高松宮記念から続いた無観客でのGⅠ開催だったが、秋華賞において、ようやく有観客での開催を再開するまでに至った。 事前抽選に当選した…

最後のピースは、最後方からの豪脚とともに。 ~2020年スプリンターズステークス 回顧

ビアンフェが、嫌がっていた。 鞍上の藤岡佑介騎手が促すも、ピタリと動かない。 もし、有観客での開催だったら、スタンドは大きくどよめいていたのだろうか。 もう20年以上も昔、天皇賞・秋で枠入りを嫌がっていたセイウンスカイの姿を思い出した。 あのレ…

オールカマーの思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させて頂きました。

昨日は、秋のGⅠシーズンの前哨戦となるオールカマーと神戸新聞杯がありました。 このふたつのGⅡの週がくると、いよいよ秋のシーズンだな、という感があります。 さて、そんなオールカマーですが、遥か30年以上も昔の思い出に寄せて、ウマフリさんに寄稿させ…

空飛ぶ想い出は、陽光とともに。 ~2020年ナッソーステークス 回顧

夏の陽光が、透き通ったその足を伸ばしていた。 イギリスはグッドウッド競馬場を映し出す画面を、見ていた。 世界で最も美しいと称されるその競馬場は、この夏の開催が白眉だそうだ。 「グロリアス・グッドウッド開催」とも称される、その美しい風景。 未だ…