大嵜 直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー見習い。

四季五感

立夏、夏の始まりに。

立夏、夏立てる日。 運ばれてくる空気は、どこか熱量を帯びたような色をしてきた。 足元に見る花は、原色のように鮮やかな色が多くなった。 名も知らない小さな虫を、よく見かけるようになった。 あふれるような生命力の季節、太陽の季節。 そんな夏は、私の…

木々のざわめき、皐月の風。

早いもので、今日から5月、皐月。 薫風、新緑の季節。 一年で、最も心地よい時期の一つだろう。 暦の上では、立春から数えて88日目の「八十八夜」。 どこか感傷的な「夏も近づく…」の唱歌が思い浮かぶ。 新茶の摘み取りの季節、そしていよいよ農作業が本格化…

小さな黄色い花と、世界のありようについて。

気付けば卯月も終わりのようだ。 穀雨も末候の牡丹華(ぼたんはなさく)、牡丹が大きな花を咲かせるころ。 昨日まで少し長い雨が降っていたが、今朝は気持ちよく晴れた。 朝、ふと足元を見ると、黄色い花が咲いていた。 タンポポではない、小さく可憐な花。 …

枯れゆく花こそ、美しい。

季節のめぐりは、足を止めず。 例年になく早めに咲いた桜は散り。 それと入れ替わるように路傍で咲き誇っていたツツジも、いつしかその花弁を傾けるようになった。 純白の花弁も、少し疲れたようで。 咲き誇った後の散り方も潔い桜と違い、ツツジは自らその…

晩春は、青く。

気づけば、春も名残。 夏立てる日も、近くなってきた。 季節は目に見えているものよりも、早く進んでいく。 そして、目に映るものもまた、少しずつ移り変わっていく。 ツツジにはさまざまな色があるが、この紫がかった赤色が、ツツジらしくて好きだ。 躑躅(…

穀雨と、涙について。

時に穀雨。 麦や稲をはじめとするたくさんの穀物に、天からの恵みの雨が降りそそぎ、それはやがて大きな実りをもたらす。 七十二侯では、葭始生・あしはじめてしょうず。 古い神話の「葦原中元」や「葦原の中つ国」にもその名が見られる、「葦」が水辺に芽吹…

目の前の季節を、そのままに。

時に清明。 虹始見、にじはじめてあらわる。 春の深まりとともに、大気は湿り気を帯び、虹が見られることが多くなるころ。 そんな時候の通り、今日はぽつりぽつりと冷たい雨が落ちる日だった。 残念ながら、虹を見ることはできなかったが、季節は歩みを止め…

藤棚を見上げて、過ぎた時を想う。

時に、清明も末侯。 鴻雁北、こうがんかえる。 春になると見かけるツバメと入れ替わりに、渡り鳥の雁が北国に帰っていく時候。 冬から春へと、いろんなものが入れ替わっていく時期なのだろう。 外を歩くと見かける花の色も、ずいぶんと変わってきたように思…

半袖、散り際の桜を見上げながら。

生命力、という言葉が思い浮かぶような、陽気だった。 冬の冷たさは、もうどこにもなく。 麗らかな暖かさと、時折吹く風が心地よい。 朝晩はまだ冷えることもあるが、もう春本番の気配である。 その陽気に誘われて、少し走りに出る。 ここのところサボり気味…

新緑の香りのする清明にて。

花冷え、と呼ぶにはもう、少し季節外れのような。 そんな、気温だった。 少し肌寒くはあるけれど。 上着を羽織るよりも、その寒気に触れていたい。 そんなふうに、感じた。 寒の戻り、花冷えではなく。 その肌寒さは、どこか季節を進めるような気がした。 春…

されど、清明。

週末の雨と風は、花散らしの雨だった。 淡いピンクよりも、新芽の緑色の方が多くなった桜の木を見て、そう思う。 それでも、こうした低気圧が通り過ぎると、空気の肌触りが変わるようだ。 どこかぼんやりと、輪郭の不明瞭だった空の色は、美しく澄んだ色をし…

サイドミラーに映る桜を眺めながら。

いつの間に、こんなに暖かくなったのだろう。 少し夏を想起させる車内の熱気に、春の訪れどころか、初夏の気配すら感じる。 季節は留まらない。留まっては、くれない。 ひらひらと、足元を黄色い蝶が舞った。 これだけ暖かくなると、いろんな生きものがその…

願わくは、花の下にて。

いつの間にか、春も本番のようで。 外に出ると、さまざまな色の桜が咲いているのを見かける。 時に、春分が次侯、桜始開さくらはじめてひらく。 例年より早い開花と聞くと、散るのもまた早くなるのが惜しく感じる。 そう感じる花は、桜以外には少ないように…

空、春色。

春分過ぎて。 今年は桜が早いようで、もう春本番の感がある。 桜もそうなのだが、空の色の移り変わりが、季節の入れ替わりを感じさせる。 凛として、どこまでも澄んでいた空の色。 冬の間の、そんな空の色は、もうどこにもなく。 見上げれば、輪郭のぼやけた…

桜花の下で。

世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし 「古今和歌集」第82段 在原業平 桜の開花が気になるのは、千年の昔も、現代に生きるわたしたちも同じようで。 咲いたかどうか気をもみ、桜の木の下を通るたびに蕾を見上げ。咲いたら咲いたで、散り際を…

はんぶんこ。

春分の日。 彼岸の中日。 あるいは、雀がはじめて巣くうころ。 陰中の陽。 陰中の陰を経て、少しずつ長くなってきた日の長さは、いつしかその長さを半分にまで伸ばす。 昼と夜の長さが等しくなり、春は大きく伸びをして暖かさを増していく。 影が深ければ、…

蝶よ、花よ。いつしか、その姿を変えて。

時に、啓蟄。 あるいは、菜虫化蝶、なむしちょうとなる。 菜虫とはその字のごとく、アブラナや大根などの葉につく青虫を指し、モンシロチョウなどの幼虫。 長い冬を越したサナギが羽化し、美しい蝶へと姿かたちを変える。 いきものは、不思議だ。 時に、まる…

花は誇らず、ただ咲く。

音に波があり、海に波があり。 風に揺らぎがあり、生きることにも山谷があるように。 空模様もまた、日々変わりゆく。 昨日は、久しぶりに土砂降りという表現がぴったりとくる雨風だった。 朝から気圧は低く、身体もずしりと重い感じがした。 だからだろうか…

桃始笑。

時に啓蟄、あるいは桃始笑・ももはじめてわらう。 桃の花が咲くころ。 花が咲くことを笑うと表現する、ことばの美しさ。 梅が咲き、桃が笑い、桜も蕾が膨らみ。 いつしか、空の色も変わり。 春は、過ぎてゆく。 桃の花は咲き、誇り、いつしか枯れて、その花…

啓蟄、咲き誇るまで。

時に啓蟄。 蟄虫啓戸、すごもりむしとをひらく。 字のごとく、冬ごもりをしていた虫たちが、大地の暖かさに誘われて、地上に出てくるころ。 春らしく晴れたり降ったりと、不安定な空模様が続くが、それでも日に日に冬の冷たい茎は緩んできたような感がある。…

春霞、たなびきはじめて。

急に、暖かくなった。 20度近い気温にもなると、初夏を思わせる。 これだけ急に外気温が上がると、身体もどこか気怠くなるようで、ぼんやりとしてしまう。 時に、霞始靆/かすみはじめてたなびく。 その字のごとく、春霞がはじめてたなびき始めるころ。 ぴり…

梅の香、東風とともに。

寒の戻りはありつつも、空気の流れはどこか緩さを含み。 時に、土脉潤起・つちのしょううるおいおこる。 真冬の間に凍てついていた土も、雪解け水により湿り気を帯びてくるころ。 山から流れ出る雪解け水は、栄養分をたっぷりと含んだ生命の水でもあると聞く…

気雪散じて、水と為る。

時に雨水。 冷たい雪が暖かい春の雨に変わり、大地にうるおいを与えるころ。 固く凍った土もやわらかくなり、眠っているものたちも、啓蟄に向けて次第に目を覚ます。 春、近しのとき。 そんな時候だが、朝起きて窓の外を見ると、雪が舞っていた。 真冬が戻っ…

黄色、早春の色。

変化を見つめるというのは、ある種の愉悦である。 何かを育てることもそうだし、 目に見えない関係性の変化もそうだし、 あるいは、季節の移ろいを見つめることもそうだろう。 何気なく、外を歩いたとき。 目に入ってくる色、というものがある。 それは、自…

うすべに色の、春。

時に立春。 あるいは黄鶯睍睆、うぐいすなく。 初音とよばれる、春の声を聞けるころ。 暖かい日が続いたかと思えば、大寒のころを思わせる冷たい風が吹き。 それでも、三寒四温のことばの通り、春はゆっくりとしながらも、歩みを止めない。 うぐいすの声。 …

春は、苦みと濁りと。

立春過ぎて。 日に日に、春の気配が感じられるようになってきた。 風はどこか温さを含み、朝は少しずつ早くなり。 陽は力強さを増し、夜の帳が降りるのが遅くなってきた。 不可逆な季節の流れは、いろんなことを教えてくれる。 師走のころ、まだ薄暗かった風…

立春。はるかぜ、こおりをとく。

今日は、春立てる日。 立春である。 つい先週末は雪が降っていたように思うが、それでも立春と聞くと、どこか風の中にも春の薫りを感じるような気もする。 思い込みというか、プラシーボ効果というか、そういうものもあるのかもしれない。 すべてはひとつな…

福はうち、鬼も、うち。

今日は節分、冬と春の境目。 家の外から家の内へ。 敷居を跨ぐときの、その敷居。 そんな存在が、節分なのかもしれない。 今年は124年ぶりに、2月2日が節分にあたるとのこと。 なんとなく、2月3日節分・2月4日立春というイメージが強いが、暦というものは面…

雪に耐えて。

前日に、久しぶりに雪が舞った。 夕方から降り始めたそれは、少し止んだりもしていたが、夜には牡丹雪になった。 昨年末に一度降ったが、それ以来だと思った。 最近は暖冬が続いたせいか、あまり雪を見ない冬が続いていたが、この冬はそうでもないようだ。 …

西のお山と、冬の朝の氷と。

「お山に雲がかかってるから、明日は雨かもね」 遠く西の彼方に見える山脈を見ながら、よく祖母はそんなことを言っていた。 天気は西から変わっていくということを、当時の私は認識がなかったように思う。 ただその山、伊吹山が天気を司る何か大きな力を持っ…