夏の終わりとともに透明度を得た空は、いつしかその青さに深みを増していく。
見上げれば、はっと声を上げそうになる青さ。
そんな日の空は、湖底を見渡しているような錯覚に陥る。
プラスチック樹脂で透明な製品をつくるためには、ごく少量の青色の着色剤を加えると、その透明度が増すと聞く。
ブルーイングという着色手法だ。
青と透明は、似ている。
そう納得できる、秋の空。
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季節の中で、秋だけが「深まる」と表現する。
春は待ちわびるものであり、
夏は過ぎゆくものであり、
冬は訪れるものだ。
秋だけが、「深まる」。
「深まる」という表現の、美しさ。
透明度が深まると、青さに深みが増すように。
灼熱の夏の空気が澄んでいくにつれて、秋は深まっていく。
時に「菊花開、きくのはなひらく」。
秋の花も、咲き誇るころ。
咲いていた花は、いつしか実りの秋の準備へと。
そこかしこで、秋は深まり、冬に向けての準備が進む。
生きものが死に絶える、冬。
その前だからこそ、生は深まり、また美しく。
見上げれば、雲一つなく。
この色は、何色と表現すればいいのだろう。
秋の、色。
どこまでも、深く。