大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「執着」していると焦燥感があるが、「コミットメント」できているとそれが無い。

「執着」していると、結果にこだわり、焦燥感があります。

一方で「コミットメント」には、それがありません。

その心理の違いについて、詳しく見ていきます。

1.「執着」と「手放し」、「コミットメント」

こことのころ、「執着」と「手放し」、そして「コミットメント」というテーマを続けてお伝えしております。

「執着」とは、自分の心が何か一つの対象だけに囚われている状態を指します。

別れた恋人、お金、学歴、あるいは過去の成功なんかもありますよね。

何かに「執着」していると、私たちはそれ以外の選択肢に目を向けることができなくなります。

そうすると、息苦しいですし、生きづらさを感じてしまうんですよね。

そうした「執着」から解放するのが、「手放し」です。

文字通り、握りしめているものを「手放す」わけです。

ただ、それは無理矢理に引きはがしたり、乱暴に捨て去るような態度ではありません。

握りしめた手を、そっとやさしく開いて、その相手にも自分にも自由を与える。

そんなイメージが、「手放し」です。

一方、「執着」ではない選択のしかたが、「コミットメント」です。

決断、覚悟、あるいは肚をくくる、といったイメージが近いでしょうか。

たくさんある選択肢のなかで、一つのものを選び続けること。

「これしかないから」といった消極的な理由や、「これをしないといけないから」といった義務や役割からではなく、喜びのなかで、それを選択し続けること。

それが、「コミットメント」です。

選び続ける、というのがポイントで、「いまの自分には合わない」といったように、選ばないことを自分に許可できるのが、「コミットメント」であるといえます。

2.自分と未来を信頼しているか、どうか

さて、この「執着」と「コミットメント」ですが、ここまでの文脈の通り、「コミットメント」の状態の方が望ましいわけです。

しかし、「選んでいる」という状態だけを見ると、この二つは非常に似ていたりします。

そのなかで、「執着」と「コミットメント」の違いについて、今日は少し触れてみたいと思います。

まず、「執着」しているとき、どうしても重く、そしてどんよりとした心持ちになることが多いものです。

端的に言えば、「執着」していると、自分がしんどいわけです。

その反対に、「コミットメント」できているときは、軽さがあり、明るさがあります。

「コミットメント」できていると気分が楽で、深呼吸できるような、そんな状態です。

どうしてその違いが出るのかといえば、「自分と未来を信頼できているかどうか」がポイントなのでしょう。

「執着」しているとき、私たちは自分を信じることができず、必然的に未来をも信じることができません。

「この仕事の評価がよくなかったら、どうしよう」

「彼女とうまくいかなかったら、この先自分は誰にも愛されない」

といったように。

一方で、「コミットメント」できているとき、私たちは自分を、そして未来を信じることができています。

「まあ、うまくいかなくても、そのときは仕方ない」

「そのときは、また考えよう。私なら、だいじょうぶ」

といったように。

これ、自分が選択した未来の結果を、受け入れる準備ができているともいえます。

結果よりも、プロセスの方を楽しめている、とも表現できるでしょうか。

だから、「執着」しているとき、焦燥感があります。

早く、自分の望んだ結果が欲しくて、焦ったり、じれったくなってイライラしたりするわけです。

一方で、「コミットメント」できていると、焦燥感はありません。

先ほどお書きしたように、プロセス自体を楽しめているわけですから、結果が出なくても、焦ることなく、いま自分のできることに集中して、楽しめるわけです。

そして、たとえ自分の望んだ結果が出なかったとしても、それを受け入れ、じゃあどうしようか、と前を向くことができるのです。

「執着」と「コミットメント」には、そんな違いがあります。

3.自分を癒し続ける=見方を広げ続ける

ただ、「執着」も「コミットメント」も、人の心のありようですから、100%どちらか、というのはありえないものです。

7割くらいはコミットメントできているかな、まだ8:2くらいで執着の方が大きいな、といった感じで、グラデーションになっているのが、人の心なのでしょう。

それは、日によっても変わるでしょうし、もっと言えば時間によっても変わるのでしょう。

それでいいのでしょうし、それが自然なんだと思います。

じゃあ、どうやったら「コミットメント」の割合を多くできるのか、ということですが、これはひとえに「自分を癒し続ける」ことに尽きると思います。

自分の感情を感じつくすこと。

自分を受け入れること。

自分を肯定すること。

自分を愛すること。

もちろん、それは自分一人でやらなくても大丈夫です。

周りの信頼できる人や、カウンセラーの手を借りて、癒していけばいいんです。

「癒し」とは、ものごとの見方がポジティブに変わることを指します。

自分を癒し続けることで、世界の見方、とらえ方が変わっていきます。

ある人や、起こったできごとに対する見方が、複層的になります。

そのときは理不尽にしか見えなかったできごとが、素敵な未来への一里塚に見えたりもするわけです。

それは、選択肢を増やすことでもあります。

「コミットメント」とは、選択肢のなかから、選び続けることと、冒頭で書きました。

だから、「コミットメント」するためには、自分を癒し続けることが、とても大切なことです。

自分を癒すこと、自分を肯定すること、自分を愛すること。

「またそれか…」と思われるかもしれませんが笑、でも、そうなんです。

飽きずに、あせらずに。

自分を癒していきましょう。

今日は、「執着」と「コミットメント」の違い、というテーマにしてお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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