「どんな状況にあっても、その責任は自分自身にある」
そうした姿勢を「アカウンタビリティ」と呼びますが、その恩恵と注意点について、お伝えします。
1.「すべての問題は自作自演」の意味
昨日の記事では、すべての問題は自作自演、というテーマでお伝えしました。
その問題をつくったのが自分自身だとしたら、それを自分で解決することもできるはず。 - 大嵜直人のブログ
もとは、感情とできごとの関係についての捉え方からのお話でした。
「感情が先、できごとが後」と言われます。
自分が「悲しみ」を抱えているから、目に見える世界から悲しいできごとを探してくる、という見方です。
普通は、その反対ですよね。
ランチで入ったお店の店員が無愛想だから、怒りを感じる、といった具合に。
しかし、これを「感情が先」と見ることは、大きな恩恵があるのです。
それは、自分自身に、主体性を取り戻すことができる、という点です。
「そうか、自分が怒りたいから、無愛想な人を探してきてるのかもしれない」といった見方ですよね。
そうすると、自分ができることが広がります。
「じゃあ、怒りを発散できることをしよう」とか、
「ほんとは、何に対して怒っているのか、自分の心と向き合ってみよう」とか、
「今日は、おとなしく自分をいたわろう」とか。
どれをしてもいいですし、それを自分が選べるという主体性を持つことができます。
しかし、これを逆に「できごとが先」ととらえていると、自分にできることは、ものすごく少なく感じてしまいます。
だって、超能力者でもない限り、できごとは自分でコントロールできないですから、それに振り回されるだけになってしまいます。
「感情が先、できごとは後」。
その見方を突き詰めていくと、冒頭の「すべての問題は、自作自演」ということになります。
昨日の記事では、そんなテーマをお伝えしました。
2.アカウンタビリティの法則
「アカウンタビリティ」という概念があります。
さまざまな場面で使われる言葉ですが、心理学においては、
「どんな状況にあっても、その責任は自分自身にある」
ととらえる見方を指します。
これ、先ほど見た「すべての問題は自作自演」と、まったく同じことを言っているんですよね。
だって、もし、自分の目の前に問題があり続けるのであれば、「いまの自分にはその問題を解決する力が無い」か、「解決できるようにベストを尽くしていない」かの、いずれかになります。
そして、仮に前者であれば、助けを求めたり、自分が成長するという選択肢があります。
もし後者であれば、単純にベストを尽くし続ける、ということが求められるのでしょう。
いずれにしても、「問題があり続ける」ことへの責任は、自分にあるわけです。
これ、感情に目を向ければ、「自分の感情に、自分が責任を持つ」という態度にもなるわけです。
この「アカウンタビリティ」の見方をとることで、得られる恩恵が2つあります。
1つは、自分軸で行動できるようになること。
先ほどの「怒り」のたとえにあるように、どんな状況でも、自分ができることを見つけて、行動できるようになります。
2つ目は、被害者の立場から抜けだすことができる、という恩恵です。
被害者の立場とは、自分以外の誰かや何かに、いまこの状況の責任がある、ととらえる思考です。
「こんなことになるなんで、あの人が悪い」とか。
「あんなことが起こる社会が悪い」とか。
こうした被害者の立場でいると、延々と誰かや何かを責め続けることになり、それゆえに罪悪感を抱えることになってしまいます。
私たちは誰かを責めるとき、その刃は自分自身にも向いてしまいますから。
しかし、「アカウンタビリティ」を持つことで、この罪悪感から逃れることができるのです。
これが、非常に大きいんですよね。
「アカウンタビリティ」を持つことで得られる、2つの恩恵です。
3.ベースになるのは自己肯定感
こうした「アカウンタビリティ」の見方ですが、注意したい点があります。
それは、「自己肯定をベースにする」という点です。
「アカウンタビリティ」を持つということは、起こっているできごとの責任を持つことだと、先ほどお書きしました。
これが、自己肯定を育んでいない状態だと、容易に「自分責め」になってしまうんですよね。
「責任を持つ」というよりも、「わたしが悪いんだ」という方に向かってしまうイメージです。
それは、「アカウンタビリティ」をダシに使った、自己否定です。
ダシに使う、と聞くと、なんだか美味しそうに聞こえますが笑
これ、ほんとに難しいところなんですけれどね。
ただ、自分自身に責任を持つとは、自己否定や自分責めをすることではありません。
自己肯定の大原則は、「いま、そのままの自分を受け入れること」です。
いまの自分を否定するのではなく、それを受け入れた上で、自分ができることをフォーカスしていく。
いまの自分に力が足りなかったり、何か欠けていたりしても、それは何の問題でもありません。
ただ、「いまの自分はそうなんだ」と受け入れるのみです。
いまの自分がどうあれ、できることは必ずあるはずなんですよね。
そのことに、フォーカスしていく。
それが、「アカウンタビリティ」を持つという姿勢であり、態度です。
それは、実にたくさんの、そして大きな恩恵を、私たちに与えてくれるものです。
私たちのカウンセリングのなかでも、この「アカウンタビリティ」の姿勢は、大切にしている視点の一つです。
今日は、「アカウンタビリティ」を持つという姿勢と、その恩恵について、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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