「問題」とは予想外のところから飛んでくるものであり、それゆえにどうしても依存的になってしまいがちです。
しかし、それを「自分の問題だ」と受け入れることができると、見える風景が変わっていきます。
1.アカウンタビリティと自己肯定感
昨日の記事では、アカウンタビリティと自己肯定感、というテーマでお伝えしました。
「アカウンタビリティ」を持つという姿勢と、その恩恵について。 - 大嵜直人のブログ
心理学での「アカウンタビリティ」とは、どんな状況にあっても、その責任は自分自身にある、というとらえ方を指します。
言葉だけ聞くと、ちょっとスパルタというか、厳しく聞こえますよね。
だって、突然雨が降ってずぶ濡れになるのも、自分の責任。
パートナーに別れを告げられるのも、自分の責任。
そんな風に考えていたら、身がもたないように感じてしまうかもしれません笑
でも、「アカウンタビリティ」の考え方で大切なのは、
「責任があるから悪い」
ということではなく、
「自分が引き起こしているのだとしたら、自分でその状況をなんとか打開することもできる」
という点です。
ここが非常に重要なところで、何もすべて自分で責任を取れ、自分が悪いんだ、というわけではないんですよね。
なので、「アカウンタビリティ」を考える上では、自己肯定をベースにすることが必須になってきます。
自己肯定の大原則は、いまの自分をそのままに(いい悪いといった判断なしに)認めることです。
そうした自己肯定感を持った上で、「アカウンタビリティ」を持つことは、私たちに常に「自分が」できることがあると教えてくれます。
ずぶ濡れになったのは、自分が天気予報を見ていなかったからかもしれない。
でも、その状況を楽しんで、近くのスーパー銭湯でお湯に浸かることもできますし、誰かに助けを求めることもできます。
パートナーにフラれたのは、ずっと相手の愛情に、あぐらをかいていたからかもしれない。
そのおかげで、いかに自分が愛されていたかを知ることもできるでしょうし、もう一度相手にアプローチするのか、あるいは、相手と自分の幸せを願うこともできるのでしょう。
その状況をつくっているのは、自分自身であり、そうであれば、自分ができることはいくらでもある。
ただ、そうした「アカウンタビリティ」を持つためには、自己肯定をベースにすることが必要になるというのが、昨日のテーマでした。
2.問題が起きると、誰でも依存的になってしまうもの
こうした「アカウンタビリティ」を持つことは、私のカウンセリングのなかでも、大切なテーマの一つです。
主体的に、その問題と向き合える状態になること。
それを、最初の目的地としてイメージすることもあります。
ただ、難しいんですよね。
というのは、「問題」が起こると、人はどうしても依存的になってしまうからです。
「問題」というのは、自分が向き合ったことのないものだったりします。
たとえるなら、構えていた方向とは、まったくちがう方向から、ボールが飛んできたような感じでしょうか。
正面からくる!と思っていたのに、横からボールが飛んで来たら、そりゃビビりもしますよね笑
正面からくるのは、全然大丈夫なんです。
たとえば、バリバリ仕事をしてきた人にとっては、仕事の上で起こる問題というのは、多くのものが経験しており、本質的な意味での「問題」にはならないんです。
ただ、それがある日突然、健康診断でひっかかって、自分の身体がままならぬ、という状態になったとしたら、うろたえますよね。
あるいは、誠実だと思っていたパートナーが、浮気をしていることがわかったら。
ショックですし、どうしたらいいか、分からなくなると思うのです。
「問題」とは、自分の意識の外側からくるものであり、それゆえに、どうしたらいいかわからない、自分以外の誰かが何とかしてほしい、という「依存」の状態に陥りやすくなります。
健診を受けるような時間を取れないほど、忙しくしてきた仕事が悪い、とか。
パートナーが悪いことをしたのだから、そちらが変わってほしい、とか。
もちろん、その反応は自然なことであり、誰もが通る道です。
でも、その状態では、「問題」がどうなるかは、相手次第になってしまいます。
ただ、嵐の海の中で揺れる小舟のように、波に翻弄されるだけの状態。
それは、しんどいものです。
3.それは、「わたしの問題」
だから、その「依存」的な状態から抜け出すことが、まずは大切なことになります。
言ってみれば、「自立」を目指すわけです。
ただ、「自立」するためには、ある種の「がんばり」であったり、「しんどい」こともやらないといけないものです。
よく聞く「がんばらなくてもいい」というフレーズは、状況によっては真実ですが、こと「依存」を抜け出すときには、意味がありません。
波に翻弄される小舟のような状況を、長引かせるだけになってしまいます。
「相手が悪い」「誰かなんとかしてほしい」といった依存的な感情から、「これは、自分の問題であり、自分に責任がある」というアカウンタビリティを持つ方向に、変えていくという、がんばりが必要になるわけです。
かつて、私がカウンセリングを受けた中で、あるカウンセラーがこう仰られたことがあります。
「おおさきさん、厳しいようですが、それは『あなたの』問題なんですよ」
この「あなたの」という部分が、「イヤー!聞きたくない!!」と、めちゃくちゃ抵抗が出たことを覚えています。
カウンセリングが終わってからも、「いやだ、わたしは悪くないもん」と、怒っていた気がします笑
でも、振り返ってみると、それはその通りだなと、いまは思うのです。
「これは、わたしの問題なんだ」
そう理解するのは、結構厳しいものですし、時には痛みをともなったりします。
けれど、それを受け入れることによって、見えてくる世界がずいぶんと変わってきます。
相手や状況に振り回されることが少なくなりますし、今日、いま、自分のできることにフォーカスできるようになるので、嵐の海に揺れる小舟から、凪の海で静かに曳航する大きな客船に変わったかのように感じるものです。
そこには、ある種のがんばりが必要にはなります。
ただ、そこで大切なことは、あなた一人でがんばらなくてもいい、という点です。
誰かの力を借りてもいいし、自分を成長させるために、学ぶために、誰かを頼っていい。
それは、信頼できる友人や家族、カウンセラーと一緒に、がんばればいいのです。
もちろん、彼ら、彼女らが、その「問題」を解決してくれるわけではありません。
それを期待するのは、「依存」の状態です。
「問題」と向き合うのも、がんばるのも、解決するのも、あなた自身です。
あなたには、その力があること。
それを、私はカウンセリングを通じて、お伝えしていきたいと思っております。
今日は、「それはわたしの問題だ」と受け入れることができたとき、見える風景が変わる、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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