「自立」の状態にいる人は、根源的な依存心を隠しています。
それゆえに、「自立」をやめられなかったりするのですが、そんな依存心との向き合い方について、お伝えします。
1.「自立」同士の主導権争い
昨日の記事では、「自立」同士の主導権争い、というテーマでお伝えしました。
「自立」同士の主導権争いと、その抜け出し方。 - 大嵜直人のブログ
「依存」と「自立」のテーマを、ここのところ続けております。
「依存」は、自分には何もできないから、誰かになんとかしてもらいたいという心理の状態。
その反対に、「自立」とは何でも自分だけでやろうとする状態を指します。
ある関係性において、一方が「依存」であると、もう片方は「自立」になることで、バランスを取っていることが多いものです。
これは、パートナーシップや上司部下といった人間関係もそうですし、その相手を会社やお金といったものに置き換えることもできます。
しかし、こうした「依存」と「自立」の関係は、バランスが取れているように見えて、いびつでもあります。
「依存」の側は、自分には何もできないという無力感を抱えます。
「自立」の側は、相手を責める罪悪感を持ちます。
関係性が長くなってくると、それらを感じることが顕著になってきたりします。
そして、「依存」の側は、そのままで居続けることはしんどいので、自分でなんとかしようと、「自立」しようとします。
お互いが、「自立」の立場に立とうとするわけですよね。
こうなると起きるのが、主導権争いです。
お互いの持っている正しさ、ルール、観念が、衝突するようになります。
「自立」の人にとって、それらは自分を守る鎧なわけですから、絶対に曲げられないんですよね。
この主導権争いをしていると、毎日が戦争状態なわけですから、その関係性に疲れ切ってしまったりもします。
ここを抜けだすには、「自立」を手放す、負けを認める、相手に譲る、白旗を上げる、といったことがカギになるというのが、昨日のテーマでした。
2.「自立」がもつ根源的な依存心
ただ、「自立」的な人が、負けを認めるというのは、簡単なことではありません。
今日は、なぜそれが難しいのか、ということに触れていくことで、「自立」を手放すヒントを考えてみたいと思います。
「自立」的な人が、負けを認めることができないのは、負けたら「依存」に逆戻りしてしまう怖さがあるからです。
誰でも、どんな人でも、「依存」を経て、「自立」します。
「依存」時代にしんどい想い、傷ついた経験をしたがゆえに、「もう二度と、あんな想いをしたくない」とばかりに、自分でなんでもやろうとする「自立」の道を選ぶわけです。
それゆえに、また「依存」時代に逆戻りしたら、「また、あんな辛い想いをしてしまうことになるのか…」という怖れが出てくるんですよね。
ということは、ここが今日のポイントなんですが、「自立」の心理には、依存心が隠れているわけです。
なぜか。
一般的な言葉の意味での「自立」は、自分のことは自分でできる、自分の足で立っている状態です。
しかし、これまで見てきた心理的な意味での「自立」は、背後に依存心を隠している状態なんですよね。
もし、真の意味で「自立」していたとしたら、たとえ主導権争いに負けて「依存」に落ちたとしても、「また自力に這い上がれるさ」とばかりに、自信を持てるはずなんです。
もちろん、「依存」に落ちてしばらくは、落ち込んだりもするかもしれないですけれどね。
それができないということは、「やっぱり、他人になんとかしてほしい」「誰かに癒してほしい」「愛してほしい」という依存心があるから、と見ることができます。
それは、ほんとうの意味での「自立」ではなく、他人に意識が向いた状態といえます。
これを、「自立の依存」と呼んだりもします。
誰かとの主導権争いがやめられないのは、もちろん負けたら「依存」に叩き落されてしまう、という理由もあります。
しかし、ほんとうの意味で怖れているのは、自分のなかの依存心であり、それを受け入れてもらえないかもしれない、という怖れと見ることができます。
3.自分に意識を向けること
はい、だいぶイヤーな感じですよね。
「依存」がイヤで、「自立」したのに、まだ「依存」を抱えているなんて…
あんまり見たくないのも、分かりますとも笑
でもね、これ、見ないことにははじまらないんです。
なぜそれがイヤなのかといえば、その依存心を誰かに見せるのがカッコ悪かったり、その依存心を受け入れてもらえないかもしれない、という怖れが、大きな要因だったりします。
でもそれって要は、「他人からどう見られるか?」「他人ははどんな反応をするだろうか?」みたいなことばかりを気にしている、他人軸の状態なわけです。
それを悟られるのがイヤだから、なおのこと他人をコントロールしたくなるわけです。
「自立」のなかに潜む、依存心。
これを克服するのには、意識を自分に向け直す必要があります。
他人がどう思うか、ではなくて、「自分が」どう感じるか、に意識を向ける。
そこで出てくる依存心を、認めてあげるわけです。
「そうだよね、愛してほしいよね」といった具合に。
そして、「あの人が」という言葉ではなく、「自分が」と、主語を自分に変える。
「自分が、こうしたい」といった具合に。
そうしたことを積み重ねていくと、自分自身のなかに、確たる芯が芽生えます。
他人に預けていた軸を、自分自身に取り戻していくことができるわけですよね。
そうすると、適切な距離感で、相手を頼ったり、他人に任せたり、委ねたりすることができるようになっていきます。
あるいは、負けを認めたり、争うことをやめることができるようになります。
「自立」のなかにある根源的な依存心。
その向き合い方は、自分に意識を向けることが、非常に大切なことです。
今日は、「自立」の人が持つ根源的な依存心、というテーマでお伝えしました。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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