大嵜直人のブログ

文筆家・心理カウンセラー。死別や失恋、挫折といった喪失感から、つながりと安心感を取り戻すお手伝いをしております。

「投影を取り戻す」ことで、自分の感情を自覚できるようになる。

「投影」の視点を使うことは、実にさまざまな恩恵があるものです。

その一つに、「投影を取り戻す」プロセスによって、自分の感情とつながることができることがあります。

1.目につく他人の短所が教えてくれるもの

昨日の記事では、どうしても目に付く他人の短所が教えてくれるもの、というテーマでお伝えしました。

どうしても目に付く他人の短所は、自分の「才能」を指し示してくれる。 - 大嵜直人のブログ

どうしても目に付いてしまう、他人の短所。

なにかとモヤモヤしてしまうものですが、それが教えてくれるのは自分自身の「才能」だったりします。

私たちは、自分の心のなかの感情や観念といったフィルターを通して、外の世界を見ています。

寂しいという感情を感じていると、どうしても見るものや出会う人が寂しげに見えてしまったりしますよね。

この自分自身の内面を、外の世界に映し出すという心の作用を、「投影」と呼んだりします。

翻って、他人の短所が目に付いてしまうとき、それは自分が自分に対して「そんなこともできないの!」「なんでやらないの?」と感じている部分であるといえます。

それは言い換えると、それだけ自分に対してハードルが高い部分であると言えます。

その見方を、周りの人に映し出しているわけです。

自分が「そんなことくらい、できて当たり前」と感じている部分。

その部分は、「才能」と呼ばれるものといえます。

人を笑顔にする才能がある人ほど、無愛想な人を見たら、「なんてやつだ!」と思うのでしょう。

つながりをつくることのできる人ほど、孤立している誰かに手を差し伸べるのは、当たり前だと思うのでしょう。

そして、周りの人の無関心に、苛立ちを覚えることでしょう。

どうしても目に付いてしまう他人の短所は、すなわち自分自身の「才能」を指し示してくれるというのが、昨日の記事のテーマでした。

2.「投影を取り戻す」プロセス

さて、そうした見方のもとになる「投影」の法則について、また少し深めて見てみたいと思います。

「投影」とは、私たちの内面にある感情を、人やものに映し出す心のはたらきです。

「投影」の視点を意識することは、私たちに実に大きな恩恵を与えてくれます。

その一つが、自分の感情とつながることができる、という恩恵です。

これを、「投影を取り戻す」と呼んだりもします。

私たちは、自分自身の感情に対して、実に無自覚なことが多いものです。

いろんな要因はありますが、無意識的に自分の感情を抑え込んで、それを感じないようにしてしまったりします。

けれども、感情は抑え込んでも、なくなることはありません。

それどころか、「ちゃんと感じてよ」とばかりに、抑え込んだ感情はどんどん大きくなったりします。

たとえば「悲しみ」があるのに、それを抑え込んでいると、それを抑え込むのに膨大なエネルギーを使ってしまって、無気力になってしまったりもします。

あるいは、何かの拍子に、抑え込んできた感情が暴発してしまったり。

総じて、感情を抑え込むのは、あまりいいことにはなりません。

しかし、「投影」の視点を持つことは、自分の感情を認識することを助けてくれます。

たとえば、なんだか腹立たしい現象ばかりが目に付くことがあったとします。

はい、誰にでもありますよね笑

「なんてムカつくことばかり起こる日なんだ!」と嘆くのもいいのですが、「投影」の視点を使うと、少し様相が違ってきます。

なぜ、自分の外の現象を見て、「怒り」を感じているのか。

それは、「投影」から見ると、「そもそも自分のなかに『怒り』があるから、それを映し出している」と見ることができます。

「現象があって、それに対して怒っている」

ではなくて、

「そもそも怒っていて、その怒りを周りに投影している」

という見方ですね。

そうすると、自分の思考が「怒り」を認知するわけです。

「あ、わたし、めっちゃ怒ってたんだ…」と、自分の感情とつながることができます。

感情を感じて消化していくこともできるでしょうし、何に対して怒っているんだろう?と考えることもできるのでしょう。

3.自分の感情に責任を持つ

この「投影を取り戻す」というのは、実にさまざまな場面で使えるものです。

先に述べた、自分の感情とつながる、という点でもそうですし、少し形を変えて、他人との関係性を見直すときにも、非常に役に立ちます。

さまざまな理由や要因で、わたしたちは自分の感情を見ないようにしてしまうことがあります。

感情を感じるのは疲れますしね…

それに、自分の感情の奥底にある本音に触れるのが、怖かったりもします。

よくあるのが、怒りの奥底にある寂しさだったり、愛おしさだったり。

そして、自分の感情に無自覚なのは自分だけで、周りの人にはバレバレだったりするわけです。

「怒ってないよ!」は、「酔っ払ってないよ」と同じくらいにアテになりません笑

周りからすると、いやいやいや…ということがほとんどです。

もちろん、100%自分の感情を理解するなんて、難しいのでしょう。

けれども、自分の感じていることに責任を持つことは、周りの人とのコミュニケーションを育む上で、とても大切なことです。

自分の感情に無自覚でいると、周りの人のぶつけてそれを処理しようとしてしまったりするものですから。

「投影」の視点が私たちに与えてくれる恩恵は、実に大きいものがあるようです。

今日は、「投影」の視点が与えてくれる恩恵、というテーマでお伝えしました。

ここまでお読みくださり、ありがとうございました。

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